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怪談百物語#62 振り向くな

駅のホーム、子どもと手を繋いで電車を待つ。
後ろから声をかけられる。
――離しちゃえよ
小さな手をぎゅっと握る。
ふくよかな頬とつぶらな目、こっちを不思議そうに見ているのがわかる。
離すもんか。

今日は幼稚園どうだった?
いつものように抱きしめてお迎えする。
――ちゃんとね、――してね、あそんだあ
そっか、楽しかった?
――たのしかったあ!
他の子を見送っていた保育士さんからも、元気いっぱい遊んでましたよ。と背中向けたままお墨付きをもらう。
よかった。

寄る、一人用のベッドで一緒に眠る。
小さくてあったかい。

別れの日が近付く。
――もういっちゃうの?
今にも泣きだしそうな声。
また会いに来るからね。
――これあげる
顔を上げられずにいると、小さな手が差し出される。
手のひらには、大事にしてただろうピカピカ光る石。
ごめんね、持っていけないの。
帰れなくなっちゃうから。

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