10倍株は偶然ではない――テンバガー候補に共通する6つの特徴と、初心者でもできる探し方
この記事でわかること
・テンバガーと単なる低位株の違い
・10倍株へ成長する企業の共通点
・決算資料を使った候補銘柄の探し方
・危険な小型株を避けるための確認項目
テンバガーは「株価が安い銘柄」ではない
ここでは、米国個別株を例に特徴を説明します。
テンバガーとは、購入価格から株価が10倍になった銘柄です。
ただし、1株1ドルの株が10ドルになる方が、100ドルの株が1,000ドルになるより簡単、という意味ではありません。
見るべきなのは株価ではなく、時価総額です。
時価総額500億円の会社が10倍になれば5,000億円ですが、すでに時価総額10兆円の会社が10倍になるには、100兆円まで成長する必要があります。
そのため、企業規模がまだ小さく、事業の成長余地が大きい会社ほど、10倍への距離は短くなります。
米国株の長期リターンを調べたBessembinder教授の研究では、1926年以降の株式市場が生み出した純資産増加のすべてを、上位約4%の銘柄が説明していました。
出典:Do Stocks Outperform Treasury Bills?
つまり、テンバガー探しは「どの株でも長く持てばよい」という話ではありません。
ごく少数の勝ち組企業を見つけ、その企業の成長が続く限り保有する作業なのです。

特徴① 売上高が継続して伸びている
テンバガー候補の第一条件は、株価ではなく事業そのものが成長していることです。
一つの目安として、売上高が年率20%前後以上で伸び、それが数四半期ではなく、数年間続いているかを確認します。
ただし、売上成長率だけを見るのは危険です。
「現在の売上高」「対象市場の大きさ」「将来獲得できる市場シェア」をセットで考える必要があります。
例えば、売上高100億円の企業が毎年50%成長していても、対象市場全体が300億円しかなければ、現在の成長率は長く続きません。
Damodaran教授も、高成長企業の売上成長率は企業規模の拡大とともに低下し、将来売上高が市場全体を超えるような予測は見直すべきだと説明しています。
出典:The Fundamental Determinants of Growth
特徴② 売上の増加とともに利益率が改善する
赤字企業でもテンバガー候補にはなります。
しかし、「赤字だから将来性のある成長株」というわけではありません。
重要なのは、売上高が増えるほど赤字率が縮小しているかです。
確認したい指標は、次の3つです。
・粗利益率
・営業利益率
・フリーキャッシュフロー率

これらを四半期ごとに並べ、改善方向にあるかを確認します。
売上高が30%増えていても、営業費用が毎年50%増えている企業は、事業規模が拡大しても株主価値を作れていない可能性があります。
一方、売上成長を維持しながら営業損失率が縮小している企業は、将来的な黒字化が現実味を帯びてきます。
特徴③ 再投資から大きな利益を生み出せる
本物の成長企業は、稼いだ資金を研究開発、設備、人材、販売網などへ再投資し、次の成長につなげます。
重要なのは、単に投資額が大きいことではありません。
「1億円を投資して、将来どれだけ利益を増やせるか」が重要です。
企業の営業利益成長は「再投資率×投下資本利益率」で考えられ、資本コストを上回る収益率で再投資できる企業は価値を創出します。
出典:The Fundamental Determinants of Growth、Financial Ratios and Measures
難しく考えず、「研究開発費や設備投資を増やした後に、売上高、利益、顧客数が伸びたか」を確認してください。

特徴④ 簡単に真似されない強みがある
競合他社がすぐに参入できる事業では、高成長も高利益率も長続きしません。
テンバガー候補には、次のような参入障壁が必要です。
・利用者が増えるほどサービス価値が高まるネットワーク効果
・顧客が他社へ移りにくい乗り換えコスト
・特許や独自技術
・蓄積された独自データ
・強力なブランド
・事業に必要な免許や認可

確認すべきなのは、「商品が人気か」ではありません。
競合企業が似た商品を作っても、顧客が簡単には移らない理由があるかを考えましょう。
特徴⑤ 経営者と株主の方向が一致している
創業者が経営していれば安心、というわけではありません。
経営者の持株比率、報酬体系、過去の公約達成度、買収実績、株式報酬による希薄化を確認します。
特に成長企業で注意したいのが、発行済み株式数の増加です。
売上高が毎年30%伸びていても、株式数が毎年20%増えていれば、1株当たりで見た成長は大幅に小さくなります。
決算では売上高だけでなく、希薄化後発行済み株式数も確認する必要があります。
特徴⑥ 成長を続けられる財務体力がある
テンバガー候補は、事業が完成する前に大きく下落することがあります。
将来性のある企業でも、現金が尽きれば増資や高金利の借入が必要になり、既存株主の価値が薄まります。
確認する項目は、次の4つです。
・現金および現金同等物
・有利子負債
・営業キャッシュフロー
・年間のキャッシュ流出額

赤字企業では、「現在の現金であと何年事業を続けられるか」を計算しましょう。
現金が300億円あり、年間100億円を消費しているなら、単純計算では約3年分の余力があります。
初心者向けの探し方
最初は、次の4条件で候補を絞ります。
時価総額が大きすぎない
売上成長率が高い
粗利益率が安定している
現金が十分にある
その後、決算資料で顧客数、継続率、利益率、発行済み株式数の増加を確認します。
米国株では10-K、10-Q、8-K、日本株では有価証券報告書、決算短信、決算説明資料が基本です。
SECも、企業の事業内容、財務状態、経営情報を確認する資料として、10-K、10-Q、8-Kを案内しています。
出典:Microcap Stock: A Guide for Investors

最大の注意点――小型株と危険株を混同しない
小型株には大きな上昇余地がある一方、情報不足、低流動性、不正、増資による希薄化などのリスクがあります。
SECはマイクロキャップ株について、公開情報が少なく、大型株より値動きが激しく流動性が低い傾向があり、虚偽情報を使った不正の対象にもなりやすいと警告しています。
出典:Microcap Stock: A Guide for Investors
「SNSで話題になっている」「株価が安い」「経営者が強気な発言をしている」という理由だけでは買わず、必ず一次資料を確認してください。
まとめ
テンバガーは、突然株価が10倍になる宝くじではありません。
小さな企業が、大きな市場で売上を伸ばし、利益率を改善し、高い収益率で再投資を続けた結果として生まれます。
探す順番は、次のとおりです。
成長市場にいるか
売上高が伸びているか
利益率が改善しているか
競争優位性があるか
経営者を信頼できるか
財務体力があるか
株価に期待が織り込まれすぎていないか
すべてを満たす企業はほとんどありませんが、注目する成長株は今後も紹介していく予定ですので、引き続き記事を見ていただけますと幸いです。
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