小鳥先生、心臓がもちません #161
私は学習教室で、6歳以下の幼児さん担当の、先生として働いています。
この日も私は自転車に乗り、職場に向かっておりました。
まさか教室内で、あんなことや、こんなことが起こるなどとは、この時の小鳥先生は、まだ何も知らない、、、
Kくんが来られました。
教室に来られましたら、最初に教室長に宿題を提出します。
Kくんが宿題を出しに行っている間、私はKくんの席の前で膝をついてしゃがみながら、今日の学習内容の確認をしておりました。
そこへ、
「小鳥先生〜」と言いながら、
Kくんが私の背中に抱きついてきました。
、、、こ、これは?!
、、、ま、まさか?!
全世界の女子が心ときめくという、あの、
バックハグというやつではないでしょうか?!
まさか、我が子以外の殿方に、バックハグをしていただく日が来るなどと、いったい誰が想像したでしょう。
落ち着け、小鳥先生。
ここは学習教室で、私は先生。
Kくんに、席に座るように言わなければ。
私は「Kくん、お席に座ろうか、、、」と言いながら、顔を右側に回しました。
そしたらね。
Kくんも「ね〜」と言いながら、私の顔を覗き込みました。
、、、顔が、顔が、
近い!近い!近い!ちか〜い!!!
膝からくずれ落ちながら、ドキドキしている心臓をおさえている私に対して、
Kくんは、
「小鳥先生、今日プリント何枚?」
と、無邪気に聞いてこられます。
こやつめ。
乙女心をもて遊びおって。
ここで前回申しましたあの言葉を、覚えておいでの方がおられましたら、どうかご唱和下さいませ。
みなさま。
「純粋無垢」とは、恐ろしい!!
無敵なの?←無敵です。
そこへおしゃべり大好きRくんが来られました。
私をマジマジと見たあと、
「小鳥先生、髪型変えた?
なんで、髪型変えたの?
いつ変えたの?」
そう聞いてこられました。
するどい。
6歳ボーイの観察眼をあなどるなかれ。
確かに2ヶ月ぶりに髪を切りました。
正確には、髪型を変えました。
よくぞ気づいた6歳ボーイ。
Rくんが席に座られましたので、私は向かいに立ち、目が合うようにしゃがみながら、
「髪の毛が伸びたな〜と思ったから切ってみたよ」と言いました。
すると、Rくんは、また私をマジマジと見てから一言。
「小鳥先生、かわいいね」
「ほんとかわいいね」
、、、みなさま。
信じられないかと思いますが、
これは実話です!!
安心して下さい。
誰よりも、私が一番驚いています!!
まさか御年6歳のピチピチイケメンボーイに、
「ほんとかわいいね」
と言われるなんて。
そんな未来を想像したこともなかった。←普通はそう。
わかっております。
私は身の程を知っております。
お母さんが髪型を変えたのを見て、
「お母さんかわいいね」と言う、
さしずめそれと同じ状況でありましょう。
だがしかし。
「かわいい」などと言われ慣れていない私などからすれば、
ハートの矢がズッキュン。
嬉しいのと、恥ずかしいのとで、再び膝からくずれ落ちながら、
あぁ、もたない、、、
心臓がもたない、、、
私は今日、無事に生きて帰れるのかしらと、わが身と心臓を心配することしかできません。
さて。
RくんとKくん、お2人の学習が始まりました。
右にRくん。
左にKくん。
私は2人の真ん中に座っておりました。
お2人は、自分で学習を進められますので、Rくんと一緒に音読をする時以外は、基本見守りをしています。
Rくんの音読の際は、前に行き、膝をついて座りながら、目線を合わせて音読をします。
音読が終わると、私はまた真ん中の席に座り、採点をしつつ見守っておりますと、
Kくんに、
「小鳥先生、隣に座っていて!!」
そう言われましたので、
「うん。隣に座ってるよ。ここにいるよ」
とお返事いたしました。
そこへ、Rくんが、
「小鳥先生、音読して!」
「Rくん、小鳥先生、座ったまま音読してもいいかな?」
「ダメだよ。ちゃんと前に来て!」
Kくんに、座っていてと言われましたが、Rくんの前に行き、音読をします。
終わって席に戻ると、Kくんに、
「小鳥先生、ずっと隣に座っていて!」
と再び言われました。
「ごめんね、座っているからね」
と言っていると、
Rくんが、再び、
「小鳥先生、音読して!」
「ちゃんと前に来て音読して!」
、、、いや。
1歩か2歩のことだよ?
隣じゃダメなの?
そう思いましたが、Rくんの前に来て欲しいアピールがたいそう強いため、再びRくんの前に移動いたします。
終わって席に戻ると、Kくんに、
「もう!!小鳥先生、ずっと隣に座っていてって言ったでしょ!!」
、、、怒られました。
「ずっと隣に座っていない」
という重罪をおかした罪により、
「めちゃくちゃ怒られる」
という処罰を受けました。
真面目に仕事をしているだけなのに。
ほんの1歩か2歩の話なのに。
かたや「前に来い」と言われ、
かたや「俺の隣に座ってろ」と言われ、
(↑ちょっと違う)
挙句の果てには、怒られる。
なんと理不尽な仕打ちでしょうか、、、
こんなKくんとRくんですが、帰る時には必ずお互いにあいさつをされます。
この日は先に帰るKくんが、
「バイバイ、Rくん。またね」
そう言って、手を振りながら帰っていかれました。
たまに時間が合わなくて会えなかった時は、
「今日Rくんいないの?僕が来るのが遅かったから?」と、少しがっかりされたりもします。
そんな2人の姿を見ていると、たまらなく可愛くて、たまらなく愛しいなと思います。
Rくんは4月から小学生になられますので、私は担当から外れます。
少しさみしいような、成長が嬉しいような、複雑な気持ちでおりますが、これからも、教室内の生徒さんとして、そっとRくんを見守っていけたらと思います。
だからねRくん。時々でいいから、
「小鳥先生かわいいね」
って、お世辞でいいから言ってよね。
