暮らしと、カメラと、30年の記憶|film20
日々の暮らしや、旅や、散歩のひととき。
時を写す二枚の写真と、父の旅の記憶。

父は、スペインが大好きです。
時々ひとりでふらりとスペインへ行き、現地でバイクを借りて、気ままに旅をしています。
スペインからフランスへ、時にはスイスまで。
地図の上では遠く感じる場所を、父は軽々と辿っていきます。
建築学科で学んでいた父にとって、サグラダ・ファミリアは特別な存在のようです。
何年かに一度、その姿に会いに行き、その時々のサグラダ・ファミリアを写真に残してきました。


一枚は1993年。
もう一枚は2023年。
並べてみると、真ん中の塔がずいぶん空へ近づいているのがわかります。
30年分の時間が、建物の輪郭にそのまま刻まれているようでした。そして2026年、真ん中の塔はついに完成しました。
わたしはまだ、サグラダ・ファミリアを訪れたことがありません。
それでも父の写真を見ていると、少しずつ高くなっていく塔や、その変化を見つめ続けてきた父のまなざしまで、そっと伝わってくる気がします。
写真は、一瞬を残すものだと思っていました。
でも、この二枚は少し違います。
一枚では見えない時間を、もう一枚が静かに教えてくれる。
30年という時間は、建物の変化だけでなく、人の「好き」という気持ちまで写してくれるものなのだと、父の写真が教えてくれました。
──暮らしと、カメラと、30年の記憶

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📷 film 21 ▼
(制作中)

