怪談百物語#52 無宗教
ライトノベルを読んだ子どもは死ねば転生できると思い、走るトラックの前に身投げした。
子どもの親は所謂毒親と呼ばれるもので、育児放棄、過度の暴力、性的虐待、児童虐待を慢性的に行っていた。
死にたい、若しくは生まれ変わりたいと思うのも無理のない環境だった。
目が覚めると病院だった。
温かく優しい腕に抱かれて目を覚ました。
肺の辺りが締め付けられ、叫びが胸を衝いた。
「おぎゃー!おぎゃー!」
転生することができた。
次は優しい家庭に生まれたい。
「可愛い赤ちゃんですよ。」
温かな腕から離される。
看護師の腕に抱かれていたようだ。
柔らかいベッドに置かれる。
「おかえり。」
ベッドの隙間から見えた顔は、見慣れた母の顔だった。
「大きくなったらまた飛び出せよ。」
身なりの良くなった父が上から覗く。
「おぎゃあああ!おぎゃあああ!」
一際大きく叫ぶ。
誰も助けてはくれない。
自死を選ぶと地獄のような現世が待っていた。
