泣き虫おにの昔話【3つのお題に空想のひらめきを】
第51回 3つのお題(日本むかし話)
お題①:「桜を咲かせる猫」
お題②:「月夜のもちつき」
お題③:「泣き虫おに」
その村のはずれには鬼の親子が住んでいます
どの村にもだいたい鬼のひと家族が住んでいて
時折、訪れる妖怪などから村を守ったり、力仕事は進んで手伝ってくれていました
鬼と村の人たちは仲良く暮らしています
男の子が村のはずれで泣いている声をききました
あ、泣き虫おにだ!
そう、鬼の子は子どものうちはとても泣き虫で村人からも泣き虫おにと呼ばれていました
子どものうちだけなのです、泣き虫なのは
成長するにつれて泣かなくなるのが、鬼の性質なのです
男の子は泣き虫おにに声をかけました
「どうしたの?また泣いて」
鬼は
「うん、ぼくね
旅に出ないと行けないんだって
大人になる為の」
へー男の子は詳しく話をききました
鬼には、色々なしきたりがあるそうで
大人になる為にある年齢になると
桜を咲かせる猫
月夜のもちつき
この二つを探す旅に出ないといけないのだそう
男の子は、すこし目をつぶりました
そして大きな声で
「僕そのこと、ばぁさまから聞いた事ある!」
泣き虫おには男の子の声にびっくりして涙が止まりました
「え?知ってるの?」
「うん!ちょっと待ってて
ばぁさまのとこできいてくるから!」
言うが早いか、男の子は走っていきました
泣き虫おには、ひとりぼっちになったらまた悲しくなり、涙が溢れてきそうです
しばらくすると男の子がカゴか何かを持って頑張って走ってきます
「おーい」
男の子は、息を切らしながら泣き虫おにに伝えます
「あのね…」
内緒だからと、耳もとで小さな声でばぁさまからきいてきたことを伝えました
泣き虫おには我慢していた涙があふれてしまいました
男の子からきいた、二つを探す旅の場所それは行ったこともない場所なのです
「そんな所まで行きたくない」
もう大声で泣きそうな鬼に男の子はさっきのカゴを渡しました
「ばぁさまと、かぁさまがこんなにうまそうなおにぎり作ってくれたよ
頑張って行ってきてくれよ、君が大人になってくれないと誰がこの村を守るんだ」
男の子の真剣な声で鬼は深呼吸しました
「うん
こんなに、たくさんのおにぎり初めてみた
ありがとう、僕、いってくるよ」
泣き虫おには立ち上がり、優しくおにぎりのカゴを受け取りました
「きをつけてね」
「うん」
「はやくかえってきてね」
「うん、いってきます」
そういって村に背中をむけた泣き虫おに、
もう涙はでていませんでした
男の子は鬼の背中にむかって小さい声でつぶやきました
桜を咲かせる猫
月夜のもちつき
ばぁさまが言うには泣かなくなった鬼にはすぐに見つけられるそうだよ
一山こえると、桜の村があるし
もう一山こえると毎日満月の村があるんだってさ
おしまいおしまい

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