東京島(2010)
知られざる女性の深層心理をあぶり出す
斬新なサバイバルアクション
無人島に漂着した1人の中年女と23人の男たち。逆ハーレムと化した孤島で一体何が起きるのか。センセーショナルな状況が話題を呼んだ女流ミステリー作家・桐野夏生のベストセラー小説が2010年に映画化されました。
今では名バイプレイヤ―として活躍する木村多江の映画単独初主演作。テレビドラマ『リング~最終章~』『らせん』(ともに'99年)で、呪いのビデオの亡霊・山村貞子役など、薄幸な女性を演じることの多かった木村多江が大胆に変貌する女性を演じ、注目を集めました。
【ストーリー】
43歳の主婦・清子(木村多江)は旅の途中で嵐に遭い、夫の隆(鶴見辰吾)と共に無人島に漂着します。救助の来ない状況に絶望した夫が、心身共に衰弱していく一方で、清子は生きるために、蛇をも食料にしてしまうタフさを見せます。そして、清子は悟ります。過酷な状況下、清子の持参した荷物はどれも役に立たないが、一番不要な物は「夫だ」と。
島には他にも16人の日本人の若者たちが漂着します。与那国島での厳しいバイトから逃げ出した彼らは、島を「東京島」と名付けて「シブヤ」「ブクロ」「ジュク」等という集落を形成します。
夫が不審死を遂げた後、清子はリーダー格のカスカベ(山口龍人)と夫婦同然の暮らしを始めますが、ルールを決めて安住しようとする若者たちの生活は、密航に失敗した7人の中国人の登場で破られます。
桐野夏生は、平凡なパート主婦仲間がバラバラ殺人を犯す過程を描く代表作『OUT』を始め、東電OL事件をモチーフに娼婦殺人の謎に迫る『グロテスク』等、凶悪犯罪や自堕落な生活に身を落とす女性たちを通し、知られざる女性の深層心理をあぶり出してきました。恐ろしいまでに、したたかで逞しく妖しい女性たちの姿に驚き、圧倒された読者も多いはず。そんな桐野が描く女性、清子の姿が本作でも注目されますが……。
唯一の女性という特性を武器に、何があっても生き延びようとする清子と、男たちとのサバイバル合戦。奇抜な設定は突飛な展開へと発展し、意表を突いたラストまで驚きの連続です。
ただし、桐野夏生が想像力の翼を大きく広げた原作は、女性のさらなる「強さ」を願った単なる夢物語で終わっています。映画もまた然り。はちゃめちゃな行動を取る清子、あまりに軟弱過ぎる日本人の若者たちは正直いって、共感しにくいです。
日本の若者たちは、当時若手俳優の筆頭格だった窪塚洋介、福士誠治のほか、まだブレイク前の柄本佑や染谷将太などが演じています。
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【木村多江の主演映画が2026年7月24日よりリバイバル上映】
4Kリマスター版でよみがえる名作ヒューマンドラマ
