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大阪と京都の狭間の昭和湯で

大阪府と京都府の県境には、島本町という小さな町があります。

水無瀬川という大きな川が町の横手を流れており、天王山という大きな山がすぐ近くに見えます。

景色が緑に覆われており、ここもいちおうバビロンシティ大阪の一部であるという事実を忘れてしまいそうほどに長閑な雰囲気。

その島本町から京都府内にかけては、物集女街道という道路が伸びています。物集女は「もずめ」と読み、この物集女は京都府乙訓郡の地名です。ちなみに乙訓は「おとくに」と読みます。

物集女街道は昔ながらの道路で、島本町の住宅地のあたりはまだ道幅が広いのですが、乙訓郡のほうに向かうにつれて幅員が減少していき、対向車が譲り合えばなんとか通れる程度の狭さになってきます。

対抗車が普通車であればの話ですが‥‥‥。ハマーとすれ違ったら詰みますね。たまに思うんですけれども、こういうところの引っ越しトラックってどうするんだろ? 

しばらく歩くと、左手に「SUNTORY YAMAZAKI DISTILLERY」と書かれたネオンサインが見えます。ここはサントリー山崎蒸溜所。

かの有名なウイスキー「山崎」を製造している工場であり、予約制ですが見学もできます。サントリーの創業者である鳥居信治郎氏が創設。まさに水と生きるサントリーの原点。

灯りのない道路の向こうで、山をバックにどーんとこのネオンサインが現れるので、夜に見ると実にかっこいい。

この山崎蒸溜所の手前には、これまた歴史の深いトンネル、通称「山崎のまんぽ」があります。途中まではレンガ造りになっており、明治時代にはすでに存在したのだそう。

もともと人が通るために造ったトンネルではないのか、天井はかなり低く、身長170cm以上の人はしゃがまないと通れない。なぜか半分は現代風(といっても半世紀以上前の改修だと思われる)のコンクリート。

建機など何もない時代に人力でレンガを斜めにコツコツと積み上げて作業していたのでしょうから、全部をレンガ造りにするのは無理だと途中で判断したのかもしれません。

こういうレンガ造りの構造のトンネルは「ねじりまんぽ」と呼ばれ、京都の南禅寺の近くにあるインクラインが有名。

インクラインも見たことあるけど、あれは凄すぎて何が凄いのかわからなかった(語彙力)。山崎のまんぽは、途中で諦めている(?)ぶん、なんか人間味がある(のか?)。

水と生きるサントリーの原点であるこの地なので、自販機でサントリーの天然水でも買うか、と思い立ちましたが、残念ながら近くには
チェリオの自販機しかありませんでした。チェリオのお膝元もかなり近所なのですけどね。

水と生きるサントリーのすぐ近くで、昭和3年から現在に至るまで地下水を沸かし続けている、島本町で唯一のお風呂屋さんが昭和湯です。

周りにはスーパーが1軒あるほかはチェリオの自販機くらいしか灯りがないので、そんなに大掛かりな建物ではないものの、けっこう目立つ。

意外と言っては失礼なのですが、お客さんはけっこう多いです。わりとひっきりなしに人が玄関の扉を行き来する。みんな車で来るのか?

専用駐車場は11台も停められるそうです。ふつう、この規模の銭湯なら、駐車場があったとしてもMAX3台くらいなのに、11台とは太っ腹な。

レトロな雰囲気はあるものの、綺麗に整頓されているためか、あまり年季は感じません。

あと、脱衣場が広い。一部にはテーブルとテレビが備えつけられており、家庭の居間みたいになっていますが、それでもまだ空いているスペースがあるくらい広い。

浴室内はふつうの広さ。浴槽が壁に沿って横に一列、だーっと並んでいて、京都の昔ながらの銭湯の定番スタイル。サウナと水風呂だけが脱衣場に突き出るように配置され、なんとなく後付けで設置したっぽいのも、京都の銭湯でよく見るやつ。

そして、浴室にも洗い場と浴槽との間に謎の空きスペースがある。大阪の人のものの考え方なら、たぶん洗い場を増やすか、もうひとつくらい浴槽を増やすと思うのですが、空間をあえてつくる美学みたいなものなのだろうか。

そして、気になるのはやはり水の良さでしょうね。といっても、あまりよくわからなかったというのが正直な感想なのですが……。

確かに、なんだか湯が柔らかいような……気は……する……。基本的に浴槽が1~2人用なので、あまり長時間にわたって入っていられる感じではない。

ただ、水風呂はなんかわからんけど、京都の銭湯でよく体感できるやつと同じだというのは思いましたね。言語化するのは難しいですが、なんというか、身体にスーッと入っていくような感触。これは京都の水風呂ならではのやつ。京都の地下水の恵み。まあ、ここはギリ大阪府内ではあるのですが。

昭和湯からは少し歩きますが、ほぼ一本道でJR山崎駅まで辿り着けます。山崎駅は駅構内に京都府と大阪府の府境があり、それを示す看板もあります。いつ頃に設置されたのかは不明ですが、年季が入っていて味がある。

山崎駅の付近ははっきりいって田舎で、駅前には何もありませんが、駅の隣のデイリーヤマザキだけは煌々と灯りを出して営業しています。

近畿圏のJRの駅前のコンビニはセブンイレブンであることが多いですが、狙って建てたのか、たまたまそうなったのか、山崎駅だけはずっとデイリーヤマザキ。なんかいいなあ。

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