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底地・借地を相続したら—地主と借地人、それぞれの相続

「土地を貸している」「土地を借りている」の相続

相続する不動産の中でも、特に扱いが難しいのが、底地と借地です。

  • 借地権:他人の土地を借りて、自分の建物を建てている権利(借地人側)

  • 底地:借地人に貸している土地の所有権(地主側)

この2つは、一つの土地をめぐるコインの裏表の関係です。そして、どちらの立場で相続するかによって、確認すべきことも、悩みどころも、まったく変わります。今回は、借地人側・地主側それぞれの視点で、相続時の注意点を整理します。

まず押さえる ― 評価はどうなるか

底地と借地権の相続税評価は、更地の評価額を「借地権割合」で分け合う形になります。

立場相続するもの評価の目安借地人借地権更地価格 × 借地権割合(30〜90%)地主底地更地価格 × (1 − 借地権割合)

借地権割合は地域ごとに定められ、路線価図に記載されています(住宅地では60〜70%が多め)。たとえば借地権割合60%の土地なら、借地人側は更地の6割、地主側は4割で評価される、というイメージです。

借地人側の相続 ― 確認すべきこと

① 借地権も、立派な相続財産

まず大前提として、借地権は相続の対象です。親の借地上の家を相続すれば、借地権も一緒に引き継ぎます。このとき、地主の承諾は不要で、名義書換料も原則かかりません(遺言で相続人以外に遺贈する場合は、承諾や承諾料が必要になることがあります)。

② 契約期間と更新時期を、真っ先に確認する

相続したら最初にやるべきは、借地契約の内容確認です。いつ契約され、期間は何年で、次の更新はいつか。更新料の定めはあるか。ここが分からないと、今後の計画が立てられません。

注意したいのは、古い契約では契約書自体が存在しない(口約束のまま代替わりしている)ケースが珍しくないことです。相続は、契約内容を書面で確認し直す絶好の機会です。

③ 旧法借地権は「建物の構造」で期間が違う

現在の借地借家法(1992年〜)より前に結ばれた契約には、旧借地法が適用され続けています。そして旧法では、建物の構造によって存続期間が異なります。

借地権の存続期間目安

つまり、いま建っている家が木造か非木造かで、契約の前提が変わるのです。相続した借地の契約がどちらの区分か、まず確認しておく必要があります。

④ 建て替えには「地主の承諾」が必要

借地上の建物を建て替える(増改築する)には、契約上、地主の承諾と承諾料が必要になるのが一般的です。

さらに注意したいのが、構造を変える建て替えです。木造(非堅固)から鉄骨・RC(堅固)への建て替えは、契約条件の変更にあたるため、通常の建て替え承諾料とは別に、条件変更の承諾料が必要になります。「古い木造だから、頑丈なものに建て替えよう」と気軽に考えていると、想定外の費用と交渉が発生する——これは借地相続の典型的な落とし穴です。

地主側の相続 ― 底地の悩ましさ

一方、土地を貸している側(地主)が亡くなった場合、相続人は底地を引き継ぎます。底地には、独特の悩みがあります。

① 収益性が低いのに、相続税はかかる

底地の地代は、周辺相場よりかなり低いまま据え置かれていることが多く、収益性は総じて低めです。それでも、相続税評価(更地の3〜4割程度)に対する課税はしっかり発生します。「収入は少ないのに、税金は払う」——このアンバランスが、底地の第一の悩みです。

② 売りたくても、売りにくい

底地は、第三者への売却が難しい資産です。借地人がいる土地を買っても自由に使えないため、買い手が限られ、売れても更地価格より大幅に安くなりがちです。

③ 出口は、主に4つ

底地を相続した場合の出口戦略は、次のように整理できます。

出口内容借地人に底地を売る借地人は完全な所有権を得られるため、最も高く売れる可能性借地権を買い取る地主側が借地権を買い戻し、更地として活用・売却借地人と共同で同時売却底地と借地権をセットで第三者に売り、代金を分ける底地買取業者に売る早く現金化できるが、価格は安くなりがち

どの出口が最適かは、借地人との関係、地代の水準、土地の立地によって変わります。

共通の教訓 ― 相続は「関係を整理し直す」タイミング

借地・底地の問題の根っこには、長年の「なあなあの関係」があります。契約書がない、地代が何十年も据え置き、更新料の取り決めが曖昧——先代同士は信頼関係で回っていても、代替わりすると途端にトラブル化します。

だからこそ、相続はお互いの権利関係を書面で確認し直す絶好のタイミングです。

  • 契約書の有無・内容(期間、地代、更新料、承諾料の定め)を確認する

  • 契約書がなければ、これを機に取り交わす

  • 地代や更新の条件を、現在の相場と照らして見直す

  • 将来の出口(売る・買い取る・続ける)の方針を考えておく

借地・底地は、権利関係・評価・交渉のすべてが絡む、不動産相続の中でも特に専門性の高い分野です。借地人側・地主側どちらの立場でも、まずは現状の契約と権利関係の棚卸しから、一緒に整理していきましょう。

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※借地権の存続期間・承諾料の要否や底地の評価は、契約内容(旧法・新法の別)や地域慣行、個別の事情により異なります。具体的な対応は弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。

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