脊髄小脳変性症に対するアプローチの一例 理学療法士
今回は、脊髄小脳変性症の対象者に対して、スタッフ側が運動課題のリハーサルをしながら運動学習をすることで体幹部の安定性や運動失調の軽減が認められる経験をしたため、まとめていきます。
脊髄小脳変性症とは、小脳を中心とした神経の変性によって生じる疾患であり、総称して脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration: 以下SCD)と呼びます。
症状としては、運動失調や錐体路障害、錐体外路障害、自律神経障害などを挙げられ、進行性の疾患であります。
私が対応した方は、小脳性運動失調の症状が強いものの、痙性や固縮はなく、他動可動域や自動可動域は比較的保たれており、なおかつ四つ這いや膝立ち等を自分自身で保てる体幹機能がありました。
しかし、座位や立位の動き始めで、大きく左右前後にバランスを崩して、転倒するリスクが見られ、家族の方からも家の中では一人で移動できるが屋外になった瞬間、ふらつく量が格段に増えるとのお話が聞かれました。
このことから、いつもと違う環境で転倒リスクが増えることに対して、自分自身のボディイメージと運動の企画に制限があり、精神的負荷も加わることでより運動失調が増強しているようにに感じました。
そのため、四肢の協調的な筋活動を運動学習することができることで、本来の残存している体幹機能が引き出され、転倒しにくい身体に変化する可能性を考えて、対応しました。
実際にやった治療方法は、主に上肢と下肢のプレーシングやその位置から上下左右に目標物を置いて触るということと起き上がりや寝返りを繰り返して行うということです。
また、これらを最初にセラピスト側がリハーサルとして行うことで、運動のイメージや企画をしやすくすることで、内部モデルを用いた運動学習がより効果的に行えるように実施しました。
リハーサルをしない場合は測定異常がより強く見られ、リハーサルをした場合は運動の修正が早く、運動学習する機能があることを認識しました。
さらに、運動課題の肢位を背臥位と側臥位などに変化させるだけで、行っている運動課題はあまり変わらないものの、運動が苦手になることから環境に対する自身の身体の定位などがわかりにくくなっていると考えました。
そのため、色んな姿勢で行いながら、よりゆっくりとできるようにしたところ、以前まで見られていた座位での動き始めのふらつきが軽減しており、歩行の安定性も少しですが、改善しつつあるように見られています。
このように、中枢神経障害によって、動作学習がなかなか進みにくい場合は、運動を企画しやすい環境にすることや運動する中でボディイメージを再認識できる課題をすることは重要であることを再認識しました。
進行性の疾患でも、変化がでそうな機能に対して、積極的にアプローチすることを忘れずに臨床に向き合いたいと思いました。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。
