自治体病院経営の将来不安につい
「病院経営が赤字なのに、給与を上げる必要があるのか?」
ある議員の口からそんな言葉を聞いたとき、私は改めて考えました。これは単純に「赤字の病院」と「給与引き上げ」という数字の問題ではなく、自治体病院という存在の性質そのものに関わるテーマではないかと。
民間病院との違い
民間病院であれば、経営が悪化すれば給与を抑えることもあり得ます。経営判断としてシンプルです。しかし自治体病院は同じ論理で語れません。
人事院勧告に基づき、全国の公務員給与と連動している
災害やパンデミックなど非常時に、必ず出動する責務を負っている
国や自治体の方針に沿った対応を求められる、公共性の高い組織である
つまり、自治体病院の職員は「経営状況に左右される労働者」というよりも、「地域に奉仕する公共人材」としての位置づけを持っています。
単なる“経営の赤字”ではない
確かに栗原市の病院も、毎年10億円規模の赤字を抱えています。今年は16億、累積欠損金は110億に達しました。しかしその背景には、
高齢化による医療需要増
診療報酬の制約
民間病院では担えない救急や僻地医療の役割
といった要素があり、単純に「経営努力不足」と切り捨てられるものではありません。
人件費を削っていいのか
むしろ給与を引き下げ、人材流出を招けばどうなるか。医師・看護師が確保できなければ、地域医療は立ち行かなくなります。結果的に市民生活の安全そのものが脅かされるでしょう。
求められるのは構造改革
ではどうするのか。私は、人件費削減ではなく病院の統合・再編こそが現実的な道だと考えます。
人口規模に見合った病院数へ集約する
在宅医療・訪問診療を行う民間事業所と連携する
病院を減らしても、市民が「安心」を失わない仕組みを整える
人口減少が進む今こそ、病院というハードを抱えること自体を見直す時期に来ています。
「赤字なのに給与を上げるのか?」という疑問はもっともです。けれどもその問いをきっかけに、自治体病院と民間病院は何が違うのか、そしてこれからの地域医療をどう支えるのかを考えることこそ大切だと思います。
