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松潤が見据える景色と裏側-「ARASHI LIVE TOUR 2017-2018 「untitled」」

どれほどの夢を描いてどこまで届いたろう

「Five」より

嵐のライブを見たことがあるだろうか。
結論から言えば、嵐のライブはとんでもないくらい完成度が高い。(さすが松潤)ここでは語らないが、今やってるツアーの「We are ARASHI」なんて、それはそれはもうすごかった。

いまは韓流アイドルの登場であったり、男性アイドルの成熟が激しくライブのレベルが著しく上昇している。そんな中でも、ジャニーズの後輩に参考になったり、ムービングステージなど数々の実績を残した松本潤が作り上げる嵐のライブのすごさを考えていきたいと思う。

本記事はYouTubeで公開されている「ARASHI LIVE TOUR 2017-2018 「untitled」」を題材に解説していく。

まずは見ないと始まらないので、以下のリンクからライブを見てみよう。
見たことがある人も本記事を読み切ってからもう一度見直すことで新たな1面を見つけられると思う。


皆さん、ご覧いただけただろうか。相変わらず、嵐はみなイケメンである。嵐がイケメンなのは当たり前の話なのでここでは泣く泣く割愛する。
さて、このライブの特徴から嵐のライブの哲学を紐解いていきたいと思う。

細部にまで宿る演出効果

嵐のライブのすごさには、細部にまで宿る演出効果をまずは挙げるべきだろう。ここでは衣装、ペンライトの意図について考えていくが、ムービングステージをはじめ多くが「すべての観客の体験」のために考えられているように思う。

身にまとうとは形づくること。衣装からの演出効果を考える。

さて、まずは嵐の衣装が生み出すことの効果について考えていこう。
何はともかく、untitiledの1番最初のシーンを以下に示す。

untitledの冒頭より

これのワンシーンでのすごさがわかるだろうか。
まず、前提として「untitled」では当時嵐史上最大となる5m×12.6mの超巨大LEDパネルが導入された。それにより、メインステージの後ろはとても暗い状況になる。この状況で遠く離れた観客からも嵐の姿を見せるために、赤がメインカラーとなった衣装を身にまとってると考えられる。
それだけで終わらないのが、松本潤のすごさだ。
ここで、二宮和也の衣装に注目していこう。1番重要なパーツはおそらく左腕の袖に入れられた赤いリングだろう。このリングの意味はおそらくシルエットの維持だ。これは心理学などでは空間補完効果といわれるものである。

この図で三角形が浮かび上がるのが空間補完効果

これにより上半身の半分が黒の配色となった衣装でも腕の位置が舞台上で映え、遠くからのステージでもダンスが効果的に伝わる。これ以降でも、おそらく彩度と明度は考えられており、シルエットが見やすいように配慮されている。(相葉と二宮のユニット曲の「UB」では会場全体が暗くなることから、彩度と明度がどちらも高い水色系統のセーターで揃えていることからもいえるだろう。)
衣装でさえも、歌のテーマや雰囲気に合わせていくことは当然とし、遠くの観客からの視認性も気遣っていく、そんな姿勢が垣間見えた。すべての観客を幸せにしようとする姿勢は細部までに宿っている。

静と動のペンライト制御

いわゆるフリフラと呼ばれるペンライト制御のシステムが、嵐をはじめ多くのジャニーズのライブでは導入されている。
数万あるペンライトを一斉に制御することで、会場全体を巻き込んだ演出が可能になる。untitiledで印象的なペンライトの演出をいくつか画像で引用する。

嵐5人で投げるモーションをしたのち、円が客席から降ってくる演出
すべてのペンライトを制御することによりなせる一面の光
勿論、メンバーカラーを表現できる場面もある

上の三枚の写真からもわかるように会場全体を演出に利用できる観点から、肌身で感じるスケール感はとても大きい。また、以前からの文脈でもあるメンバーカラーの中から自分で選べるシーンもあることで、”推し活”を行える場面も作っていく。こういった面でも、メリハリがつくようになっている。

ここまではよく述べられるフリフラの効果が、もう1つ大きな役割が存在していると思う。それはの演出だ。
ここで櫻井、相葉、大野による「バズリ NIGHT」の映像シーンを見てみよう。

曲が開始する前のシーン

この場面からもわかるようにペンライトの制御は好きなタイミングでペンライトをオフにすることができる。少し当たり前のことのように感じるかもしれないが、これは意外と見逃せない効果である。
観客視点から考えれば、気が散る光もなく映像なり、ダンスなりを見ることに集中できる。これによって観客全員が共通の映像を見ることにより、世界観が一致していく。没入感を引き起こし、1つ1つの演出が記憶に残っていく。このメリハリの使い方はとてもうまい。”ライブ”という現実感から生じる体験を最大化するような意図を感じる演出は松本潤らしいと思う。

この静と動の概念はマイケルジャクソンが有名であろう。一つ例を出せば、マイケルジャクソンの伝説の15分が有名でわかりやすい。ステージ上に登場してから15分静止し、失神する人まで発生した有名なステージである。このメリハリのつけかたは嵐のライブに通じる部分がある。

すべての観客の体験のため

ここまで見たように、嵐の演出はおそらく「演出の意図を最大限伝えること」を目標に構成されているように思う。すべては観客の体験のためであり、観客を第一にする姿勢が端々から読み取れる。

テーマを深堀る

次は「untitled」というテーマについて考えてみよう。
まずは、英語としての意味を辞書で引いてみよう。

〔文書・詞・作品などが〕タイトル[題名・表題]のない、無題の
〔人が〕肩書[称号]のない

英辞郎より引用

なぜ、このとき、この状況で「無題」といったタイトルを付けたのだろうか。松潤は何を思って、無題を演出したのか。

セトリだって表現の一種

まずはセトリを確認してみよう。

♪「Green Light」1:00
♪「I'll be there」5:18
♪「風雲」(Fu-un) 8:19
♪「Attack it!」10:47
♪「Happiness」16:40
♪「UB」19:56
♪「Come Back」24:51
♪「夜の影」(Yoru-no-kage) 30:31
♪「バズりNIGHT」(Bazuri-NIGHT) 36:06
♪「つなぐ」(Tsunagu) 42:31
♪「抱擁」(Ho-yo) 45:43
♪「お気に召すまま」(Okinimesumama) 48:30
♪「Bittersweet」51:51
♪「GUTS !」55:13
♪「Doors ~勇気の軌跡~」58:55
♪「Sugar」1:04:24
♪「NOW or NEVER」1:08:16
♪「Pray」1:11:12
♪「光」(Hikari) 1:16:26
♪「君のために僕がいる」(Kiminotameni-bokugairu) 1:21:23
♪「PIKA★★NCHI DOUBLE」1:22:56
♪「ハダシの未来」(Hadashi-no-mirai) 1:25:05
♪「Believe」1:28:29
♪「Monster」1:30:32
♪「A・RA・SHI」1:32:39
♪「Song for you」1:36:13
♪『「未完」』(Mikan) 1:48:32

Unntitiledの概要欄より引用

さて、嵐が掲げたテーマは「未完」である。
ポイントとなる要素は3つになる。「ユニット曲の採用」、「Song for you」、「未完」である。これらに共通することはステージ上の芸術の方向性ということだろう。
おそらく、これと対極の考え、観客との双方向のコミュニケーションを目指したのは「アラフェス」だろう。

アイドルの多くは、ファンに近く、双方向のコミュニケーションを提供することが多い。例えば、AKBの握手会などがわかりやすい例だろう。もちろん、商業的な文脈にも根ざしているため、そういった売り方のほうが良いのかもしれない。
そんな中で嵐は「芸術」としての表現を求めた。
「未完」というテーマの中には「アイドルとしての表現」のみならず「ライブとしての演出表現」への挑戦が含まれているように思う。
「Song for you」で見せてきたお洒落さ、「バズり NIGHT」で最大限発揮した遊び心、「未完」で会場を活かした演出への挑戦。
こうした新しい挑戦を見せてくる嵐の引き出し、「まだまだ」といった姿勢、それらをまとめようとしてまとめきれない。そんな気持ちから「untitled」というテーマになっているように思う。

過去から脱却するための「untitled」

このライブが嵐のライブの流れの中で、どういった立ち位置にいるのか。過去との比較により、テーマについて考えてみよう。
当時で最新のライブは以下の3つだろう。

「ARASHI BLAST in Miyagi」
「ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism」
「ARASHI LIVE TOUR 2016-2017 Are You Happy?」

上の三つではおそらく明確なテーマ性の元、演出を構成していくように感じる。Miyagiでは復興への願いが明確に込められている。

Japonismは個人に焦点を当てるような演出も多く、「和」を基調とした世界観を統一してまとめていっているだろう。ある意味、「エンタメ」としてのある極致に達しているように思う。
Are you Happy?では「仲の良さ」を表現することも多く、アイドルとして最高峰のライブだっただろう。
ここまでである意味で「嵐」というものは完成に近づいてる。

そんな中での「untitled」。おそらく、この時期には活動休止について話が持ち上がってきているだろう。
ここまで考察してきたように、このライブには新たな引出しをふんだんに見せている。活動休止までのタイムリミットがあるなかで、「嵐」をもっと先へ、まだ見ぬどこかへ、そんな思いが感じ取れる。だからこそ、これといったテーマではない「無題」というテーマ性になっているのだろう。

松潤、今日は何を見せてくれる

ここまでの考察で、ライブとしていかに完成度が高く、考えられているものかわかるだろう。ここまで記事を書いてみて、岡田斗司夫氏のある発言を思い出した。ソースを見つけられなかったため、ニュアンスのみ伝える。

作り手は受け手の何倍も考えている

おそらく、もっと実現可能性や予算など多くの制約や事情がある中での制作であることは間違いない。そんな中でも、このクオリティである。きっと、もっともっと細かいことにも配慮し演出しているのだろう。

だからこそ、ワクワクが止まらない。
松潤、最後に何を見せてくれる。
ここまで、読んでくれた読者の方に伝えたい。
全力で楽しもう。

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