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百年待った狐【3つのお題に空想のひらめきを】


第61回 3つのお題(日本むかし話)
お題①:「龍の眠る池」
お題②:「百年待った狐」
お題③:「夜空を走る鹿」


空は橙色からどんどんと濃くなり一瞬赤く、そして深い灰色へと変わっていく
私の白い重い毛皮が光ってみえる
私は自分の家からすこし、離れた湖へと向かう
夜空を使って走っていけば、なんて事ない距離だけど、雨が上がった今夜は
すこし露の雫の冷たさも楽しみたいから、ゆっくりと歩く
上を向くと夜空を走る鹿たちが見える
「鹿は、本当にせっかちだな」
私は少し笑って、雨上がりの雫をさわる

いつきても静かで、空よりも青い湖

ここは龍の眠る湖だ
湖に着いた時は空も周りもすっかり紺色で
「もうそろそろ起きてくるだろう」
私は湖のそばで待つ

私は白い毛を震わせて、雫を落とす
「まだ、足りないのか」
龍は、この澄んだ湖から出てこない
もう百年
足りない
私はずっと待っている
百年待った狐、そう言われている
百年待っている狐なんだけどな
私は白い毛皮を撫でる
あのせっかちな鹿たちには、きっと私は笑われているだろう
「もう湖に龍はいないよ」
誰に言われても、私は待ち続けてきた
私は、湖の周りをゆっくり見渡す
雨上がりの雫がここでも光る
この世界の雫は
私が過去に流した涙なのだと告げられた事を思い出した、こんな雨上がりの日にしかもう頭に浮かばないけども
なにがあったのか、白狐になる前を
何も覚えていない
だだ、待たなくては、彼を、この湖の、龍を
白い大きな尻尾を揺らす
「愛してる」
揺れた時に、そう
私は愛を百年待っている
あなたからの愛を
尻尾を揺らして
私は澄んだ湖、深そうな暗い暗い
そのあたりをずっと見つめて


                 画像 片桐みかん様


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