24時間出張シリーズ③揺らぐ夜の止まり木
金曜の、深夜1時。
ようやく仕事のメールを打ち終えて、
スマホを伏せた。
不規則な勤務が続いて、
もう今日が何曜日なのかも、
自分の感覚さえ、少しずつ輪郭を失っている。
「お疲れ様」
たったそれだけでいいのに、
今夜は、それを向けられる相手(も)いない。
時間も時間。
誰かを呼び出す元気もない。
誰かを捕まえて電話しようかな……
でも、もう遅いし。
気を遣う会話を重ねる余力も、
もう、残っていなかった。
鏡に映る自分が、
思っていたよりも、ずっと静かで、
そして、独りだった。
理由ははっきりしない。
ただ、胸の奥に溜まったまま
行き場を失った何かが、
そのまま、そこにある。
「……誰かに、甘えたいな」
そう思った瞬間、
「私には、贅沢すぎるかな」
そんな言葉が、反射的にブレーキをかけてくる。
でも。
今夜くらい、いいよね。
今日まで、ちゃんと一人で立ってきた。
誰よりも自分に厳しく、
誰にも弱音を見せずに。
ため息交じりでスマホに触れる。
ふと、画面に浮かんだ
「出張トリートメント」という文字に、
吸い込まれるように指を伸ばした。
チャイムが鳴る。
扉の向こうに立っていたのは、
騒がしさとは無縁の、
穏やかな空気を纏った一人の男性だった。
多くを語らない。
けれど、今日まで積み重なった疲れを、
まるで最初から知っていたかのような、
静かな眼差し。
「今夜は、何も考えなくて大丈夫ですよ」
その一言で、
内側で張りつめていたものが、
音もなく、ほどけていく。
大きく、温もりを含んだ手。
触れられた、その感覚だけが、
ゆっくりと、身体の奥へ伝わっていく。
作業としての施術ではない。
説明も、理由もいらない時間。
指先を通して交わされる、
言葉のいらない対話。
包まれているという感覚。
誰の目も気にしなくていい、
自分だけの空間。
凛とした役割をそっと外して、
ただ、力を抜いていく。
甘えることは、
弱さではない。
明日をまた迎えるための、
静かで、必要な休息。
揺らぐ夜の、
止まり木のような時間――
そんなふうに感じられる夜も、
あっていいのだと思う。
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※この活動について、
よく聞かれることを、少しだけ。
Q. 初めてでも大丈夫ですか?
A. ええ。ほとんどの方が、そうです。
特別な準備も、慣れも必要ありません。
Q. 男性セラピストに少し不安があります。
A. 自然な感覚だと思います。
事前に声を聞いていただくこともできます。
Q. 話さなくてもいいですか?
A. もちろんです。
言葉にならない夜も、ありますから。
Q. 眠ってしまっても?
A. それが一番、力が抜けている証拠かもしれません。
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※活動の記録や、静かなご案内は
プロフィールにまとめています。
