第2回「ドランクモンキー酔拳」について
この映画が初めて見たジャッキー映画だ。
ゴールデン洋画劇場というテレビ番組で
放送されたものを見た。
とにかく面白くて興奮したのを覚えている。
「酔拳」が放送されてから学校に行くと、
酔拳の使い手がたくさんいた。
同級生みんなジャッキー・チェンになっていた。
当時の子供みんなが興奮していた「酔拳」。
少しヒットした理由を考えてみた。
1つ目は、物語の組み立てが
よくできているように思う。
強かった主人公が途中挫折を味わい
(鉄心に負ける)、そこを起点として、
今で真面目にやってこなかった修行に励み、
最終的にライバルとの戦いで勝利する
という流れだ。
今までのクンフー映画は、
基本誰かの敵討ち・復讐といったものが
主流だったのに対して、
酔拳は青年の成長がテーマとなっている。
それを悲壮的にならずにコミカルに
描くことによって、元々持っていた
ジャッキーの明るいキャラクターを
活かすことにも成功し、
ブルース・リーとは違う
面白いクンフー映画というものを
示すことができたように思う。
2つ目は、各キャラクターが個性的で
実に生き生き描かれているという点。
ジャッキー演じる飛鴻はもちろんのこと、
師匠の蘇、殺し屋鉄心、棒使いのワン、
頭突きのタイガー、悪党リー、
その息子や弟子たち。
この登場人物が実に魅力的だということ。
マンガちっくと言っても良いくらい
キャラが立っている。
中でもラスボスの殺し屋鉄心。
やっぱり、この殺し屋鉄心の強さが、
物語の求心力となっているように思う。
果たして主人公は、この強敵に勝てるのか?
一度は負けた相手にリベンジできるのか?
物語が単純なだけに、主人公の前に
立ちはだかる敵役が強さも含めて
魅力的であるほど、映画全体を
盛り上げることに繋がる。
鉄心は見事なまでに
素晴らしい敵役を演じていると思う。
3つ目は、日本語吹き替え&日本版主題歌、
音楽の効果である。
さっきも言ったように話が単純な分、
基本クンフー対決が映画のメインとなってくる。その対決に良いメリハリをつけることに
日本版主題歌は一役買っているように思う。
吹き替えも同様で、リズムある会話のやりとり。
先程の魅力的なキャラクターってとこにも
通じてくるが、吹き替えによって、
その登場人物の魅力が数段アップしている
と思われる。
余談だがゴールデン洋画劇場の
日本語吹き替えで、ジャッキーは
飛鴻(ヒコウ)と呼ばれていたが、
その当時に発売されていた
ジャッキー本やフィルムコミックには
フェイという役名だった。
子供心に疑問に思ったもんだが、
これは、飛鴻を中国語読みにすると
フェイフォンになるらしく、
その違いだったようだ。
後のテレビ東京版の吹き替えでは、
フェイフォンと呼ばれるように変更されていた。
さて最後に香港公開版と日本公開版の
オープニングの違いについて
話しておうこうと思う。
酔拳は小学校の時から
何度見たかわからないくらい見てきた。
ビデオに録画していたのは
TVで放送された物だったので
カットされているシーンがあるのは知っていた。(断食、最初の修行、夜中に小屋から抜け出そうとして失敗するところとか)
だがオープニングが違うことについては
全く知らなかった。
大人になってレンタルビデオを借りて見たら、
オープニングが違っていたことに、
かなり驚いたのを覚えている。
そのオープニングの違いだが、
日本公開版は、ジャッキーの酔拳の演舞に
日本主題歌「拳法混乱」が流れる。
このジャッキーの演舞は映画の
本編で出てくる修行シーンである。
それに対して香港公開版は、
殺し屋鉄心の登場から始まる。
鉄心が殺しの依頼を受けるところから始まり、
その依頼された相手を得意の飛び蹴りで倒す
ところでタイトルバックなのだ。
香港公開版のオープニングは、
ジャッキーが最終的に戦うであろう
鉄心の強さがわかる場面になっている。
この強い相手に主人公は、どう戦うのか?
果たして勝てるのか?と見る側の期待を
膨らませる効果があると思う。
実は姉妹編とも言われている
「スネーキーモンキー蛇拳」でも
最初のシーンはラスボスが
味方の門下を殺すシーンから始まる。
このラスボスの強さを最初に
見せるという手法は、ジャッキー自身が
監督を務めるようになった時にも
取り入れている。(笑拳・ヤングマスター等)
このオープニングの違い。
好き嫌い分かれるだろうが、
筆者は、やはり日本公開版の
オープニングが好きである。
途中の演武に主題歌をつけただけ
と思われるかもしれないが
まだジャッキーが日本で
無名だった時代だからこそ、
彼が主人公ですよと伝えることにもなるし、
キャッチ―な主題歌は
見事に当時の小学生の心をつかんだ。
日本で公開するにあたって、
酔拳の面白さを伝えるため、
日本のスタッフの努力を垣間見る思いである。
少年時代の思い出補正で、
すごく贔屓目になっているだろうが、
拳シリーズと呼ばれる物の中では
間違いなく最高傑作だと思う。
いいなと思ったら応援しよう!
お気持ちだけで、とてもうれしいです。