~楽天イーグルス考察~【番外編】2025年パリーグ新人王争いした3選手たちの2026年展望
2025年のパリーグはロッテ西川選手、楽天宗山選手、西武渡部選手の3選手が新人王争いに加わり、結果的にロッテ西川選手が新人王に輝き、楽天宗山選手はベストナインに選ばれるなど稀に見る大当たり年でした。ここではそれぞれの今シーズンの成績を振り返りつつ、2026年シーズンの展望について深堀してみたいと思います。
阪神の森下選手の場合

パリーグには大卒1年目で規定打席に達する選手がしばらくいなかったため、モデルとなる選手として阪神の森下選手を例に比較してみたいと思います。
森下選手の1年目は規定打席には達しないまでも、打率.237、出塁率.316、OPS.691でホームランを10本とルーキーとしては良い成績を残しました。打率が低くホームランが多い面はどちらかと言えば西武の渡部選手に近い成績となっています。そして森下選手の場合はIsoDが0.078、BB/K0.41と標準的な選球眼を持ち、BABIPは.268と運の無い打球が多くありました。
森下選手の2年目シーズンは完全にチームの主軸として成長し、上記の成績の他、ホームランは16本放つだけでなく、IsoDが0.088、BB/K0.68と向上させました。この通り森下選手は選球眼が特徴に挙げられます。
新人王西川選手の特徴

2025年の西川選手はオープン戦は好調だったものを開幕以降にオープン戦で明らかになった弱点を攻められ低迷、4/12、5/27の2度の登録抹消を経験した。二軍でサブロー二軍監督と二人三脚で打撃フォームを見直し、「ポイントを近づけて詰まっても振り抜く」フォームを取り戻し6/13に一軍再登録。交流戦以降は打率.300、OPS.745の好成績を残し、新人王に輝きました。
西川選手は非常に特徴的な成績を残しており、二塁打はパリーグ最多の27本を記録している一方、ホームランは3本と極端な数字となっています。これはやはり詰まりながらヒットにすることに影響していると思われ、ポイント近くコンタクトしても西川選手のスイングスピードでは二塁打になる程度は跳んでいくがスタンドインさせるまでではないということです。また同様に本来フライアウトになる打球も内野手の頭を超えてヒットになることも多く、BABIP(ヒットにおける運要素を表す指標)が.343と平均より高めになっていることもこういうラッキーヒットが多かったことを示しています。
またこれは3選手ともに当てはまるのですが、IsoD(選球眼を表す指標)が0.037と出塁率が.318と打率に対して低く、BB/Kも0.19と低くなっています。この辺りが来季に向けて改善ポイントとなっている思われます。
西川選手の来シーズンの展望
西川選手が森下選手の曲線を辿るのであれば”S”評価にまで成長する可能性はあります。ただ森下選手とは異なりIsoDが低いのが難点で、ポイントが近い(投球を最後まで見ている)のにも関わらず、ボールを選べない部分が今後のネックとなりそうです。
加えて今年二軍で打撃フォームを固めたことに手ごたえを掴んでおり、ホームランを増やすために打撃ポイントを手前にするようなフォーム改造を行うのは消極的なのではと感じます。そうなるとホームランを増やす場合にスイングスピードを上げるか単純なパワーを増やしてバット重量を上げる方法となりますが、元々鋭いスイングスピードを上げるのは容易ではなく、単純なパワー増を目指すのかなと思います。ただホームラン病に取り憑かれて打撃フォームに手を付けると思わぬ落とし穴に陥るかもしれません。また並行してストライクゾーンの見極め向上にも努めると思われます。
ここから予想される2026年シーズンの成績は、打席数550、ホームラン10本、OPS.700~750の237pt~273pt(”B+”~”A”評価)と予想します。
ベストナイン宗山選手の特徴

2025年の宗山選手は全試合で一軍に帯同し、疲れを考慮されてスタメンを外されることはあってもコンスタントに起用され続け、3選手の中では1番多くの打席に立ちました。一時期ストレートに弱いと見られてストレートで攻め続けられるものの、対応して克服する高い適応能力を示しました。また犠飛が多く、簡単に外野へ飛ばすのも印象深かったです。
打撃フォームの特徴として、構えから最短距離でバットを出しコンパクトにスイングするもので力強さはあまり感じないものです。打てそうな球に対してはカウントに関わらず積極的にバットを出していくのですが、それにより打ち損じも多く四球をあまり選べませんでした。このことは出塁率.289、IsoD0.029、BB/K0.24に現れており、ここがウィークポイントの1つです。
また長打が少なく、捉えたという当たりも打球が上がりすぎてフェンス直前で失速するという「打ち負けた」打球も多く、ここがもう1つのウィークポイントになります。
宗山選手の来シーズンの展望
宗山選手はオフの自主トレとして「単純なパワーを身に付ける」ことを目標として、1人で自主トレを行うことを表明しており、この取り組みはウィークポイントの克服に繋がり好感が持てます。またこれを自分で気づいて取り組む姿勢に高い自己分析力と適応能力を感じます。また当然ながら打てる球・見送る球の見極めの質を上げ、選球眼の向上にも努めるのではないかと思われます。
ここから予想される2026年シーズンの成績は、打席数550、ホームラン5~10本、OPS.670~720の217pt~251pt(”B+”評価)と予想します。ショートとすればこの数字で十分ですが、この予想を上回ってくれると嬉しいですね。
西武渡部選手の特徴

2025年の渡部選手は開幕以降打ちまくり、5/14に初ホームランが出た後は5月で4本のホームランを打ちました。5/31に右足首捻挫で抹消され、1か月ほど二軍で過ごした後に6/27に再登録されましたが、ケガが完全に癒えていなかったのか、それとも疲れなのかはわかりませんが、7月OPS.588、8月OPS.450と低迷しました。
9月になると調子を取り戻しOPS.827と回復したので、これが渡部選手の本来の実力と思います。
渡部選手はフォークの打率が.260、スプリットの打率が.286、カットボールの打率が.346と手元で変化する変化球に相性が良かったです。これは渡部選手の打撃フォームがかなり手前のポイントで捉える特徴的な打撃フォームであり、いわゆる「曲がりはじめを打つ」打撃でした。したがって、右足首捻挫が影響していた(あるいはベルーナドームの過酷な環境?)7・8月は踏み出した足の踏ん張りがきかず打撃ポイントが安定しなかったように思われます。
こうして渡部選手は能動的にスイングを行うため、IsoDは0.040、BB/Kは0.25低かったですが、それでも西川選手・宗山選手よりは良い成績となっていました。
渡部選手の来シーズンの展望
私は3人の中では来シーズンは渡部選手がもっとも結果を残すと考えます。というのも打撃フォームが基本前捌きでかつボールゾーンの見極めができていたこと、変化球で体勢を崩されながらも芯で捉えて二塁打にできるだけのパワーを備えており、ケガでの不調時期以外ではOPS.800超えをしていたことから、「健康で普通にできれば」来シーズンはOPS.800に達するシーズンとなることでしょう。
ただ1点懸念があるとすれば、渡部選手はチーム事情で来シーズンサードにコンバートするということです。高校時代はサードでしたが、大学時代にセンターへコンバートされ、4年にサードも守っていたということですが、本当に上手ければ2025年の西武にはサードのレギュラーがいなかったので最初からサードを守備させていたことでしょう。そしてプロはアマチュアよりも打球速度が速いのでそれに戸惑ってしまうと成長曲線は鈍化するかもしれません。もっともそれ懸念も杞憂に終わるような気もします。
これらから予想される2026年シーズンの成績は、打席数550、ホームラン15~20本、OPS.720~800の251pt~310pt(”A”~”S”評価)と予想します。
結論
私はケガさえなければこの3選手とも大きな飛躍となるシーズンと予想します。その中でも西武の渡部選手はパリーグを代表とするスラッガーに成長する可能性を秘めています。また宗山選手は想定通りの成長を見せてくれるとNPB屈指のショートになりそうな気がします。
