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「それが私の方法だから」

※2017年掲載記事です
※2026年公演情報あり

オランダの人形劇人ネビル・トランターが、この8月、『マチルダ』の舞台で日本各地を巡演。そのしんがりがプーク人形劇場での公演でした。彼の舞台を観るのは、『マクベス』『ヒットラー』に次いで3度目でしたが、今回はワークショップも見学できて、大きなパワーを貰いました。

『マチルダ』は介護付き老人ホームでの話で、此処には主人公マチルダの他に、さまざまに問題を抱える老人たちと、施設長、葬儀屋などが登場。トランターは彼ら七体の人形を、さもありなんと思わせる人物像に仕立て上げ、人間の尊厳より経済効率が優先されがちな現代社会の一側面を捉えて、観客を老人たちへの切なくも温かい情愛へといざないます。

舞台『マチルダ』より

ワークショップは2日間、4回に亘って行われましたが、初回の冒頭トランターは、「人形は力のある道具。だから遣い手は、人形の力(人形に何が出来るか)を知らなければならない」と明言。早速、相棒の人形ジーノを遣って、人形が何を思い、何をしているかを観客に判って貰うための演技の基本を、エクササイズを通じて参加者たちに、分かり易く、論理的に、懇切丁寧に指導。

エクササイズでは、トランターの遣う見本の動きに参加者たちが順次トライ。トランターはその一人ひとりに真正面から向き合って、質問やヒントを出しながら、「人形が的確に動けば、周囲に何もなくても、観客はその世界を見る(想像する)ことが出来る」と、人形表現の奥行にも言及。参加者たちは彼の言葉を噛みしめながら何度も挑戦。ワークショップの終盤では、ほっとした表情を見せながらも、心残りな様子でした。

「人形劇をっているのは、それが私の方法だから」と、さりげなく云うネビル・トランター。人形を信じて、自分がこれだと選んだ仕事に全力を注ぐ姿に、清々すがすがしい感動とパワーを貰ったのでした。

『みんなとプーク』No.261 2017年秋号
竹内とよ子の人形劇とってお記〈30〉より


竹内とよ子 (たけうち とよこ)

1958年人形劇団プークに入団。主に演技者として活動。『青い鳥』の思い出の国のおばあさん、『ぶんぶくちゃがま』の子狸ヨモ、『ファウスト博士』のファウスト(操作)、『12の月のたき火』の母親ほか。
70年代より演出を手がける。『うかれバイオリン』『怪じゅうが町にやってきた』『王さまとまほうつかいのチョモチョモ』『おこんじょうるり』ほか。
1986年「第2回 O夫人児童演劇賞」(日本児童演劇協会)受賞。

最新作『ユビュ王』ポスター

2024年8月、プーク人形劇場にて満員の観客に惜しまれながら役者としての引退公演を行ったネヴィル・トランター氏ですが、演出家、教育者として未だ第一線で活躍されています。そして、世界各国からオファーが絶えないという状況の中、なんとこの春、人形劇団プークの次世代を担う4人の役者との共同製作公演が行われます。是非、この貴重な機会をお見逃しなく…!

〈公演情報〉

人形劇団プーク
- La Pupa Teatro -

ユビュ王

2026年
3月20日(金)11:00 / 15:00
3月21日(土)14:00 / 18:00
3月22日(日)11:00 / 15:00
3月26日(木)19:00
3月27日(金)19:00
3月29日(日)11:00 / 15:00

会場/新宿南口・プーク人形劇場
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