野生生物の宝庫マダガスカルを巡る旅 ⑰
2025/Aug./20 WED.
エールフランスの帰国便
出発して30分くらい経ったところでCAさんが夕食のオーダーを取りに来た。さぁ、フランスの偉大なシェフが監修したというディナーの始まりだ。先程もらったメニューに目を通しており、メイン料理の第一希望は仔牛だという事を伝えると“もう無い”との事。では、第二希望のサーモンはというと、"最後の一個よ"とタブレットを見せてくれた。一昨日事前に公式ウェブサイトからWebチェックインをした際に、このフライトのメインの料理を選択しようとしたのだが、なぜだかうまく事前予約できなかった。このため、今日機内でオーダーとなったのだが、教訓としては、食べたい物があるなら、事前オーダーはマストって事だ。

もう眠いのだが、まずはご丁寧にアミューズブーシュから始まり、小鉢が配られる。時間がかかりそうなディナーだ。そして、前菜のプレートが配られたのが0:00。それまで完全に寝落ちしていた。前菜がサーブされると同時に、行きと同様、具無し味噌汁ももらう。行きは特にどうってことはなかったが、今飲むと久しぶりの味噌汁は超ウマく感じる。また、前菜のプレートは見た目もオシャレで美味しかった。
前菜が下げられたあと、またメインが出てくるまで寝落ちしてしまいそうになる。程なく出てきたサーモンとエビのロワイヤル仕立ては、クリームソースがウマい一品だった。ただ、思い出したが、コレ、行きのパリ-アンタナナリボ間のフライトで食べたのと同じ物だ。デザートはチョイス制。有名パティシエが考案したチョコレートケーキなどもあったが、満腹気味なのでアイスクリームだけを貰うことに。テイストはチョコレート、バニラ、ラズベリーから選べたので、バニラアイスにしたのだが、これもマダガスカル産のバニラを使っているのかな??こうして長い食事を終えたのはフランス時間の2:20。眠気対食欲の第2ラウンドだった。
機は、今は何かと物騒な黒海の上空を航行中。往路はイギリスの方からパリへ入ってきたが、復路の航路は全く反対方向のオーストリアやルーマニア上空を経由して飛んで行くのが面白い。偏西風の影響などがあるんだろう。
それよりもとにかく眠い。シートを完全にフルフラットにして大きな枕を頭の下に置き、ブランケットを掛けた上、シートベルトを緩くしめ、寝る体勢に入る。
眠い眠い眠い。さすがに体に疲れが溜まっているのであろう、瞼が開かない。けど、さすがに、ビジネスクラスの快適なシートとは言え、ベッドのマットレスとは違うわけで、体の節々が痛くなってくる。時計を見るとパリ時刻で7:15。日本時間に戻すと14:15。
飛行機は黒海の後は、カスピ海を横切り、そして、これまた私の行きたい国リストに入っているウズベキスタンの上空を過ぎ、中国はゴビ砂漠の上空を通過中。まだ、東京までは4時間はかかる。

トイレに行ったついでにギャレー横に用意されている飲み物、スナック菓子コーナーに寄る。CAさんが"なんかホットミールはいる?"と聞いてくれるが、ここに置いてあるコーラとちっちゃな板チョコで十分。座席に戻り、それらをいただく。
外は明るいのだろうが、まだ静かに寝ている乗客が多いため、窓のシェードを開けられない。そこで、読書灯を点けて、マダガスカルの地球の歩き方とロンリープラネットを開いて、改めて今回行った場所の復習をする。これらガイドブックはパンデミック前の物なので、情報が古いのだが、これはマダガスカルに限った事ではないが、世界的な物価の上昇具合に驚く。また、2週間という長い期間だったが、こうやって見ると行けた所は限られていた。マダガスカルはまだまだ広い。

結局、帰りの便では、映画やビデオは全く見ず、4Kモニターにはフライトマップを表示していただけ。そのマップ上で、黄海を南下し朝鮮半島を横断して日本海上空へと出た所で、テーブルの上に白いテーブルクロスがひかれる。二度目の機内食がこの旅最後の食事だ。朝食にあたるメニューで、グレープフルーツ、ヨーグルト、クロワッサン、オレンジジュースにメインはマッシュルームが入ったキッシュ。最後にコーヒーまでいただき、結局ちゃっかりと完食。
羽田空港に到着後、自宅へ

機は日本海側から我が故郷付近を横切り太平洋側に出る。すると、少し遠いが雲の上に頭を覗かせている富士山が見えた。8月も今日より下旬。少しずつ日没が早まっており、上空からは美しい夕日が見えたが、地上はもう暗い。
結局、13時間弱の旅は快適で思ったより早く感じ、房総半島側から羽田空港へアプローチ。そして、日本時間の18:29、AF274便は羽田空港で最も使用頻度低いB滑走路にドスンと着陸した。
そして、タキシングをし、第3ターミナルの行きに乗ったのと同じ149番スポットに駐機する。ここで機体を降り、入国審査場に向かうが、このスポットはターミナルの一番端なので結構歩くハメになる。

やっと辿り着いた入国審査場で自動化されたゲートを抜けると、バゲージクレームエリア。ここで、しばし預け荷物を待つが、プライオリティのラベルが付いたそれは今回もパリ経由でも問題なく出てきた。
そして、先程、荷物を持っている間にスマホでVisit Japan Webのサイトから登録しておいたQRコードとパスポートをスキャンしてから、税関カウンターを抜ける。まだターミナルビル内にいるというのに湿気を感じ、蒸し暑い。やはり日本の夏は終わってはいない。そこで、上着を脱いで半袖になる。
そして、2時間に1本ペースの有明ガーデン行きの無料シャトルバスが、ちょうど19:30にあるので、第3ターミナルから羽田エアポートガーデンへと抜け、4番乗り場からそれに乗車。
このバスは一般道を使うので40分と少し時間が掛かるが、ゆったりとした観光バスタイプなので快適。ただ、私の様な利用客も多いためか、この無料シャトルバスのサービスも今月いっぱいで終了してしまうらしい。残念。
そして、予定より早く20:00に着いた有明ガーデンからはシェアサイクルを使って自宅へと向かう。前のカゴに大きなバックパックを入れるとフラフラしてしまうが、これが最後の乗り物だ。ただ、夜だというのに暑い。パリもノシ・ベも暑かったが、東京の暑さはその比ではなく、蒸し暑さでは敵わない。20分余り自転車を漕いだだけでも汗を掻いてしまう。そして、久しぶりに自宅へと戻ってきた時には20:20になっていた。こうして長い17日間のマダガスカルへの旅を終えた。
おわりに
夏季休暇に有給休暇を加えた長い長いマダガスカル旅行が終った。アフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶ大きな島国マダガスカルを個人旅行するのは想像を絶するタフさだった。国土が広い上に、見所があっちこっちに分散しているので、必然的に移動距離、時間が掛ったのだが、道路の状態が著しく悪い国なので、陸路で移動するのはとても時間がかかる。そこで、今回はお金に物を言わせて空路を多用したが、それが高く、特典航空券での旅行だったのに旅費は思ったよりも掛ってしまった。
また英語が通じにくいことも大変だったが、グーグル翻訳に助けられながらも、フランス語とマダガスカル語の単語レベルでちょっとしたコミュニケーションを取れたのもイイ経験だ。
ここに棲息する動植物の約8割がマダガスカルにしかいない固有種であるという特異な生態系であり、元気に飛びまわるキツネザル、寝起きみたいにゆっくり動くカメレオン、蒼い海の中で悠々自適に泳ぐウミガメ、夕日を浴びたバオバブの並木、そして、なんだかその名前に惹かれるタビビトノキとどれも忘れられない存在だった。
そして、アフリカ・アジア・フランスの影響が混ざった独自の文化や食事にも魅せられたし、出会ったマダガスカル人は昨今忘れがちな、希薄な人間関係とは全く逆の世界だった。特に、田舎のオフロードを走り抜けて行った際に、車に対して純心に手を振る子供達が忘れられない。
こんな旅は二度とできないと思わせる旅だった。
