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500万円を失った話(10)最後

上司は、状況からすでに私の意思を見越していたのだと思う。

だから返事は早かった。

「◯◯部に異動だ。そこでまたやり直せ」

私は、退職して心機一転という思いと、年齢的な現実とを天秤にかけていた。


2024年1月。

私は異動先の部署にいた。

役職は降格となり、自己紹介で書いた通り、40代の平社員になった。

ここで、またやるだけだ。

強い意気込みではなかったが、Aや責任から離れたことで、気持ちは軽くなっていた。

仕事を教わり、必死に覚えた。

忙しかった。

でも、それで良かった。

新しい部署に居場所を感じ始めた頃。

同棲していた彼女にプロポーズし、結婚した。

ここから、やり直す。

その決意の中に、しこりが残っていた。

競馬。

50万円負けた競馬。

区切りをつけよう。

50万なら、まだ笑い話にできる。

次で最後にしよう。

選んだのは──

ちょうど1年前。

初めてギャンブルとして賭けた、桜花賞だった。



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