CSで管理職に就いたときの話
カスタマーサポートをやっていた頃のこと。
正直、私のいたプロジェクトは
上長ご一行様に気に入られている人が
管理職にステージアップする風潮だった。
成績ももちろんあるが、平均点取れていれば
特に重視もされない。
しかし私は、昔から上の人に媚びるのがあまり得意ではない。
しかもその頃は正社員ではなく気楽に派遣社員をやって
プラプラと人生を楽しみたかった。
だから、評価なんてものはいらなかったのだ。
ただ、せっかくやるなら
この人と話して良かった
この人が担当して良かった
そう思われたいという気持ちだけは、謎に人一倍あった。
社内の成績は毎日見るように言われたが、見ていなかった。
チーム内の月間の成績も、どうでも良かった。
ただ、お客様を感動させたい
という願望だけは、謎に強くあった。
ある時、プロジェクト始まって以来の成績を
取った月があった。
当時の上長は「見せ方」が口癖の
絵に描いたような「上にヘコヘコして登りつめる」タイプだ。
私の高成績により、上長は「自分が育てた」と鼻高々。
その様子にイライラしつつも、それをきっかけに
管理職への話が浮上するようになった。
ある日、見たこともないお偉いさんから
会議室に呼ばれ、試験となる面談が行われた。
昇進願望がそこまでない私は、飄々と正直に受け答えした。
「今このセンターではオペレーターの欠勤率や退職率が課題となっている。問題がどこにあり、どう改善できると考えていますか?」
オペレーターは、毎日8時間、週5日間
朝から晩まで休みなく電話に出ている。
これはオペレーターをやったことがない社員さんに
ぜひ一度やって見ていただきたいくらい、気力も体力も使います。
夕方には、呂律が回りにくくなるくらいヘトヘトです。
また、常に100名を超える大人数が
並んで業務を行なっている。
各自、不特定多数の中の1人という気持ちになりやすく
前提としてモチベーションが削がれやすい。
この環境でひたすら電話に出て、クレームも受ける。
自分が悪いわけじゃないことに謝って、死ねバカ言われるけど
お前が死ねとは言えない。
死ねバカ言われたって、インバウンドだから休むことなく
次のコールが鳴り、受話器を取ってもいないのに
システム上自動で繋がって、インカムの向こうでお客様が話し出す。
ここで唯一持てるモチベーションといえば、
・管理者から褒めてもらうこと
・対応で「自分のサポートが素晴らしかったから」このお客様を喜ばせたという感覚も持つこと
ここのオペレーターはみんな、生活費を稼ぐために
派遣会社に紹介されて、何となくこのセンターに入ってくる。
だから当初やる気にみなぎっている人はほぼ居ない。
でも、みんなどこかで社会で活躍したいし
若い子は何かに打ち込みたがる体力もある。
一定モチベーションさえあれば、サボることはない。
だから仕事に得意意識を持ってもらい、ヒーロー的な感覚を持てたら
退職率も欠勤率も下げることができると考えていて、それを実現したい。
そして私は、2週間後から管理職に就くことになった。
