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その努力、環境のせいで無駄になっている——「腐った職場」で働く全員へ

正直に言う。

努力が報われないとき、ほとんどの人はまず自分を疑う。スキルが足りないのではないか、努力の方向が間違っているのではないか、自分の進め方に問題があるのではないか。

それは誠実な姿勢ではある。でも、20年プロジェクトの現場を見てきて、断言できることが一つある。

報われない努力の半分は、本人ではなく環境側に原因がある。

正確に言えば、努力を成果に変換する装置が壊れている職場では、何をしても成果として積み上がらない。これは精神論ではなく、構造の問題だ。

努力が無駄になる職場には、共通点がある
報われない職場には、ほぼ例外なく同じ兆候が現れる。私はこれを「腐敗の五大サイン」と呼んでいる。

第一に、トラブルが起きたとき、原因の分析よりも犯人の特定が先に始まる。
第二に、正しい提案よりも、決裁者の機嫌や顔色が意思決定を左右する。
第三に、新しい挑戦をした人間が、失敗するたびに評価を下げられる。
第四に、会議が意思決定の場ではなく、開催すること自体が目的になっている。
第五に、現場で起きている問題が、上層に上がる前に握りつぶされる。

この五つは、それぞれが独立した症状ではない。一つが現れている職場には、たいてい他の四つも潜んでいる。

腐敗は局所では起きない。空気として全体に広がる。

あなたの職場はどの状態か——五大サイン自己診断
ここで一度、手を止めて確認してほしい。

以下のうち、いくつ当てはまるか数えてみる。

ミスが起きたとき、原因より先に犯人が探される。
正論より上司の機嫌が優先される。
挑戦すると評価が下がる。
会議が開催することそのものを目的に動いている。
現場の問題が表面化しない。

三つ以上当てはまった場合、それは改善で立て直せる段階を超えている可能性が高い。改善の対象ではなく、撤退ラインの判断対象として捉え直す必要がある。

二つ以下であれば、まだ環境を動かす余地がある。ただし、放置すれば数は増える。

腐敗は静かに進行する。

私が現場で見てきたこと
抽象化して書く。

あるプロジェクトが炎上したとき、最初に始まったのは原因の分析ではなく、「誰の判断ミスだったか」という犯人探しだった。原因を構造的に解明すれば再発は防げたはずだ。でもその場で求められていたのは「責任の所在の確定」であり、「再発防止」ではなかった。

別の現場では、論理的に正しい提案が、決裁者の機嫌が悪いという理由だけで差し戻された。翌週、同じ提案が機嫌の良い日に通った。意思決定の基準が、内容ではなく感情に置かれていた。

そしてどの現場でも、共通して起きていたことがある。

優秀な人間から順に、静かに辞めていった。

残ったのは、環境に適応した人間と、適応するしかなかった人間だった。

これらは特殊な話ではない。腐敗が進んだ組織では、どこでも同じ風景が繰り返されている。

我慢の本当のコスト
このような環境で努力を続けることの最大のリスクは、給与が上がらないことでも、評価されないことでもない。

一年我慢すれば、スキルの更新が止まる。
三年我慢すれば、市場で評価される経験が積み上がらず、転職市場での価値が下がり始める。
五年我慢すれば、環境を変える選択肢そのものが狭くなる。

最も恐ろしいのは、腐敗が伝染することだ。

犯人探しが当たり前の場にいれば、自分も他人を犯人にする思考に染まる。機嫌で意思決定する場にいれば、自分も論理ではなく空気で動くようになる。

環境は人を作る。これは避けられない。

つまり、腐った環境にとどまり続けることの本当のコストは、時間でも給与でもない。

自分自身が腐ることだ。

Exitは逃げではない——「環境選択」という戦略
環境を変える判断を、逃げだと捉える必要はない。

これは戦略上の用語で言えば「環境選択」という意思決定だ。

努力は裏切らない。ただし、機能する環境においてのみ、だ。

壊れた装置に良質な原料を投入し続けても、出てくるのは不良品だけだ。原料の質ではなく、装置を選び直すことが先になる場面は確かに存在する。

努力を信じることと、環境を選び直すことは、矛盾しない。むしろ、努力を本気で信じている人間ほど、それが機能する場所を選ぶ責任を負っている。

次に必要なのは、判断の基準だ
ここまで読んで、心当たりがあった人もいるはずだ。

気づくことは、動くための前提条件だ。でも、気づいただけでは動けない。

実際にExitを判断するには、いつ動くか、どう動くか、リスクをどう最小化するか——という具体的な基準が必要になる。この続きは、別の記事で整理する。

今日はまず、一つだけ持ち帰ってほしい。

報われない努力の原因は、必ずしもあなたの中にはない。

シリーズ次回予告
「努力がズレる構造」シリーズは全3回構成だ。

第1回:努力は量か質か?——この議論がズレている理由
第3回:役職で仕事をすると失敗する理由——役割で働く法

「自分の職場、もうダメかもしれない」と感じた人は、第3回も読んでほしい。役職と役割の違いが、Exit後のキャリア再設計の核になる。

▼あわせて読みたい

PMという仕事は、誰も教えてくれない——20年現場で学んだことの全目次
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信頼されるPMが、最初の2週間でやっている7つのこと
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努力がズレる構造
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50代からのAI時代キャリア術——等身大の発信ノート
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現場PMの実践ノート——炎上・セキュリティ・研修、全部実体験
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©shiraco|PMPおじさんの実践ノート @NoteCcm42090


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