物語性において敗北した日本の野党
――〈物語で勝ちに行かなかった政治空間〉に安住した政党政治の帰結
【無料公開部分】導入・要旨
はじめに
日本の政治空間では、奇妙な同時進行が起きている。
政治構造を理解した人々は、静かに民主主義から Exit し、
一方で、その構造を知らされていない人々が、積極的に政治へと参加させられている。
この現象は偶然ではない。
また、若者の未熟さや大衆の愚鈍さによって説明できるものでもない。
本稿の主眼は明確である。
日本の野党は、物語性において敗北した。
その理由は、〈物語で勝ちに行かなかった政治空間〉の中に、
無自覚に安住し続けたからである。
戦後日本の政治空間は、日米安保体制を中核とする冷戦秩序によって形作られた。
この空間では、
政権交代は例外的事象であり
統治の前提は変更不可能なものとされ
野党は「不満を処理する装置」として配置される
という地形が、最初から与えられていた。
問題は、この地形が存在したことではない。
その地形を疑い、越える物語を、
野党自身が構築しなかったことにある。
その結果として起きたのが、
理解した者たちの Exit と、
理解させられないまま動員される者たちの参加、
という現在の歪んだ政治参加の姿である。
本稿は、日本の野党がなぜ敗北したのかではなく、
なぜ野党は、
勝てないと分かっている政治空間に
留まり続ける選択をしたのか
を問う。
要旨(無料部分の結論)
戦後日本の政治空間は、物語で勝つことを前提としない構造として設計された
野党は、その構造を前提条件として受け入れ続けた
野党支持基盤であった労働組合の分断は、是正されなかった
構造を理解した者たちから順に、政治から Exit した
その Exit は合理的判断であると同時に、民主主義への裏切りという側面も持つ
参政党現象や高市政権は、この長期的敗北の原因ではなく帰結である
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