あの国の首相が暗殺された事件のこと知ってる? 『スティーグ・ラーソン最後の事件』
「あの国」とはスウェーデンのこと。
約40年前、スウェーデンで首相暗殺事件があったのをご存じですか?
1986年、当時のオロフ・パルメ首相が家族と外出中に、首都ストックホルムの街中で銃撃され、二発の銃弾を受けて死亡しました。
事件は長らく迷宮入り。
世界的に見ても衝撃的な未解決事件でした。
かつてスウェーデンといえば「福祉が行き届いていて、平和で綺麗で余裕のある国」というイメージが強かっただけに、この事件を知ったときは「首都で首相が暗殺されて、しかも未解決のまま?」と驚きました。
今回は、その暗殺事件をテーマにした一冊を紹介します。
あの作家があの未解決事件を追っていた?!
ヤン・ストックラーサ『スティーグ・ラーソン最後の事件』
「ミレニアム」作者と事件のつながり
スティーグ・ラーソンの名前は、海外ミステリ好きなら一度は聞いたことがあるはず。
世界的ベストセラーとなり映画化もされた「ミレニアム」シリーズの作者です。
スティーグはシリーズ完結を待たず急逝しましたが、作品は別の作家によって今も続いています。
彼の本業はジャーナリストで、当然この暗殺事件にも初期から深く関わっていました。
しかし、事件は迷宮入り。
彼の集めた調査資料も、死後は眠ったままになっていました。
それが、あるジャーナリストの登場によって再び動き出します。
北欧の松原タニシになり損ねた男登場
スティーグ・ラーソンの死から約十年後。
ヤン・ストックラーサというジャーナリストが、ストックホルム市内のある「事故物件」を取材しようと思い立ちました。
その物件の過去の住人を調べる過程で、ヤンはスティーグの未公開資料にたどり着いたのです。
結果として、暗殺事件の方を追うことになったのですが、もし事故物件を選んでいたら、北欧版・松原タニシが誕生していたかもしれません。
さて、ヤン・ストックラーサは真相に辿り着けるのでしょうか?
実は「ほぼ解決」している?
ここまで引っ張っておいてなんですが……事件は「ほぼ」解決しています。
2020年6月、スウェーデン検察が最重要容疑者を発表しました。
ただしその人物はすでに死亡(自殺)。
そのため捜査は打ち切りとなり、すっきりしない結末に。
ちなみにこの容疑者、ファーストネームがスティーグというややこしさ。
しかもヤンが突き止めた「実行犯らしき人物」は、検察発表の容疑者とは別人というオチまであります。
本書の日本語版の出版は2020年7月なので、出版社は頭を抱えたことでしょうね。
それでも紹介したい理由
と、こんな感じで、公式捜査もジャーナリスト調査もモヤモヤな結果となってしまったわけですが、それでもこの本を紹介したいのは、
ひとつは、日本ではあまり知られていない大事件を知ってほしいから。
もうひとつは、単純に面白いから!
本書は二部構成。
前半はスティーグ・ラーソンの生い立ちから事件との関わり、「ミレニアム」執筆、そして急すぎる死…
ファンなら読んで胸に迫るものがあるはずです。
後半は、調査資料を引き継いだヤン・ストックラーサの活躍。
これがスパイ小説顔負けなのです!
正直なところ「絶対盛ってるだろ?」と疑うレベルです。
特に彼の調査を手助けする謎の女性。
本名不明
暗殺容疑者に接触し自宅に潜入
ハッカーの友人がいる
某国諜報機関にツテがある
……絶対ただの一般人じゃないでしょ?!
ヨーロッパって、そんな野生のスパイみたいな美女が普通にいるんですかね。
こんな人におすすめ
北欧に興味がある
現代史に関心がある
海外ミステリが好き
未解決事件に惹かれる
そんな人にはきっと楽しめる一冊です。
今回紹介した本はこちら

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