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準確定申告を忘れていた—4ヶ月の期限と延滞のリスク

「3ヶ月」は知っていても、「4ヶ月」は見落とされる

相続の期限というと、多くの方が「相続放棄の3ヶ月」を思い浮かべます。この3ヶ月は比較的よく知られています。

ところが、その次にやってくる「4ヶ月の期限」は、驚くほど見落とされています。それが、準確定申告です。

「本人が亡くなったのに、確定申告なんて必要なの?」——そう思われるかもしれません。しかし、亡くなった方にも、その年の所得に対する申告義務が残っており、それを相続人が代わりに行う必要があるのです。今回は、この準確定申告の期限とリスクを整理します。

準確定申告とは何か

準確定申告とは、亡くなった方のその年の所得(1月1日から死亡日まで)について、相続人が代わりに行う確定申告のことです。

項目内容対象の所得1月1日〜死亡日までの所得申告・納付の期限相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内申告する人相続人(全員の連署、または各自で申告)

通常の確定申告が「翌年の2〜3月」であるのに対し、準確定申告は「死亡から4ヶ月」という独自の短い期限が設けられているのが特徴です。

なぜ、これほど見落とされるのか

準確定申告が忘れられやすいのには、理由があります。

  • 「死亡=申告不要」と思い込んでしまう

  • 3ヶ月(相続放棄)と10ヶ月(相続税)の陰に隠れ、4ヶ月が目立たない

  • そもそも準確定申告という制度自体を知らない

  • 葬儀や各種手続きに追われ、気づいたときには期限が過ぎている

死亡から4ヶ月は、実務的にはあっという間です。相続人の確定や財産の把握に時間を取られているうちに、期限が迫ってきます。

「準確定申告が必要な人」は意外と多い

「うちは関係ない」と思っていても、次に当てはまれば申告が必要です。

申告が必要な主なケース補足不動産所得があった賃貸経営をしていた大家さんは原則必要事業所得・譲渡所得があった生前の不動産売却益なども対象給与収入が2,000万円超、複数か所から給与高所得者・複数収入源の方公的年金等の収入が400万円超高齢の年金受給者で該当しやすい

特に、賃貸物件を持っていた方や、年金収入の多かった方は、準確定申告が必要になるケースが大半です。相続する不動産にアパートや貸家が含まれるなら、ほぼ確実に対象と考えておくべきです。

忘れた場合の「3つのリスク」

準確定申告を怠ると、次のような不利益が生じます。

リスク内容無申告加算税期限内に申告しなかったことへのペナルティ。税額に上乗せされる延滞税納付が遅れた日数に応じて、利息のように課される還付を取り損ねる本来戻るはずの税金を、受け取れなくなる

3つ目は、特にもったいないポイントです。準確定申告は「納める」だけでなく、「還付を受ける」ためのものでもあります。

「申告すると戻ってくる」ケースもある

準確定申告をすると、むしろ税金が還付されることも少なくありません。代表的なのが、次のケースです。

  • 亡くなるまでに高額な医療費を支払っていた(医療費控除)

  • 年金や報酬から所得税が源泉徴収されていた

  • 各種控除を適用すると、納めすぎた税金が戻る

つまり、「面倒だから」と申告しないでいると、ペナルティを受けるだけでなく、本来戻るはずのお金まで取り逃すことになります。

なお、医療費控除の対象になるのは、死亡日までに支払った分です。死亡後に遺族が支払った医療費は、準確定申告の対象にはならない点に注意が必要です。

知っておきたい、補足のポイント

実務では、次の点も押さえておくと安心です。

  • 課税事業者だった場合(賃貸業を含む)、消費税の準確定申告が必要になることもある

  • 相続放棄をした人は、準確定申告の義務も負わない(申告義務者から外れる)

  • 相続人が複数いる場合、原則は全員の連署だが、各自が個別に申告することもできる

「4ヶ月」を、カレンダーに刻んでおく

準確定申告は、知らないと見落とし、忘れるとペナルティを招く、要注意の手続きです。特に、不動産所得や多額の年金収入があった方の相続では、避けて通れません。

  • 亡くなった方の所得は、死亡から4ヶ月以内に申告

  • 大家さん・年金収入の多い方は、原則として対象

  • 忘れると加算税・延滞税。還付も取り逃す

  • 医療費が多かった場合などは、申告で戻ることも

相続が起きたら、3ヶ月(放棄)・4ヶ月(準確定申告)・10ヶ月(相続税)という3つの期限を、最初にカレンダーへ書き込んでおくことをおすすめします。「知らなかった」で損をしないために、早めの確認が肝心です。

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※準確定申告の要否・期限・加算税等の取り扱いは、所得の内容や個別の事情により異なります。具体的な申告は税理士等の専門家にご確認ください。

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