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おひとりさまの相続—身寄りがない人の財産はどうなる

増え続ける「おひとりさま」と、その財産の行方

生涯未婚率の上昇、少子化、家族関係の変化。配偶者も子もいない「おひとりさま」は、年々増え続けています。

そこで気になるのが、この問いです。

「身寄りのない人が亡くなったら、その財産はどうなるのか?」

実は、この答えを知ると、おひとりさまにこそ生前の準備が必要な理由がはっきり見えてきます。今回は、財産の行方と、いまからできる備えを整理します。

まず確認 ― 本当に「相続人ゼロ」なのか

「自分には身寄りがない」と思っていても、法律上の相続人がいるケースは少なくありません。相続人の範囲を、あらためて確認しましょう。

相続人の順位について

配偶者も子もいなくても、兄弟姉妹やその子(甥・姪)がいれば、その人たちが相続人です。何十年も会っていなくても、相続権は生きています。

本当に「相続人ゼロ」となるのは、これらの親族が誰もいない(または全員が相続放棄した)場合です。

相続人がいないと、財産はどうなるのか

相続人が誰もいない場合、財産は次のプロセスをたどります。

財産の行方プロセスについて

つまり、何も準備しなければ、財産は最終的に国庫に帰属します。実際、相続人不存在で国庫に入る財産は年々増加し、年間1,000億円規模にのぼるといわれています。

コツコツ築いた財産が、望まぬ形で国に渡る——それを避けたいなら、生前の意思表示が不可欠です。

「特別縁故者」だけを頼るのは危険

先の表の③にある特別縁故者とは、内縁の妻・夫や、療養看護に尽くした人など、被相続人と特別の縁故があった人のことです。家庭裁判所に申し立てて認められれば、財産の全部または一部を受け取れます。

ただし、これを当てにするのは危険です。

  • 認められるかどうかは、裁判所の判断次第

  • 申立てには期限があり、手続きの負担も大きい

  • 認められても、全額もらえるとは限らない

「長年連れ添ったパートナーがいるから大丈夫」ではありません。確実に遺したいなら、次に述べる遺言が唯一の確実な手段です。

おひとりさまの備え① 遺言書 ― 財産の行き先を自分で決める

おひとりさまの相続対策の柱は、遺言書です。

遺言があれば、法定相続人がいなくても、財産の行き先を自分の意思で決められます。

  • お世話になった人、パートナー、友人に遺す(遺贈)

  • NPOや自治体、母校などに寄付する(遺贈寄付)

  • 甥・姪など、特定の親族に確実に遺す

しかも、おひとりさまの遺言には、有利な事情があります。兄弟姉妹・甥姪には遺留分がないため、遺言の内容がそのまま実現しやすいのです。「全財産を〇〇に」と書けば、原則そのとおりになります。

あわせて、遺言執行者の指定も忘れずに。身近に手続きを担う家族がいないからこそ、専門家などを執行者に定めておくことが、実現の鍵になります。

おひとりさまの備え② 死後の「手続き」を託す準備

おひとりさまの場合、財産の行き先だけでなく、亡くなった後の実務を誰がやるのかという問題もあります。葬儀、納骨、家の片付け、契約の解約——家族がいなければ、これらを担う人がいません。

そのための制度が、死後事務委任契約です。生前に、信頼できる人や専門家と契約を結び、死後の諸手続きを託しておくことができます。

さらに、判断能力が衰えたときに備える任意後見契約、日々の見守りや財産管理を頼む委任契約などを組み合わせれば、「元気なうち → 判断能力低下後 → 死後」まで切れ目のない備えができます。

おひとりさまの備え③ 情報を「見つけてもらえる」形に

もう一つ、見落とされがちな備えがあります。それは、財産や意思の情報を、確実に発見してもらえる状態にしておくことです。

  • 財産目録(口座、不動産、保険、デジタル資産)を作っておく

  • 遺言書は、法務局の保管制度や公正証書遺言で「確実に見つかる」形に

  • エンディングノートに、契約関係や希望を書き残す

  • 託した相手(受遺者・執行者・死後事務の受任者)に、保管場所を伝えておく

どれほど立派な遺言も、発見されなければ意味がありません。おひとりさまの場合、「誰かが気づいてくれる」前提が成り立たないからこそ、この視点が重要です。

「誰にも迷惑をかけない」ための、最後の設計

おひとりさまの相続は、裏を返せば、誰にも縛られず、財産の行き先を完全に自分で設計できる相続でもあります。

  • 何もしなければ、財産は最終的に国庫へ

  • 遺言があれば、想いのままに遺せる(兄弟姉妹に遺留分はない)

  • 死後事務委任で、亡くなった後の実務も託せる

  • 情報を「見つかる形」にしておくことが、すべての前提

「自分の財産の最後の使い道」を決められるのは、自分だけです。パートナーに、お世話になった人に、社会に——どう遺したいか。その設計を、元気な今のうちに始めておきませんか。おひとりさまの終活・相続準備も、一緒に整理していきます。

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※相続財産清算人の手続きや特別縁故者の分与、遺言・死後事務委任契約の作成は、個別の事情により異なります。具体的な準備は司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。

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