成唯識論 巻第十 現代日本語訳シリーズ with ChatGPT


成唯識論卷第十
  護法等菩薩造
  *三藏法師玄奘奉  詔譯
此十一障二障所攝。煩惱障中見所斷種於極喜地見道初斷。彼障現起地前已伏。修所斷種金剛喩定現在前時一切頓斷。彼障現起地前漸伏。初地以上能頓伏盡令永不行如阿羅漢。由故意力前七地中雖暫現起而不爲失。八地以上畢竟不行。所知障中見所斷種於極喜地見道初斷。彼障現起地前已伏。修所斷種於十地中漸次斷滅金剛喩定現在前時方永斷盡。彼障現起地前漸伏乃至十地方永伏盡。八地以上六識倶者不復現行。無漏觀心及果相續能違彼故。第七倶者猶可現行。法空智果起位方伏。前五轉識設未轉依無漏伏故障不現起。雖於修道十地位中皆不斷滅煩惱障種而彼麁重亦漸斷滅。由斯故説二障麁重一一皆有三位斷義。雖諸位中皆斷麁重而三位顯。是故偏説。斷二障種漸頓云何。第七識倶煩惱障種三乘將得無學果。時一刹那中三界頓斷。所知障種將成佛時一刹那中一切頓斷。任運内起無麁細故。餘六識倶煩惱障種見所斷者三乘見位眞見道中一切頓斷。修所斷者隨其所應一類二乘三界九地一一漸次九品別斷。一類二乘三界九地合爲一聚九品別斷。菩薩要起金剛喩定一刹那中三界頓斷。所知障種初地初心頓斷一切見所斷者。修所斷者後於十地修道位中漸次而斷。乃至正起金剛喩定一刹那中方皆斷盡。通縁内外麁細境生品類差別有衆多故。二乘根鈍漸斷障時必各別起無間解脱。加行勝進或別或總。菩薩利根漸斷障位。非要別起無間解脱刹那刹那能斷證故。加行等四刹那刹那前後相望皆容具有


成唯識論 巻第十:二障の断除と修行の進展

A. 二障の断除とその段階

菩薩が修行を進める中で克服すべき**「煩悩障」「所知障」**について、それぞれの消滅過程と修行段階における特徴を説明する。


B. 煩悩障と所知障の断除のプロセス

1. 煩悩障の断除

煩悩障とは、貪・瞋・痴などの煩悩による障害であり、悟りへの妨げとなる。
この障害は見所断修所断の二種類に分かれる。

  • 見所断(見道によって断じられる煩悩)

    • 極喜地(第一地)で初めて断じられる

    • 見道(悟りの入り口)において、一切の見所断の煩悩は一度に断たれる。

    • しかし、修道(さらなる修行の過程)においては、徐々に細かい煩悩を消していく。

  • 修所断(修行によって断じられる煩悩)

    • **金剛喩定(最終段階の禅定)**に至ることで、完全に断たれる。

    • 七地以前では、意識的に煩悩を抑えるが、まだ完全には消えていない。

    • 八地以降では、煩悩は自然と現れなくなる。

    • 阿羅漢の境地と同じように、七地以前の菩薩も煩悩を制御できるが、八地以上になると煩悩は完全に起こらなくなる


2. 所知障の断除

所知障とは、認識の歪みや無明(無知)による障害であり、智慧の完成を妨げるもの。

  • 見所断(見道で断たれる無知)

    • **極喜地(第一地)**で初めて断じられる。

  • 修所断(修行によって断じられる無知)

    • 十地の修行の中で段階的に消えていく

    • 最後に金剛喩定に達すると、すべての無知が完全に断たれる。

  • 修道の中での進展

    • 八地以降では、前六識(五感+意識)と無漏観心(悟りの智慧)が強化され、所知障が生じにくくなる。

    • 七地では、所知障はまだ残る

    • 金剛喩定に入ることで、最終的に完全に断たれる


C. 煩悩障と所知障の断除の詳細なプロセス

1. 三段階での断除

煩悩障と所知障の断除は、次の三つの段階で進む。

  1. 見道での断除

    • 三乗(声聞・縁覚・菩薩)の見道では、煩悩障の見所断が一切消滅する。

  2. 修道での断除

    • **二乗(声聞・縁覚)**では、三界(欲界・色界・無色界)の煩悩障を九段階に分けて、段階的に断じる。

    • 菩薩は金剛喩定に至ることで、一瞬で三界の煩悩障を断じる

  3. 究竟(最終段階)での断除

    • 煩悩障のすべての種子が金剛喩定で完全に消滅する

    • 所知障の最終的な種子は、仏果に至る瞬間に完全に断たれる


2. 二乗(声聞・縁覚)と菩薩の違い

  • 二乗(声聞・縁覚)の断除方法

    • 修道の中で、必ず「無間道」と「解脱道」を別々に起こしながら、一つずつ煩悩を消していく。

    • つまり、障害を断じるたびに、心の状態が変化する。

  • 菩薩の断除方法

    • 刹那ごとに煩悩を消していくため、無間道と解脱道を別々に起こす必要がない

    • 断じるプロセスがスムーズで、意識的に進めなくても、自然に悟りへと向かう。


D. まとめ

  • 二障(煩悩障・所知障)は見道と修道の中で段階的に断たれる

  • 金剛喩定(究極の禅定)に至ることで、すべての煩悩と無知が完全に消える

  • 二乗(声聞・縁覚)は煩悩を一つずつ消していくが、菩薩は刹那ごとに自然に断じる

  • 最終的に、仏果に至る瞬間に、所知障が完全に断たれる

「菩薩の修行は、煩悩と無知を段階的に克服し、最終的にすべての障害を断ち切る道である」


十眞如者。一遍行眞如。謂此眞如二空所顯無有一法而不在故。二最勝眞如。謂此眞如具無邊徳於一切法最爲勝故。三勝流眞如。謂此眞如所流教法於餘教法極爲勝故。四無攝受眞如。謂此眞如無所繋屬。非我執等所依取故。五類無別眞如。謂此眞如類無差別。非如眼等類有異故。六無染淨眞如。謂此眞如本性無染亦不可説後方淨故。七法無別眞如。謂此眞如雖多教法種種安立而無異故。八不増減眞如。謂此眞如離増減執。不隨淨染有増減故。即此亦名相土自在所依眞如。謂若證得此眞如已現相現土倶自在故。九智自在所依眞如。謂若證得此眞如已於無礙解得自在故。十業自在等所依眞如。謂若證得此眞如已普於一切神通作業總持定門皆自在故。雖眞如性實無差別而隨勝徳假立十種。雖初地中已達一切而能證行猶未圓滿。爲令圓滿後後建立


成唯識論 巻第十:十種眞如の解説

A. 十眞如とは

十眞如(じゅうしんにょ)とは、**仏教の根本的な真理(眞如)**を、さまざまな側面から分類した十の異なる特質を持つ眞如のことを指す。
眞如そのものは不変であり、実際には差別がないが、その勝れた徳(特質)によって十種に分けて説明される。


B. 十種眞如の詳細

1. 遍行眞如(へんぎょうしんにょ)

  • 意義: すべてに遍在する眞如。

  • 説明: この眞如は、**二種の空(人無我・法無我)**によって顕現し、一切の法に普遍的に存在する
    **「この世界に眞如の及ばないものは一つもない」**ということを示している。

2. 最勝眞如(さいしょうしんにょ)

  • 意義: すべての法の中で最も優れた眞如。

  • 説明: 眞如には無限の功徳が備わっており、あらゆる法の中で最も尊い存在である。
    **「すべての法の中で最高の真理である」**ということを示している。

3. 勝流眞如(しょうるしんにょ)

  • 意義: 最高の教法の根源となる眞如。

  • 説明: 眞如は、仏教の教えが流れ出る根本的な源であり、他の教えよりも最も優れた教えの流れを生じる根拠となる。
    **「仏教の根本真理として、最高の教えを生み出す」**ことを示している。

4. 無攝受眞如(むしょうじゅしんにょ)

  • 意義: どの概念にも束縛されない眞如。

  • 説明: 眞如は、私たちが執着するような自己(我)や概念に依存するものではない
    **「眞如は、何ものにも縛られることなく、自由である」**ということを示している。

5. 類無別眞如(るいむべつしんにょ)

  • 意義: 本質的に差別のない眞如。

  • 説明: 眞如には、たとえば「眼」「耳」などのような種類の違いがなく、一切のものが本質的に平等である
    **「すべての法の本質は平等であり、差別がない」**ことを示している。

6. 無染淨眞如(むぜんじょうしんにょ)

  • 意義: もともと染まることも清らかになることもない眞如。

  • 説明: 眞如の本質はもともと清らかであり、煩悩によって汚れることも、後から清められることもない
    **「本来、純粋であり、染まることも清められることもない」**ことを示している。

7. 法無別眞如(ほうむべつしんにょ)

  • 意義: すべての教え(法)が眞如の中で統一される。

  • 説明: たとえ多くの異なる教えが存在していても、それらはすべて眞如の中で一つの真理に統一される
    **「多様な教えの本質は、すべて同じ眞如である」**ということを示している。

8. 不增減眞如(ふぞうげんしんにょ)

  • 意義: 眞如は増えもせず、減りもしない。

  • 説明: 眞如は、私たちが清らかな行いをしても増えることはなく、悪行をしても減ることはない。
    **「眞如は変化することなく、増減しない」**ことを示している。

  • 補足: この眞如は「相土自在所依眞如(そうどじざいしょえしんにょ)」とも呼ばれる。

    • **「相土自在」**とは、悟りを得た者が自在に浄土を現すことができる状態を指す。

    • **「証得すれば、自分の境地と環境(相と土)を自在に変えられる」**ことを示している。

9. 智自在所依眞如(ちじざいしょえしんにょ)

  • 意義: 智慧によって自由自在に使われる眞如。

  • 説明: 眞如を悟ることにより、無碍の智慧(何ものにも障害されない智慧)を得ることができる
    **「智慧を完全に自在に使うことができる」**ことを示している。

10. 業自在等所依眞如(ごうじざいとうしょえしんにょ)

  • 意義: 仏の神通力や能力を自在に発揮できる眞如。

  • 説明: 仏がすべての神通力・業(行動)・定(禅定)を自在に行使できる根本的な力となる
    **「悟りを得た者が、自在に奇跡を起こし、智慧をもって行動できるようになる」**ことを示している。


C. まとめ

十眞如は、仏教における究極の真理(眞如)を異なる角度から説明したものである。
眞如そのものは本質的に一つであり、差別はないが、さまざまな面からその徳を明らかにするために十の種類がある。

  • 遍行眞如 → すべてに遍在する

  • 最勝眞如 → 最高の真理

  • 勝流眞如 → 最高の教えの源

  • 無攝受眞如 → 何ものにも束縛されない

  • 類無別眞如 → 本質的に平等

  • 無染淨眞如 → もともと清らかである

  • 法無別眞如 → すべての法の本質

  • 不增減眞如 → 増えも減りもしない

  • 智自在所依眞如 → 智慧を自在に扱える

  • 業自在等所依眞如 → 仏の神通力の根源

✅ **「眞如を悟ることで、智慧と行動が自在になり、最終的には仏としての力を発揮できる」**ということを示している。


如是菩薩於十地中勇猛修行十種勝行斷十重障證十眞如於二轉依便能證得。轉依位別略有六種。一損力益能轉。謂初二位。由習勝解及慚愧故損本識中染種勢力益本識内淨種功能。雖未斷障種實證轉依而漸伏現行亦名爲轉。二通達轉謂通達位。由見道力通達眞如斷分別生二障麁重證得一分眞實轉依。三修習轉。謂修習位。由數修習十地行故漸斷倶生二障麁重漸次證得眞實轉依。攝大乘中説通達轉在前六地有無相觀通達眞俗間雜現前令眞非眞現不現故。説修習轉在後四地純無相觀長時現前勇猛修習斷餘麁重多令非眞不顯現故。四果圓滿轉。謂究竟位。由三大劫阿僧企耶修集無邊難行勝行金剛喩定現在前時永斷本來一切麁重頓證佛果圓滿轉依。窮未來際利樂無盡。五下劣轉。謂二乘位。專求自利厭苦欣寂唯能通達生空眞如斷煩惱種證眞擇滅無勝堪能名下劣轉。六廣大轉。謂大乘位。爲利他故趣大菩提生死涅槃倶無欣厭具能通達二空眞如雙斷所知煩惱障種頓證無上菩提涅槃有勝堪能名廣大轉。此中意説廣大轉依捨二麁重而證得故。」轉依義別略有四種。一能轉道。此復有二。一能伏道。謂伏二障隨眠勢力令不引起二障現行。此通有漏無漏二道加行根本後得三智隨其所應漸頓伏彼。二能斷道。謂能永斷二障隨眠。此道定非有漏加行。有漏曾習。相執所引未泯相故。加行趣求所證所引未成辦故。有義根本無分別智親證二空所顯眞理。無境相故能斷隨眠。後得不然故非斷道。有義後得無分別智雖不親證二空眞理無力能斷迷理隨眠。而於安立非安立相明了現前無倒證故亦能永斷迷事隨眠。故瑜伽説修道位中有出世斷道世出世斷道。無純世間道能永害隨眠。是曾習故相執引故。由斯理趣諸見所斷及修所斷迷理隨眠唯有根本無分別智親證理故能正斷彼。餘修所斷迷事隨眠根本後得倶能正斷。二所轉依。此復有二。一持種依。謂本識。由此能持染淨法種與染淨法倶爲所依。聖道轉令捨染得淨。餘依他起性雖亦是依而不能持種故此不説。二迷悟依。謂眞如。由此能作迷悟根本諸染淨法依之得生。聖道轉令捨染得淨。餘雖亦作迷悟法依而非根本故此不説。三所轉捨。此復有二。一所斷捨。謂二障種。眞無間道現在前時障治相違彼便斷滅永不成就。説之爲捨。彼種斷故不復現行妄執我法。所執我法不對妄情。亦説爲捨。由此名捨遍計所執。二所棄捨。謂餘有漏劣無漏種。金剛喩定現在前時引極圓明純淨本識。非彼依故皆永棄捨。彼種捨已現有漏法及劣無漏畢竟不生。既永不生亦説爲捨。由此名捨生死劣法。有義所餘有漏法種及劣無漏金剛喩定現在前時皆已棄捨。與二障種倶時捨故。有義爾時猶未捨彼。與無間道不相違故。菩薩應無生死法故。此位應無所熏識故。住無間道應名佛故。後解脱道應無用故。由此應知。餘有漏等解脱道起方棄捨之。第八淨識非彼依故。四所轉得。此復有二。一所顯得。謂大涅槃。此雖本來自性清淨而由客障覆令不顯眞聖道生斷彼障故令其相顯名得涅槃。此依眞如離障施設。故體即是清淨法界


成唯識論 巻第十:二種転依とその詳細

A. 菩薩の修行と転依

菩薩は十地において勇猛に修行し、十種の勝行を実践し、十重の障を断じ、十種の眞如を証得する。その結果、**二種の転依(煩悩の転換)**を得る。


B. 転依の種類

転依(てんね)とは、迷いの世界(煩悩の束縛)から悟りの世界(解脱)へと転じることを指す。転依には大きく分けて六種類がある。

1. 損力益能転依(そんりゃくえきのうてんね)

  • 位置: 初地(極喜地)と第二地(離垢地)

  • 特徴:

    • 菩薩が善き習慣(勝解)と慚愧の心を培うことで、煩悩の勢力を弱め、清浄な力を増していく。

    • まだ煩悩の種を完全に断ち切っていないが、煩悩の現れを抑えることで、転依の始まりとされる。

2. 通達転依(つうたつてんね)

  • 位置: 見道位(通達位)

  • 特徴:

    • **見道(悟りの道)**によって眞如(真理)を直接に体得し、分別によって生じた煩悩の重い部分を断つ

    • これにより、一部の転依が成就される。

3. 修習転依(しゅうじゅうてんね)

  • 位置: 修習位(修道位)

  • 特徴:

    • 十地の修行を通じて、より深く悟りを定着させる。

    • 煩悩の根深い部分(倶生の煩悩)を漸次的に断ち、最終的な転依に近づく。

4. 果圓満転依(かえんまんてんね)

  • 位置: 究竟位(仏果)

  • 特徴:

    • 三大阿僧祇劫(極めて長い時間)の修行を経て、金剛喩定(最終の悟りの境地)が現前する。

    • これにより、すべての煩悩の種が完全に断たれ、最終的な仏果の境地へと至る。

    • 転依が究極的に完成し、無限の利他行を続ける。

5. 下劣転依(げれつてんね)

  • 位置: 二乗(声聞・縁覚)

  • 特徴:

    • 小乗の修行者は、自らの解脱を目的として煩悩を断ち、涅槃(寂静)を求める

    • そのため、生の苦しみを離れはするが、菩薩のように広大な悟り(無上菩提)には至らない

    • **生空(個人の無我)**のみを悟るが、**法空(すべての現象の無我)**までは達しない。

6. 廣大転依(こうだいてんね)

  • 位置: 大乗(菩薩)

  • 特徴:

    • 生死も涅槃も等しく受け入れ、執着しない

    • **二種の空(生空・法空)**を完全に悟り、煩悩と所知の二つの障害を完全に断つ

    • 無上菩提と大涅槃を同時に証得し、偉大な覚り(仏果)に至る。


C. 転依の構造

転依には、さらに四つの側面がある。

1. 能転道(のうてんどう)

悟りへ導く道であり、二種類に分かれる。

1.1. 能伏道(のうぶくどう)

  • 意味: 煩悩の種を残しながらも、それを抑える修行の道

  • 適用:

    • 有漏(煩悩のある)道と無漏(清浄な)道の両方が含まれる。

    • 修行によって、少しずつ煩悩を制御する。

1.2. 能断道(のうだんどう)

  • 意味: 煩悩の種そのものを根本的に断ち切る道

  • 適用:

    • 根本的な無分別智(煩悩の影響を受けない智慧)が、直接に二障(煩悩障・所知障)を断つ。

    • 無漏の智慧が発現し、煩悩が消滅する。


2. 所転依(しょてんね)

転依の基盤となるもの。二種類に分かれる。

2.1. 持種依(じしゅい)

  • 意味: 煩悩と清浄な法の両方の種を保持するもの。

  • 適用:

    • **阿頼耶識(本識)**がこれに該当し、修行によって煩悩の種を捨て、清浄な種を増やしていく。

2.2. 迷悟依(めいごい)

  • 意味: 煩悩の世界(迷い)と悟りの世界(悟り)の根本的な依りどころ。

  • 適用:

    • **眞如(真理)**そのものがこれに該当し、迷いを離れることで悟りへと変わる。


3. 所転捨(しょてんしゃ)

転依の過程で捨てられるもの。二種類に分かれる。

3.1. 所断捨(しょだんしゃ)

  • 意味: 煩悩の種が完全に断たれること

  • 適用:

    • **無間道(悟りの直前の境地)**によって、煩悩が消滅し、二障(煩悩障・所知障)が根絶される。

3.2. 所棄捨(しょきしゃ)

  • 意味: 煩悩だけでなく、低次元の清浄な法すらも超えて捨て去ること

  • 適用:

    • **金剛喩定(究極の悟り)**によって、完全なる清浄な心(無漏心)が現れる。


4. 所転得(しょてんとく)

転依によって新たに得られるもの。

4.1. 所顯得(しょけんとく)

  • 意味: 眞如の清浄性が完全に顕現すること。

  • 適用:

    • **大涅槃(完全なる解脱)**が現れる。


D. まとめ

転依とは、迷いの世界から悟りの世界へと移行する過程であり、大乗菩薩道を歩む者は、最終的に「廣大転依」を得て仏果を成就する

「修行によって煩悩を伏し、智慧を得て、最終的に仏果へと至る」
「この過程が、転依の詳細な構造として整理される」


涅槃義別略有四種。一本來自性清淨涅槃。謂一切法相眞如理。雖有*客染而本性淨。具無數量微妙功徳。無生無滅湛若虚空。一切有情平等共有。與一切法不一不異。離一切相一切分別。尋思路絶名言道斷。唯眞聖者自内所證。其性本寂故名涅槃。二有餘依涅槃。謂即眞如出煩惱障。雖有微苦所依未滅。而障永寂故名涅槃。三無餘依涅槃。謂即眞如出生死苦。煩惱既盡餘依亦滅。衆苦永寂故名涅槃。四無住處涅槃。謂即眞如出所知障。大悲般若常所輔翼。由斯不住生死涅槃利樂有情窮未來際用而常寂故名涅槃。一切有情皆有初一。二乘無學容有前三。唯我世尊可言具四。如何善逝有有餘依。雖無實依而現似有。或苦依盡説無餘依。非苦依在説有餘依。是故世尊可言具四。若聲聞等有無餘依如何有處設彼非有。有處説彼都無涅槃豈有餘依彼亦非有。然聲聞等身智在時有所知障。苦依未盡圓寂義隱。説無涅槃。非彼實無煩惱障盡所顯眞理有餘涅槃。爾時未證無餘圓寂故亦説彼無無餘依。非彼後時滅身智已無苦依盡無餘涅槃。或説二乘無涅槃者依無住處不依前三。又説彼無無餘依者依不定性二乘而説。彼纔證得有餘涅槃。決定迴心求無上覺。由定願力留身久住。非如一類入無餘依。謂有二乘深樂圓寂得生空觀親證眞如。永滅感生煩惱障盡顯依眞理有餘涅槃。彼能感生煩惱盡故後有異熟無由更生。現苦所依任運滅位餘有爲法既無所依與彼苦依同時頓捨顯依眞理無餘涅槃。爾時雖無二乘身智而由彼證可説彼有。此位唯有清淨眞如。離相湛然寂滅安樂。依斯説彼與佛無差。但無菩提利樂他業。故復説彼與佛有異。諸所知障既不感生。如何斷彼得無住處。彼能隱覆法空眞如令不發生大悲般若窮未來際利樂有情故。斷彼時顯法空理。此理即是無住涅槃。令於二邊倶不住故。若所知障亦障涅槃。如何斷彼不得擇滅。擇滅離縛彼非縛故。既爾斷彼寧得涅槃。非諸涅槃皆擇滅攝。不爾性淨應非涅槃。能縛有情住生死者斷此説得擇滅無爲。諸所知障不感生死。非如煩惱能縛有情。故斷彼時不得擇滅。然斷彼故法空理顯。此理相寂説爲涅槃。非此涅槃擇滅爲性。故四圓寂諸無爲中初後即眞如。中二擇滅攝。若唯斷縛得擇滅者不動等二四中誰攝。非擇滅攝。説暫離故。擇滅無爲唯究竟滅。有非擇滅非永滅故。或無住處亦擇滅攝。由眞擇力滅障得故。擇滅有二。一滅縛得。謂斷感生煩惱得者。二滅障得。謂斷除障而證得者。故四圓寂諸無爲中初一即眞如。後三皆擇滅。不動等二暫伏滅者非擇滅攝究竟滅者擇滅所攝。既所知障亦障涅槃。如何但説是菩提障。説煩惱障但障涅槃豈彼不能爲菩提障。應知聖教依勝用説。理實倶能通障二果。如是所説四涅槃中唯後三種名所顯得。二所生得。謂大菩提。此雖本來有能生種而所知障礙故不生。由聖道力斷彼障故令從種起名得菩提。起已相續窮未來際。此即四智相應心品


成唯識論 巻第十:涅槃の四種分類

A. 涅槃の概要

涅槃(ねはん)とは、仏教において究極の解脱の境地を指し、迷いと苦しみの根本を完全に断ち切ることを意味する。しかし、涅槃にはさまざまな側面があり、大きく四種類に分類される。


B. 四種類の涅槃

1. 本来自性清浄涅槃(ほんらいじしょうしょうじょうねはん)

  • 意味:

    • すべての法の本質である**真如(しんにょ)**のことであり、煩悩の影響を受けず、本来から清浄である

    • たとえ迷いの世界に生きる有情(生きとし生けるもの)が煩悩に覆われていたとしても、その本質は清浄である

  • 特徴:

    • 生滅を超越し、虚空のように寂然とした存在

    • 全ての有情が等しく共有している。

    • 一切の分別を超越し、言葉や思索によって捉えることができない

    • 聖者のみが直接体験できる真理


2. 有余依涅槃(うよえねはん)

  • 意味:

    • 煩悩障(ぼんのうしょう)(煩悩の根本的な障害)が消滅した状態の涅槃。

    • しかし、「身体」や「業の残り(過去の行為による結果)」がまだ存在するため、微細な苦しみが残る

  • 特徴:

    • 煩悩そのものは消滅したが、肉体が存続するため、完全な安楽とは言えない

    • 聖者が涅槃に達した後でも、まだ世俗の影響を受ける可能性がある

    • 煩悩障が完全に消えたため「涅槃」と呼ばれるが、完全なる安寂ではない


3. 無余依涅槃(むよえねはん)

  • 意味:

    • 煩悩障と身体(物質的存在)そのものが完全に消滅した涅槃

    • 一切の苦しみが永遠に消え去った状態

  • 特徴:

    • 煩悩の影響を受けることが完全に無くなる

    • すべての業(カルマ)が消滅し、新たな生を受けることがなくなる

    • 二乗(声聞・縁覚)の修行者は、無余依涅槃に至ることで完全な解脱を得る


4. 無住処涅槃(むじゅうしょねはん)

  • 意味:

    • 「生死」と「涅槃」のどちらにも執着せず、常に有情(生きとし生けるもの)を救済し続ける菩薩や仏の境地

    • 大悲(衆生救済の慈悲)と般若(智慧)によって支えられている涅槃

  • 特徴:

    • 菩薩や仏は、生死にも涅槃にも執着せず、有情を救済するために生死の世界にとどまる

    • 完全に悟りを開いたにも関わらず、衆生を導くために行動し続ける

    • 最も理想的な涅槃の形態とされ、釈迦牟尼仏の境地もこの涅槃に当たる


C. 涅槃の適用範囲


D. 涅槃に関する議論

1. 釈迦牟尼仏は「有余依涅槃」を持つか?

  • 釈迦牟尼仏は、完全な涅槃(無住処涅槃)に達しているが、「現世において身体が残っていたため、一見すると有余依涅槃のように見える」。

  • しかし、実際には彼は「生死に執着しているわけではない」ため、無住処涅槃といえる。

2. 二乗(声聞・縁覚)には「無余依涅槃」があるか?

  • 一部の仏教経典では、「二乗の涅槃は存在しない」とする説もある。

  • これは、「無住処涅槃を持たないため、完全な涅槃には至らない」という立場に基づく。

  • ただし、一般的には「無余依涅槃は存在し、二乗は完全なる解脱に至る」とされる。


E. 涅槃と煩悩の関係

1. 所知障と涅槃

  • 煩悩障(迷いの原因となる煩悩)は、涅槃を障害するが、所知障(悟りを妨げる無知)は「無住処涅槃」の障害となる。

  • 煩悩障を断つと、「有余依涅槃」や「無余依涅槃」に至る。

  • 所知障を断つと、「無住処涅槃」に至る。

2. 所知障の断滅と無住処涅槃

  • 所知障があると、「生死の世界に戻って衆生を救う智慧」が妨げられる

  • これを断じたとき、「無住処涅槃」が顕現する。


F. 涅槃と菩提の関係

  • 「四種類の涅槃」のうち、後の三つ(有余依涅槃・無余依涅槃・無住処涅槃)は、煩悩を断じた結果として得られる(「所顕得」)。

  • 一方、菩提(悟り)は、所知障を断じた結果として得られる(「所生得」)。

  • 無住処涅槃を得るには、最終的に所知障も断たなければならない


G. まとめ

涅槃は4種類に分類される
一般の聖者(阿羅漢)は「有余依涅槃」または「無余依涅槃」に至る
菩薩や仏は「無住処涅槃」に至り、生死と涅槃のどちらにも執着せず、有情を救済し続ける
涅槃の最も理想的な形は「無住処涅槃」であり、釈迦牟尼仏もこれに属する


云何四智相應心品。一大圓鏡智相應心品。謂此心品離諸分別。所縁行相微細難知。不妄不愚一切境相。性相清淨離諸雜染。純淨圓徳現種依持。能現能生身土智影。無間無斷窮未來際。如大圓鏡現衆色像。二平等性智相應心品。謂此心品觀一切法自他有情悉皆平等。大慈悲等恒共相應。隨諸有情所樂示現受用身土影像差別。妙觀察智不共所依。無住涅槃之所建立。一味相續窮未來際。三妙觀察智相應心品。謂此心品善觀諸法自相共相無礙而轉。攝觀無量總持之門及所發生功徳珍寶。於大衆會能現無邊作用差別皆得自在。雨大法雨斷一切疑令諸有情皆獲利樂。四成所作智相應心品。謂此心品爲欲利樂諸有情故。普於十方示現種種變化三業成本願力所應作事。如是四智相應心品雖各定有二十二法能變所變種現倶生。而智用増以智名顯。故此四品總攝佛地一切有爲功徳皆盡。此轉有漏八七六五識相應品。如次而得。智雖非識而依識轉識爲主故説轉識得。又有漏位智劣識強。無漏位中智強識劣。爲勸有情依智捨識故説轉八識而得此四智。大圓鏡智相應心品有義菩薩金剛喩定現在前時即初現起。異熟識種與極微細所知障種倶時捨故。若圓鏡智爾時未起便無能持淨種識故。有義此品解脱道時初成佛故乃得初起。異熟識種金剛喩定現在前時猶未頓捨。與無間道不相違故。非障有漏劣無漏法但與佛果定相違故。金剛喩定無所熏識無漏不増應成佛故。由斯此品從初成佛盡未來際相續不斷。持無漏種令不失故。平等性智相應心品菩薩見道初現前位違二執故方得初起。後十地中執未斷故有漏等位或有間斷。法雲地後與淨第八相依相續盡未來際。妙觀察智相應心品生空觀品二乘見位亦得初起。此後展轉至無學位或至菩薩解行地終或至上位。若非有漏或無心時皆容現起法空觀品菩薩見位方得初起。此後展轉乃至上位。若非有漏生空智果或無心時皆容現起。成所作智相應心品有義菩薩修道位中後得引故亦得初起有義成佛方得初起。以十地中依異熟識所變眼等。非無漏故有漏不共必倶同境根發無漏識理不相應故。此二於境明昧異故。由斯此品要得成佛依無漏根方容現起。而數間斷。作意起故。此四種性雖皆本有而要熏發方得現行因位漸増。佛果圓滿不増不減盡未來際。但從種生不熏成種。勿前佛徳勝後佛故。大圓鏡智相應心品有義但縁眞如爲境。是無分別非後得智。行相所縁不可知故。有義此品縁一切法。莊嚴論説大圓鏡智於一切境不愚迷故。佛地經説如來智鏡諸處境識衆像現故。又此決定縁無漏種及身土等諸影像故行縁微細説不可知。如阿頼耶亦縁俗故。縁眞如故是無分別。縁餘境故後得智攝。其體是一隨用分二。了俗由證眞。故説爲後得。餘一分二准此應知。平等性智相應心品有義但縁第八淨識。如染第七縁藏識故。有義但縁眞如爲境。縁一切法平等性故。有義遍縁眞俗爲境。佛地經説平等性智證得十種平等性故。莊嚴論説縁諸有情自他平等隨他勝解示現無邊佛影像故。由斯此品通縁眞俗二智所攝於理無違。妙觀察智相應心品縁一切法自相共相皆無障礙二智所攝。成所作智相應心品有義但縁五種現境。莊嚴論説如來五根一一皆於五境轉故。有義此品亦能遍縁三世諸法不違正理。佛地經説成所作智起作三業諸變化事決擇有情心行差別領受去來現在等義。若不遍縁無此能。故然此心品隨意樂力或縁一法或二或多。且説五根於五境轉不言唯爾故不相違。隨作意生縁事相境起化業故後得智攝。此四心品雖皆遍能縁一切法而用有異。謂鏡智品現自受用身淨土相持無漏種。平等智品現他受用身淨土相。成事智品能現變化身及土相。觀察智品觀察自他功能過失雨大法雨破諸疑網利樂有情。如是等門差別多種。此四心品名所生得。此所生得總名菩提。及前涅槃名所轉得。雖轉依義總有四種而今但取二所轉得。頌説證得轉依言故。此修習位説能證得。非已證得因位攝故。


成唯識論 巻第十:四智相応心品(仏の四智)

A. 四智相応心品とは

仏が成就する「四智(しち)」は、悟りを得た仏の境地を支える四種の智慧である。これらの智は、仏の境地における**あらゆる功徳(活動・作用)**を含み、仏が衆生を救済するために働く根本的な智慧となる。


B. 四智の分類

1. 大円鏡智(だいえんきょうち)相応心品

1.1. 特徴

  • 一切の分別を離れた智慧であり、仏の境地において清浄な心として働く。

  • 虚空のように澄み渡り、すべてを映し出す鏡のような存在

  • 不妄・不愚(決して誤りを生じることがない)

  • 浄化された種子を保持し、あらゆる功徳を生じる基盤となる

  • 仏の身体や清浄な世界(仏国土)を現出する力を持つ

1.2. 例え

  • 「大きな円鏡に無数の像が映るように、一切の事象を映し出す」


2. 平等性智(びょうどうしょうち)相応心品

2.1. 特徴

  • すべての存在を平等に観ずる智慧

  • 自他の区別なく、あらゆる有情(生きとし生けるもの)を同じものとして観る

  • 大慈悲の心とともに働き、衆生の望みに応じて様々な仏の姿を示す

  • 「無住処涅槃」(生死にも涅槃にも執着しない境地)の基盤となる

2.2. 例え

  • 「広大な海が全ての川の水を受け入れるように、すべての衆生を分け隔てなく包み込む」


3. 妙観察智(みょうかんざっち)相応心品

3.1. 特徴

  • あらゆる法の本質と相互関係を正しく観察し、正確に把握する智慧

  • 因果関係を理解し、適切に教えを説き、有情を導く

  • 法の詳細な違い(個別性)と共通する法則(普遍性)を自在に観察する

  • 無量の総持(ダラニ)を獲得し、あらゆる法門を掌握する

3.2. 例え

  • 「雲が大地に雨を降らせるように、仏が法を説き、衆生の疑問を解消する」


4. 成所作智(じょうしょさち)相応心品

4.1. 特徴

  • 衆生を利益し、救済するために自在に活動する智慧

  • 仏が衆生のために変化し、神通力を用いて救済の手段を示す

  • 過去の誓願(本願)に基づき、すべての行いを完成させる力

4.2. 例え

  • 「大工が木を自在に加工するように、仏が衆生を適切に導く」


C. 四智の関係とその発現


D. 四智と八識(識の変換)

仏教では、人間の認識は「八識」(阿頼耶識・末那識・六識)によって成り立っている。仏は「八識を四智へと転じる」ことによって、無漏の智慧を獲得する。


E. 仏果における四智の働き

四智は、仏が**「衆生を救済するためにどのように作用するか」**を示している。

  1. 大円鏡智仏の清浄な心

    • すべてを映し出すが、執着せず、歪むこともない。

  2. 平等性智仏の慈悲心

    • すべての存在を等しく扱い、衆生に応じた教えを説く。

  3. 妙観察智仏の智慧

    • 一切の法を見極め、適切な方法で教えを説く。

  4. 成所作智仏の行動

    • あらゆる方法で衆生を救済する。


F. まとめ

四智は仏の境地において発現する四種の智慧である
四智は、それぞれの働きによって仏の悟りと衆生救済を支える
仏は八識を四智に転換することで、完全なる智慧を得る
四智は常に働いており、仏の行動や説法の基盤となる


🔹補足
本来、四智は仏だけが持つ智慧であるが、菩薩も修行の過程でこれらの智を部分的に発現させることができる。修行が進むにつれて、徐々に四智が完全な形で発揮されるようになり、最終的に仏の悟りに至る。


後究竟位其相云何。頌曰
    此即無漏界 不思議善常    
    安樂解脱身 大牟尼名法
論曰。前修習位所得轉依應知即是究竟位相。此謂此前二轉依果。即是究竟無漏界攝。諸漏永盡非漏隨増性淨圓明故名無漏。界是藏義。此中含容無邊希有大功徳故。或是因義。能生五乘世出世間利樂事故。清淨法界可唯無漏攝。四智心品如何唯無漏。道諦攝故唯無漏攝。謂佛功徳及身土等皆是無漏種性所生。有漏法種已永捨故。雖有示現作生死身業煩惱等似苦集諦而實無漏。道諦所攝。集論等説。十五界等唯是有漏。如來豈無五根五識五外界等。有義如來功徳身土甚深微妙非有非無。離諸分別絶諸戲論。非界處等法門所攝。故與彼説理不相違。有義如來五根五境妙定生故法界色攝。非佛五識雖依此變然麁細異。非五境攝。如來五識非五識界。經説佛心恒在定故。論説五識性散亂故。成所作智何識相應。第六相應。起化用故。與觀察智性有何別。彼觀諸法自共相等。此唯起化。故有差別。此二智品應不並生。一類二識不倶起故。許不並起於理無違。同體用分倶亦非失。或與第七淨識相應。依眼等根縁色等境是平等智作用差別。謂淨第七起他受用身土相者平等品攝。起變化者成事品攝。豈不此品攝五識得。非轉彼得體即是彼。如轉生死言得涅槃不可涅槃同生死攝。是故於此不應爲難。有義如來功徳身土如應攝在蘊處界中。彼三皆通有漏無漏。集論等説十五界等唯有漏者。彼依二乘麁淺境説。非説一切。謂餘成就十八界中唯有後三通無漏攝。佛成就者雖皆無漏而非二乘所知境攝。然餘處説佛功徳等非界等者。不同二乘劣智所知界等相故。理必應爾。所以者何。説有爲法皆蘊攝故。説一切法界處攝故。十九界等聖所遮故。若絶戲論便非界等亦不應説即無漏界善常安樂解脱身等。又處處説轉無常蘊獲得常蘊。界處亦然。寧説如來非蘊處界。故言非者是密意説。又説五識性散亂者説餘成者。非佛所成。故佛身中十八界等皆悉具足而純無漏。此轉依果又不思議超過尋思言議道故。微妙甚深自内證故。非諸世間喩所喩故。此又是善白法性故。清淨法界遠離生滅極安隱故。四智心品妙用無方。極巧便故。二種皆有順益相故。違不善故。倶説爲善。論説處等八唯無記。如來豈無五根三境。此中三釋廣説如前。一切如來身土等法皆滅道攝。故唯是善。聖説滅道唯善性故。説佛土等非苦集故。佛識所變有漏不善無記相等。皆從無漏善種所生。無漏善攝。此又是常無盡期故。清淨法界無生無滅性無變易故説爲常。四智心品所依常故無斷盡故亦説爲常。非自性常從因生故。生者歸滅一向記故。不見色心非無常故。然四智品由本願力所化有情無盡期故窮未來際無斷無盡。此又安樂無逼惱故。清淨法界衆相寂靜。故名安樂。四智心品永離惱害。故名安樂。此二自性皆無逼惱。及能安樂一切有情。故二轉依倶名安樂。二乘所得二轉依果唯永遠離煩惱障縛無殊勝法故但名解脱身。大覺世尊成就無上寂默法故名大牟尼。此牟尼尊所得二果永離二障亦名法身。無量無邊力無畏等大功徳法所莊嚴故。體依聚義總説名身故。此法身五法爲性。非淨法界獨名法身。二轉依果皆此攝故。如是法身有三相別。一自性身。謂諸如來眞淨法界。受用變化平等所依。離相寂然絶諸戲論。具無邊際眞常功徳。是一切法平等實性。即此自性亦名法身。大功徳法所依止故。二受用身。此有二種。一自受用。謂諸如來三無數劫修集無量福慧資糧所起無邊眞實功徳。及極圓淨常遍色身。相續湛然盡未來際恒自受用廣大法樂。二他受用。謂諸如來由平等智示現微妙淨功徳身。居純淨土爲住十地諸菩薩衆現大神通轉正法輪決衆疑網令彼受用大乘法樂。合此二種名受用身。三變化身。謂諸如來由成事智變現無量隨類化身。居淨穢土爲未登地諸菩薩衆二乘異生稱彼機宜現通説法令各獲得諸利樂事。以五法性攝三身者。有義初二攝自性身。經説眞如是法身故。論説轉去阿頼耶識得自性身。圓鏡智品轉去藏識而證得故。中二智品攝受用身。説平等智於純淨土爲諸菩薩現佛身故。説觀察智大集會中説法斷疑現自在故。説轉諸轉識得受用身故。後一智品攝變化身。説成事智於十方土現無量種難思化故


成唯識論 巻第十:究竟位(仏果)

A. 究竟位(仏果)の特性

究竟位とは、修習位で得た転依(煩悩や無知を完全に克服すること)を完成させた境地であり、これが仏果(仏の境地)である。仏はこの究竟位に至ることで、完全なる智慧と解脱を得る。


B. 究竟位の特性

1. 無漏界(むろうかい)

1.1. 意味

  • 煩悩が完全に消滅し、清浄であり、穢れがない境地

  • 」とは**蔵(ぞう)**を意味し、無辺の功徳を含む。

  • 無漏(むろ)」とは、煩悩の流出がなく、純粋で清浄な性質を持つこと。

1.2. 無漏界の特徴

  • 煩悩や執着の要素が一切なく、純粋な智慧と慈悲が働く領域

  • 無量の功徳を持ち、五乗(声聞・縁覚・菩薩・人天・仏)を導く要因となる

  • 清浄な法界であり、一切の迷いを断つ。


2. 不思議善(ふしぎぜん)

2.1. 意味

  • 通常の思考や言語では説明できないほどの善性を持つ境地

  • 仏の智慧や功徳は**「尋思(じんし)」や「言語」では説明しきれないほど深遠**である。

2.2. 具体的な特徴

  • 仏の四智心品(大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智)は、言葉を超えた善の境地。

  • 俗世の認識を超えた功徳を持つため、通常の言葉では表現できない


3. 安楽(あんらく)

3.1. 意味

  • 苦しみを完全に克服し、最高の幸福を得た境地

  • 衆生に安楽を与える能力を持つ

3.2. 具体的な特徴

  • 清浄法界は、あらゆる苦しみや束縛から解放された真の安楽を持つ

  • 四智心品の働きにより、仏は衆生を導き、最高の幸福へと導く。


4. 解脱身(げだつしん)

4.1. 意味

  • 煩悩から完全に解放された身(存在)

  • 涅槃(ねはん)の境地にあり、一切の執着から解脱している

4.2. 具体的な特徴

  • 二乗(声聞・縁覚)の修行者も解脱身を得るが、仏の解脱身はそれを超越している

  • 仏の解脱身は、単なる煩悩の克服ではなく、完全なる智慧と慈悲の融合を果たした存在


5. 大牟尼(だいむに)

5.1. 意味

  • 「大牟尼(大聖者)」とは、仏陀を指す尊称

  • 完全なる悟りを得た聖者として、世尊(せそん)とも呼ばれる

5.2. 具体的な特徴

  • 完全なる智慧と慈悲を備え、衆生を導く

  • 仏は無上の悟りを開き、二障(煩悩障と所知障)を完全に断つ


6. 法身(ほっしん)

6.1. 意味

  • 仏の本質的な存在を「法身」と呼ぶ

  • 仏の智慧と功徳の集積体としての側面

6.2. 具体的な特徴

  • 無量無辺の力と智慧を備えている

  • あらゆる衆生に利益を与える働きを持つ


C. 三身の分類

仏の身体(存在)は、以下の三身に分類される。

1. 自性身(じしょうしん)

1.1. 意味

  • 仏の本質そのものを指す

  • 「法界」とも呼ばれ、真実の実体(眞如)そのもの

1.2. 具体的な特徴

  • すべての仏の根源であり、あらゆる現象の基盤

  • 清浄であり、不変の真理を体現している


2. 受用身(じゅゆうしん)

2.1. 意味

  • 仏が法を享受し、他者にも法を説くための存在

  • 自らの悟りを楽しみながら、衆生にも智慧を分け与える

2.2. 具体的な特徴

  • 二種類に分けられる

    1. 自受用身 - 仏自身が悟りの喜びを享受する存在

    2. 他受用身 - 仏が菩薩たちのために現れ、法を説く存在


3. 変化身(へんげしん)

3.1. 意味

  • 衆生を救済するために様々な姿で現れる仏の身

3.2. 具体的な特徴

  • 仏は**「衆生の求めに応じて」**様々な姿を現し、教えを説く。

  • **「変化身」**として、歴史上の仏(釈迦如来など)や、衆生を導く神通力をもつ存在として現れる。


D. 三身と五法の関係

仏の三身は、五法(五智)と密接な関係を持つ。


E. まとめ

究竟位(仏果)は、無漏界・不思議善・安楽・解脱身・大牟尼・法身の特性を持つ
仏の存在は、三身(自性身・受用身・変化身)に分類され、それぞれ特定の機能を持つ
仏の智慧(四智心品)と仏の身(三身)は、密接に関係し、すべての衆生を救済する働きを持つ


この究竟位に至ることで、仏は一切の迷いや苦しみを断ち、無限の智慧と慈悲によって衆生を導く存在となる


又智殊勝具攝三身。故知三身皆有實智。有義初一攝自性身。説自性身本性常故。説佛法身無生滅故。説證因得非生因故。又説法身諸佛共有遍一切法猶若虚空無相無爲非色心故。然説轉去藏識得者。謂由轉滅第八識中二障麁重顯法身故。智殊勝中説法身者。是彼依止彼實性故。自性法身雖有眞實無邊功徳而無爲故不可説爲色心等物。四智品中眞實功徳鏡智所起常遍色身攝自受用。平等智品所現佛身攝他受用。成事智品所現隨類種種身相攝變化身。説圓鏡智是受用佛。轉諸轉識得受用故。雖轉藏識亦得受用。然説轉彼顯法身故。於得受用略不説之。又説法身無生無滅唯證因得非色心等。圓鏡智品與此相違。若非受用屬何身攝。又受用身攝佛不共有爲實徳故四智品實有色心皆受用攝。又他受用及變化身皆爲化他方便示現。故不可説實智爲體。雖説化身智殊勝攝。而似智現或智所起。假説智名體實非智。但説平等成所作智能現受用三業化身。不説二身即是二智。故此二智自受用攝。然變化身及他受用雖無眞實心及心所。而有化現心心所法。無上覺者神力難思故能化現無形質法。若不爾者云何如來現貪瞋等。久已斷故。云何聲聞及傍生等知如來心。如來實心等覺菩薩尚不知故。由此經説。化無量類皆令有心。又説如來成所作智化作三業。又説變化有依他心依他實心相分現故。雖説變化無根心等。而依餘説。不依如來。又化色根心心所法無根等用故不説有。如是三身雖皆具足無邊功徳。而各有異。謂自性身唯有眞實常樂我淨。離諸雜染衆善所依。無爲功徳。無色心等差別相用。自受用身具無量種妙色心等眞實功徳。若他受用及變化身。唯具無邊似色心等利樂他用化相功徳。又自性身正自利攝。寂靜安樂無動作故。亦兼利他。爲増上縁令諸有情得利樂故。又與受用及變化身爲所依止。故倶利攝。自受用身唯屬自利。若他受用及變化身唯屬利他。爲他現故。又自性身依法性土。雖此身土體無差別。而屬佛法相性異故。此佛身土倶非色攝。雖不可説形量小大。然隨事相其量無邊。譬如虚空遍一切處。自受用身還依自土。謂圓鏡智相應淨識由昔所修自利無漏純淨佛土因縁成熟。從初成佛盡未來際相續變爲純淨佛土。周圓無際衆寶莊嚴。自受用身常依而住。如淨土量身量亦爾。諸根相好一一無邊。無限善根所引生故。功徳智慧既非色法。雖不可説形量大小。而依所證及所依身亦可説言遍一切處。他受用身亦依自土。謂平等智大慈悲力由昔所修利他無漏純淨佛土因縁成熟。隨住十地菩薩所宜變爲淨土。或小或大或劣或勝前後改轉。他受用身依之而住。能依身量亦無定限。若變化身依變化土。謂成事智大慈悲力由昔所修利他無漏淨穢佛土因縁成熟。隨未登地有情所宜化爲佛土。或淨或穢或小或大前後改轉。佛變化身依之而住。能依身量亦無定限。自性身土一切如來同所證故體無差別。自受用身及所依土雖一切佛各變不同。而皆無邊不相障礙。餘二身土隨諸如來所化有情有共不共。所化共者同處同時。諸佛各變爲身爲土形状相似不相障礙。展轉相雜爲増上縁。令所化生自識變現。謂於一土有一佛身爲現神通説法饒益。於不共者唯一佛變。諸有情類無始時來種*性法爾更相繋屬。或多屬一或一屬多。故所化生有共不共。不爾多佛久住世間各事劬勞實爲無益。一佛能益一切生故。此諸身土若淨若穢無漏識上所變現者。同能變識倶善無漏。純善無漏因縁所生。是道諦攝非苦集故。蘊等識相不必皆同。三法因縁雜引生故。有漏識上所變現者同能變識皆是有漏。純從有漏因縁所生是苦集攝。非滅道故。善等識相不必皆同。三性因縁雜引生故。蘊等同異類此應知。不爾應無五十二等。然相分等依識變現。非如識性依他中實。不爾唯識理應不成。許識内境倶實有故。或識相見等從縁生。倶依他起虚實如識。唯言遣外不遮内境。不爾眞如亦應非實。内境與識既並非虚。如何但言唯識非境。識唯内有境亦通外。恐濫外故但言唯識。或諸愚夫迷執於境起煩惱業生死沈淪不解觀心勤求出離。哀愍彼故説唯識言令自觀心解脱生死。非謂内境如外都無。或相分等皆識爲性。由熏習力似多分生。眞如亦是識之實性。故除識性無別有法。此中識言亦説心所。心與心所定相應故。此論三分成立唯識。是故説爲成唯識論。亦説此論名淨唯識。顯唯識理極明淨故。此本論名唯識三十。由三十頌顯唯識理。乃得圓滿非増減故
    已依聖教及正理 分別唯識性相義    
    所獲功徳施群生 願共速登無上覺
成唯識論卷第十


成唯識論 巻第十:三身と智の関係

A. 三身(法身・報身・応身)と智の関係

仏には**三つの身(存在形態)**があり、それぞれの身が異なる智慧(智)と結びついている。

1. 自性身(法身)

1.1. 意味

  • **仏の本質そのもの(真如)**であり、不生不滅の法界。

  • 煩悩や迷いの影響を受けず、完全な清浄性を持つ

1.2. 具体的な特徴

  • すべての仏が共有する普遍的な法身であり、遍一切法。

  • 空(くう)の性質を持ち、色や心の分別を超えている

  • 無辺の功徳を具えているが、無為法(変化しない絶対的な法)であるため、色心(形あるものや心の働き)とは異なる

  • 大円鏡智と結びつく。


2. 受用身(報身)

2.1. 意味

  • 仏が長い修行の結果として得る功徳の結晶(悟りを享受する存在)

  • 仏自身が智慧を楽しむ「自受用身」と、菩薩に法を説く「他受用身」に分かれる

2.2. 具体的な特徴

  • 自受用身:

    • 大円鏡智と結びつき、仏が悟りの喜びを享受する。

    • 常住し、法楽を味わい続ける存在

  • 他受用身:

    • 平等性智・妙観察智と結びつき、菩薩たちに法を説く。

    • 清浄な仏国土に住し、智慧を菩薩に授ける


3. 変化身(応身)

3.1. 意味

  • 仏が衆生を救うために、様々な姿で現れる身

  • 仏が地上に現れ、法を説く「釈迦如来」などがこの身にあたる

3.2. 具体的な特徴

  • 成所作智と結びつき、変化して衆生に応じた姿で法を説く

  • 様々な世界に現れ、仏法を広める働きを持つ


B. 三身と五智の関係

仏の智慧(五智)は、三身と対応している。

1. 大円鏡智

  • すべての現象をありのままに映し出す鏡のような智慧

  • 法身と結びつき、仏の根源的な悟りの状態を示す

2. 平等性智

  • すべての衆生が平等であることを理解する智慧。

  • 報身(受用身)の「他受用身」と関係し、菩薩への法の説示に役立つ

3. 妙観察智

  • 各法(現象)の特性を正しく観察し、衆生の能力に応じた教えを説く智慧。

  • 報身の「他受用身」と結びつき、菩薩を導く

4. 成所作智

  • 衆生を救うための具体的な行動を生み出す智慧。

  • 応身(変化身)と関係し、仏が様々な姿で現れて衆生を導く


C. 三身とその活動

仏の三身は、それぞれ特定の領域で活動する。


D. 三身とその住処

仏の三身は、それぞれ異なる仏土に住する。

1. 法身(自性身)の住処

  • **法性土(ほっしょうど)**に住する。

  • 法身は色や形を持たないが、全ての仏に共通する根本的な存在

2. 受用身(報身)の住処

  • 自受用身は、清浄な仏国土に住み、法楽を享受する

  • 他受用身は、菩薩たちのために清浄な仏国土に住し、法を説く

3. 変化身(応身)の住処

  • 変化土(へんげど)に住する

  • 未熟な衆生を導くため、さまざまな世界に現れる


E. まとめ

三身(法身・報身・応身)は、それぞれ異なる役割を持つ。
五智(大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智)は、三身の活動を支える。
仏の報身と応身は、菩薩や衆生を導くために活動し続ける。
仏の法身は、すべての仏に共通する普遍的な存在であり、絶対的な真理を示す。

このように、仏の三身は、それぞれの役割を持ちながら、衆生を救済し、法を広めるために働いている。

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