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第25回「スネーキーモンキー蛇拳」

◆「蛇拳」ヒットの要因

日本では、
「ドランクモンキー酔拳」のヒットにより
ジャッキー映画の第二弾として
「スネーキーモンキー蛇拳」が公開された。

ただ香港では、「蛇拳」の方が
先に公開されていて、
ジャッキー映画として
初のヒット作品は、こちらである。
そのヒットの要因は何だったのか?

監督ユエン・ウーピンが生み出した
新たなスタイル(コミカルクンフー)。
それを体現できるジャッキーの個性。

それらが上手く噛み合ったことで
「蛇拳」という傑作が生まれ
ヒットに繋がったと考える。

そしてジャッキーは
「蛇拳」のヒットによって
一気にスターの階段を昇ることになる。

その「蛇拳」の物語と
このジャッキー飛躍の姿が
私には、重なって見えてくる。

その内容を詳しく見ていきたいと思う。

◆「蛇拳」の物語とジャッキーの状況

実は、「蛇拳」は、
コミカルクンフー映画といいつつ、
物語の根幹部分は、シリアスな内容だ。

「蛇形拳」「鷹爪拳」2つの武術流派が争い、
「蛇形拳」は追い詰められて危機的状況だ。
TVで放映された吹き替え版では、
「鷹爪拳」一派のリーダー、
シャン・カン・ユーは
「蛇形拳」の門下3,000人を
殺したと言われている。
(殺し過ぎだし、誰も捕まえないのか?)
ジャッキーの師匠となる
「蛇形拳」使い手の老人も、
常に「鷹爪拳」の一派から命を狙われている。

そんな緊張感ある物語の中で、
ジャッキーは、ある道場の
下働きとして登場する。
吹き替え版での名前はチェンフー。
意味は、頭が悪いということらしい。

道場では、主にやられ役を担当。
道場の弟子が、そんなに強くなっていない事を
ごまかすために、ジャッキーにやられ役を
させているのである。
みなしごだったジャッキーは、
この理不尽な状況に、
ただ耐えるしかなかった。

そんなある日、隣の道場の人たちから
攻められている老人と遭遇する。
その老人こそ「蛇拳」の使い手
パイ・チャン・ティエンだった。

老人を助けたことで、
ジャッキーは「蛇拳」を
教えてもらうことになる。
吹き替えでは、老人から
「カンフーを習いたいか?」と聞かれ、
「そりゃ、もちろん。
そしたら逃げられるもの」
とジャッキーは答えるのである。
そこから「蛇拳」を習うための
厳しい修業が始まる。

「蛇拳」に主演するまでのジャッキーは、
ローウェイ主導ものとで
次々とクンフー映画に主演していたが、
興行的には失敗と言われても
仕方のない状況が続いていた。

第二のブルースリーとして、
ジャッキーを育てたかったローウェイ。
そのことに違和感を感じていたジャッキー。
しかし、自分の個性を発揮できる作品に
恵まれず不遇の時代を送っていた。

そんなジャッキーが、レンタルという形で
ローウェイ事務所以外の
映画作品に出ることになる。

そして、そこで自分の
個性を活かせる作品、
「蛇拳」と出会うのだ。

ローウェイが、ジャッキーよりも
36歳上だったのに対して
プロデューサーのン・シーエンや
監督のユエン・ウーピンは
10歳差くらいだった。

活発に意見交換したり、
試行錯誤していく中で、
コミカルクンフー映画の確立へと至る。

コミカルクンフー映画と言えども、
その撮影は過酷だったらしい。

しかし、その過酷な撮影(修行)を経て
「蛇拳」が完成する。そしてヒットとなる。

コミカルクンフー路線を
手に入れたジャッキーと
厳しい修業の末「蛇拳」を修得し、
その後、劇中で活躍していくチェンフーが、
まさに重なって見えてくるのである。

そう思うと「酔拳」よりも、
その物語がエモーショナルに
感じてしまうのである。

◆修業シーンのおもしろさ

「蛇拳」では、修業シーンが描かれる。
「酔拳」や「笑拳」でも修業シーンはあったが、
修業している内容と
その後使う「拳法」の型が
マッチしている修業シーンとしては、
「蛇拳」が一番優れているように思える。

中でも竹の上に置いてある卵を
取るという修業がある。
蛇が獲物を狙い、
捕獲する動きを模倣した修業だ。
実際、その修業が、どの程度「蛇拳」修得に
役立つのかは、わからないが
見た目のインパクトは絶大だ。
小学生だった私は、
このシーンが大好きだったし、
よくマネをして遊んだものだ。

それ以外にも、腹筋の修業や、
指たてふせ(線香を焚いたりはしていないが)
どれもマネした。マネした修業シーンが
一番多いのも「蛇拳」だったように思う。

結局、私は「蛇拳」を修得できなかったが、
少しだけ強くなったような
気分だけは味わえた。

◆コミカルクンフー映画におけるジャッキーチェン個性について

「蛇拳」によって、
ジャッキーの個性が発揮されたと述べたが
もう少し詳しく話していきたいと思う。

私が思うジャッキーの個性の特徴は2つだ。

1つは、ジャッキーのコメディセンスである。
これまで、ジャッキーアクションは、
その受けのアクションこそが魅力であると
語ってきたが、コメディに関しても
同じことが言える。

道場で下働きしている時のやり取り。
老人を助けた時の
隣の道場の人たちとのやり取り。
老人とお茶碗をめぐってのやり取り。

そのジャッキーの受けの演技。
表情だったり、仕草だったり、
見てる人が思わず笑ってしまうような
雰囲気を作り出している。
ジャッキーマジックである。

そういったコメディパートだけの話でない。
クンフーの対決シーンでも
このコメディセンスは発揮されている。

アクションの合間に見せる表情や仕草で
緊張感のある対決も
どこか、おかしみを感じるシーンとなる。

またジャッキーの身体能力の高さが、
コミカルな動きも可能となり、
コメディ路線でのジャッキーは無敵である。

2つめは、先ほども少し述べた
ジャッキーの身体能力の高さによる
アクションシーンの数々である。

「蛇拳」の監督ユエン・ウーピンは、
元々武術指導で、
その能力の高さを発揮していた。
ン・シーエンも、
その能力の高さを評価していた。

今回の「蛇拳」は、
ユエン・ウーピンにとって
初監督作品となる。
武術指導における注文は、
かなり難度の高い要求があったように思う。

ジャッキーの身体能力の高さは、
アクションシーンでこそ発揮される。
敵からの攻撃を避けるアクションは、
見ていて、驚きを隠せないレベルだ。

相手が刀を振り回しても、
それを紙一重で避けている。
ラストバトルのシャン・カン・ユーの
執拗な攻撃にもアクロバティックな
動きを駆使して避けている様は圧巻だ。

このように観客に驚きを与える動きも、
ユエン・ウーピンからの武術指導の元で
完成されていったものかもしれない。

修業シーン1つとっても、
ジャッキーの身体能力あってのシーンだろう。

「蛇拳」がヒットし、それによって
ジャッキーチェンという俳優が
一躍スターの仲間入りとなったのは、
単なるラッキーパンチではない
ということである。

◆みんな誤解しているラストシーン

さて「私が言いたい!どうでも良いこと」
のコーナーとなる。

ゴールデン洋画劇場の吹き替え版を
ずっと見てきた視聴者さんが、
誤解しているかもしれない
事例について述べたい。

ラスト、パイ・チャン・ティエンが、
シャン・カン・ユーに殺されそうになり、
ジャッキーが助けに入るシーンだ。

吹き替え版のセリフでは、
「石を使うなんて卑怯だぞ!」
とジャッキー。
「砂だ~」とシャン・カン・ユー。
(シャン・カン・ユーが握った石らしきものが
崩れて砂だとわかる)

これだと、シャン・カン・ユーは、
パイ・チャン・ティエンにトドメをさすために
石を使ったように見える。

シャン・カン・ユーの名誉のために
言っておきたいのだが、
この砂。持ち込んだのは、
シャン・カン・ユーではない。

もしBlu-rayかDVDを持っている人は、
スローモーションで見て欲しい。

実は、シャン・カン・ユーの
強力な鷲掴み(爪による攻撃)を防ぐため、
ジャッキーが砂の塊(石に見えるもの)を
相手の手に無理やり握らせて
攻撃をガードしたのだ。

字幕版では、ジャッキーが
「石(砂の塊)がほしいか!」と言って
それを相手に押し当て、
握力自慢のシャン・カン・ユーが
それを粉々に握りつぶす・・・
という攻防になっている。

つまり、石(砂)を持ち込んだのは、
シャン・カン・ユーではなく
ジャッキー自身である。

完全に吹き替え版のセリフが
間違っているのである。

脚本を書いた人が
見間違いで、
そう書いてしまったのかもしれない。

吹き替え版では、つづきのセリフはこうだ。
「どっちみち汚ねぇや。
おじさんなって言ってさ。
ひっかかるとこだった。」

そう、吹き替え脚本の間違いで、
石を持ってきたのは、
シャン・カン・ユーだと
ひっかかるとこだった・・・
かもしれない視聴者さんのために
一応、言及してみた。

◆カットされている?ラストバトルについて

このラストバトル、現在見られるものは、
どう考えてもカットされている。

戦い始めて、いきなりジャッキー
肩がはだけてるし、ズボンも
お尻のところが破けている。

「蛇拳」で戦うシーンは少なく、
ほぼ、いきなり
「猫爪くずし(吹き替え版)」を
使って応戦する流れだ。

「蛇拳」が日本で劇場公開された初期には、
全長版とも言えるラストバトルが見れたそうだ。

SNSの情報によると、
ジャッキーが「蛇拳」のみで応戦するが、
シャン・カン・ユーの「鷹爪拳」には
歯が立たず苦戦するシーンが
カットされているようだ。

いつか、それも含めて
「蛇拳」の日本劇場公開版を
見てみたいものである。

※「蛇拳」は日本独自の主題歌はないが、
オープニング含めて音楽が
全く違うバージョンがある。
私も昔、レンタルビデオで借りたものが、
上記のバージョンで驚いたことを覚えている。
現在、そのオープニングだけは、
YouTubeにアップされている動画で
確認することができる。















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ゆうぴち お気持ちだけで、とてもうれしいです。