戦争を始める理由と条件 NO.10(最終回)
(「戦争を始める理由と条件NO.9」からのつづき)
4 考察
以上の調査結果により、次のことが確認できる。なお、別表(開戦理由一覧表)を参照しながら見るとより理解が容易となる。
(1)今回の調査対象とした89件の戦争等のうち57件(概ね2/3)は、相
手国の状況が「領土の一部がかつて先制国の領土だった」または「内戦
中か社会的不安定状態だった」に該当する場合に起こっている。よっ
て、多くの戦争等は、自国の領土の一部が他国の領土だったことがある
場合または自国が内戦中や不安定な社会情勢である場合に仕掛けられて
いる。
(2)約半数の戦争等が、参戦類型として「同盟や条約等に基づく参戦」、
「国境又は資源を巡る紛争」、「報復戦争」のいずれかに該当してい
る。
(3)89件の戦争等のうち、上に述べた相手国の状況(2つ)と参戦類型(3
つ)のいずれにも該当しないものはわずか12件と少なく、特に帝国主義
の時代が終わった第二次世界大戦後においては、イスラエル(4件)、ア
メリカ(3件)、中国(1件)が先制した8件だけである。
(4)ソ連崩壊後(1991年12月以降)に発生した31件の戦争等に限ってみ
ると、そのうち22件(71%)は、相手国の状況が「領土の一部がかつて
先制国の領土だった」または「内戦中か社会的不安定状態だった」に該
当する場合に起こっている。
また、31件中19件(61%)の戦争等が、参戦類型として「同盟や条約
等に基づく参戦」、「国境又は資源を巡る紛争」または「報復戦争」の
いずれかに該当している。
さらに、上記の相手国の状況(2つ)と参戦類型(3つ)のいずれにも該
当しないものは31件中2件と極めて少なく、イスラエル(1件)、アメ
リカ(1件)が先制したものだけである。
上記(1)から(4)で確認できたことによって、次のことが言えると考える。
◎ 戦争を仕掛けられないためには、
① 他国の領土を占領しないこと(国境問題を軍事力で解決しないこと)
② 内戦など国内を不安定な状態にしないないこと
③ 他国から報復されるような事件を起こさないこと
の3要件が重要である。
この要件がそろっていれば、戦争を仕掛けられる確率は極めて低いのが本調査結果からわかる現実である。
さらに、④軍事同盟を避けることは、無用な参戦を回避する上で重要である。
なお、現時点の日本は、①②③には該当していないことから、自らが先制攻撃を行わない限り、他国から戦争を仕掛けられる可能性は極めて小さいと考えられる。
しかし、事実上の軍事同盟を結んでいるため、無用な参戦を回避できない危険性は残っていると考えられる。
(おわり)
