綿花に魅せられて — 天理で紡がれた、あたたかな一日
(2025/11/15 全国コットンサミット in 天理)

1|綿花との出会い
綿花との出会いは、
「能登半島復興支援商品に、真綿を使いたい」という想いからでした。
探し求める中で出会ったのが、今回のサミット実行委員長の梅田さん。
お話を伺うたびに、綿花圃場の風景がまぶたに広がり、いろんな種類の綿に触れるほど、
その柔らかさと奥に秘めた生命力に惹かれていきました。
朝露にたえ、夕方には花を咲かせる綿花。
そよぐ風の音、綿を包む空気のあたたかさ。
その姿はまるで、私たち人間の生き方そのものを映す
“原風景”のようでした。

2|全国コットンサミットとは
全国コットンサミットは、
全国で綿花を育てる人々が集い、「綿花を通じて農業・教育・福祉・地域をより良くしていく」ことを目指して、2011年に大阪・岸和田で始まりました。
綿花は、糸や布になる“素材”であると同時に、人と人をつなぎ、地域の風景を守り、子どもから高齢者まで「生きがい」を届ける力を持っています。
まるで一本の糸が、農家・企業・行政・教育・福祉をつなぎ、大きな布を織り上げていくように。コットンサミットは、“未来を紡ぐ場” です。
3|私がこの場に来た理由
今回の学びは、
まるで一本の糸が誰かの手からそっと手渡され、
次の人へ、また次の人へと紡がれていくような、あたたかい時間でした。
私が noriko brand のものづくりで大切にしているのは、
地産地消の素材を生かすこと
土地の恵みに感謝し、共に育ち合うこと
7次化産業=“楽しい幸福の循環”をつくること
循環型の社会貢献事業は、日本の復活を支える雛形になる。
その信念が、今回のサミットでいっそう確かになりました。
4|大ホールの発表で気づいたこと
全国の実践者の話を聞きながら、心の奥に浮かんだのはひとつの確信でした。
「日本復活は、日本の強みを生かすことから始まる」
自然と共生し、あるものを再生し、創意工夫で新しい価値に変えていく力。
地域ごとに受け継がれてきた管理力、研究技術。
これは他国には真似できない、日本人の底力です。
そして、この力を未来へ残すために必要なのは、
日常で使える“製品”として生み出し、選択肢を広げること。
どれほど良い技術でも、
収益がなければ継承されない。
「良いものを作る」だけでは文化は守れないのだと、
改めて教えられました。

5|綿花がつないでくれる、ふるさとの未来
(株)三笠 奈良工場の「めんかちゃんプロジェクト」では、
綿花栽培を通して地域がゆっくりとつながり始めています。
5月の種まき祭。
10月の収穫祭。
季節の循環とともに人が集う風景は、ふるさとの田園を未来へ残す“文化”そのもの。
かつて日本の繊維産業は、
1990年には 50% → 現在 1.5%
靴下産業は 85% → 10% へと縮小しました。
地域おこしとは、大きなプロジェクトではなく、こうした小さな「種まき」が重なって生まれるものだと感じます。

6|ワークショップで感じた“手の力”
手紡ぎの糸を見た瞬間、
その表情の豊かさに心が動きました。
まっすぐ伸びる糸もあれば、
ゆらぎながら生まれる糸もある。
どれも、その人の個性そのもの。
なんでも簡単に手に入る時代だからこそ、
“自分の手でつくる”という行為は、私たちに 立ち上がる力 を思い出させてくれます。
糸を紡ぐ時間は、心がほどけ、
同時に一本の芯が未来へ向かうような、そんな尊いひとときでした。

7|展示販売・ミニ講座・体験ブース
綿繰り、糸紡ぎ、手織り…。
“布ができるまで”の工程を体験できるブースには、
大人も子どもも夢中でした。
昔の人はこうして綿を育て、
種を取り、糸を紡ぎ、生地を織り、暮らしをつくっていた。
私たちは、大切なものを呼び起こす文化の記憶を、今も手の中に受け継いでいる。
そんな感覚が胸に残りました。

お弁当「心のあたたかさで笑顔に」
8|夜の懇親会で感じた“種の力”
懇親会には約150名が集まり、
地域の課題、挑戦、夢が語られました。
皆さんの目には、“手で作る誇り”が宿っていて、その空気の中で私は突然ステージに呼ばれ、参加した理由をお話しする機会をいただきました。
あの夜、
綿花は、人をつなぐ種なのだ
と、改めて強く実感しました。


9|結び|2日目へつづく
綿花は素材ではなく、
“文化を紡ぐ種”でした。
初日は、人と土地と技術がつながる物語に触れ、
心に静かな火が灯った時間。
翌日は、天理の大地を歩き、
綿花がこの土地で育まれてきた歴史を訪ねる旅へ。
シリーズ②へ続きます。

