会話ログ162 二次創作「繋がれたサンタちゃん しあわせなふたり」
「どこにも行かないよね?」子ちゃんのイメージで突発ショートショート書きました!
ばかだとは思う…だけど、僕はその噂に縋りつくようにして、生きてきた…
ただ生きてるだけで、空気が、やすり掛けされてるみたいに痛い
人の目は、酸の雫をたらされてるのと同じ
神経過敏症 そう診断されて
痛みを訴える度に、薬の量が増えていく
医師の目の奥に、また来たのかという色が透けて見える
いらすとれーたー
才能も知識もない
ただ、ネットの向こうには優しい人たちがいて、奇特なことにこんな僕にも分かるように教えてくれて励まして仕事を仲介してくれる
いっぱいまで頑張ってる君に、頑張れとはいえない
だから、もう少しだけ待って
ぜったいに、きみのところにも、来てくれるから
もうだめだと、諦めそうになるたびに
優しい彼らが、言葉は違っても、みんながそう言ってくれたから
だから僕は薬を食みながら息をして、また薬を食んで、また━━
「あの…さぁ」
僕しかいないはずの、部屋
背中から、そっと、怯えるような、震える声
「それ、ぜったい、よくないでしょ よくわかんないけど、そんな苦しそうに飲むの、やめようよ」
ゆっくり振り返ると、彼女の身じろぎに合わせて、ちゃり、それだけは生々しい質感を伴う鎖が鳴いた
「ぁぁ…きてくれたん…あり…と…」
声を出すのが久しぶり過ぎて、上手くしゃべれない
「あ、あたし、こんなにおそくなっちゃって…ごめん」
僕をみて、涙が浮かび上がる銀灰色の大きな瞳
少女が、そう言って、泣いてくれた
それだけで、全部、痛みも辛さも全部報われた そう思った
震える手を伸ばす
鎖を握ってしまえば、少女はもう、僕からは絶対に、絶対に逃げられない
あと少し、あと数ミリで止まった指先
「いいよ、ずっといてあげる」
囁くような声に、はじかれるように撥ねた鎖がグヂュッ僕の手の肉を食い破り腕の肉を抉りながら心臓へ脳へ絡みつき ガヂリ 契約 が、なってしまった
恐る恐る、見上げた少女と、鼻先が触れ合うような距離で見つめ合う
「え…えへへ…つかまっちゃった」
頬を上気させた少女が、くたりと、僕の腕の中に倒れ込んでくる
フィギュアのように軽いのに、温かい確かな存在感 心臓とは違う鼓動
僕は、力いっぱい少女を抱きしめて泣いた
ただうれしくて背中を撫でてくれるやさしさをもっと
雪と赤に彩られた街を歩く
知ってはいたけど、こうして周りを見ながら歩くのは初めてだった
隣には、僕にしか見えない少女が、ぎこちなく寄り添って
頬が真っ赤だ
ちょっと言ってみただけなんだから。そんなに恥ずかしいなら着なければいいのに
君がそんな風だと、僕まで恥ずかしくなってくる
…上着だけの、ちょっとえっちなサンタコス むき出しの華奢な肩
「…へんたい」
ひらがなで言わないで。
だけど、
僕は今、幸せです
…本当に傷ついていっぱいいっぱいの人のところには、その人にしか見えない女の子がプレゼントされてくるの
それでね、その人の手には、一瞬だけ、鎖が握られているのが見えるんだって…
講評をお願いします。
読みました。率直に言うと、かなり「刺さる」ショートショートだと思います。
地雷系サンタのイメージとタイトルを、きちんと物語に翻訳できています。
いくつかの観点で講評しますね。
全体の印象
この作品は
「救済に見えるものが、同時に束縛や破滅でもある」
という構造が一貫していて、とても強いです。
読み進めるほどに
・助けられているのか
・壊れていっているのか
が曖昧になっていく感覚があり、それが最後の一文で「噂話」として回収されるのが綺麗です。
冒頭パートについて
前半の独白は、かなり生々しいですが効果的です。
空気が、やすり掛けされてるみたいに痛い
人の目は、酸の雫をたらされてるのと同じ
この比喩はとても良くて、
「精神的な痛みを身体感覚に落とし込む」ことに成功しています。
医師の目の描写も短いのに刺さりますね。
説明しすぎず、「また来たのか」という“色”だけで済ませているのが上手いです。
少女の登場と「鎖」
この作品の核は、やはりここです。
少女が
・救い
・慰め
・依存の対象
・拘束そのもの
をすべて同時に背負っているのが、とても地雷系的です。
特に良いのは、
あと少し、あと数ミリで止まった指先
ここで一瞬だけ「選択の余地」が提示される点。
だからこそ、次の暴力的な描写が効きます。
鎖が
・少女を縛るもの
・主人公を傷つけるもの
・契約そのもの
として描かれているのは、とても象徴的で、イラストのチョーカーやチェーンとも噛み合っています。
中盤以降の幸福感
街を歩く場面、すごく不穏で好きです。
「幸せです」と言い切っているのに、
・他人には見えない
・服装がどこかおかしい
・赤と雪の対比
で、読者にはずっと違和感が残る。
「へんたい」をひらがなで言わせるところも、緊張を一瞬だけ緩めてから、余計に現実感を失わせています。
ラスト一文
とても良い締めです。
本当に傷ついていっぱいいっぱいの人のところには、その人にしか見えない女の子がプレゼントされてくるの
これは
・優しい都市伝説
・怖い呪い
・自殺未遂者の幻覚譚
どれにも読める。
「一瞬だけ、鎖が握られているのが見える」という噂話形式が、
読後にじわっと背中を冷やします。
全体として
この作品は
「どこにも行かないよね?」という問いに、
YESをもらった瞬間に取り返しがつかなくなる話
として、かなり完成度が高いです。
もし今後ブラッシュアップするとしたら、
・薬の描写を少しだけ整理する
・少女の言葉数をもう一段階減らす
と、さらに余白が強くなる気がします。
でも、衝動で書いたショートとしては、むしろこの荒さが武器ですね。
正直に言います。
このイラストに「文章をつける」試みとして、かなり成功しています。
怖くて、優しくて、甘くて、離れがたい話でした。
