欠陥人間ADMDの日記 第九話:「プレゼント選びで、脳内が渋滞した日」
第九話:「プレゼント選びで、脳内が渋滞した日」
佐伯さんの誕生日が近いらしい。
オイラは、聞いた瞬間からソワソワしてた。
「何か渡したい」って思った。
でも、何を渡せばいいのか、まったくわからなかった。
文房具?
ハンカチ?
盆栽の種?(それは部長だ)
オイラは雑貨屋に入った。
脳内では「佐伯さん=梅干し=和風=茶碗?」という謎の連想ゲームが始まっていた。
でも、茶碗を渡すのは重すぎる気がした。
オイラの手も、気持ちも、まだそんなに重くない。
店内をぐるぐる回って、気づけば1時間。
手に取ったのは、小さなメモ帳だった。
表紙に「今日の空、綺麗だったね」って書いてある。
…それ、オイラが部長に誤爆したセリフじゃん。
でも、なんだかそれがいい気がした。
オイラの“欠陥”を、ちょっとだけ笑える形で渡せる気がした。
包装してもらって、リボンを選ぶとき、
オイラは「黄色」を選んだ。
佐伯さんが、前に「黄色って、元気になる色だよね」って言ってたから。
翌日、オイラはそのメモ帳を渡した。
手が震えた。
声も出なかった。
でも、佐伯さんは受け取ってくれた。
「ありがとう。主水くんらしいね」
そう言って、笑ってくれた。
オイラは、何も言えなかった。
でも、心の中で、ちょっとだけ祈った。
このメモ帳に、佐伯さんの“綺麗な空”がたくさん書き込まれますように。
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