待望の来日公演を実現したスウェーデンのカリスマ、Pain of Salvationのフロントマン、ダニエル・ギルデンロウ独占インタビュー!
※前置きから書き始めたら、非常に長い記事になってしまったので、ぜひ目次をご活用ください🙏
※企画・通訳・編集:Tate
※撮影:Izumi
取材実現に至るまでの経緯
あのPain of Salvationが遂に来日公演を行う…!
そんなニュースがXのタイムラインに流れてきたのは、確か2024年5月下旬だったと思う。そのとき漠然と「ダニエルにインタビューできたら良いな」と思った筆者(Tate)は、5月末には、今回インタビュアーを務めたドラマーの内田 伸吾氏(以前からPoSの大ファンであることを明言していた)に「PoSと対談してみない?」と打診しており、6月上旬には2人で作戦会議をしていた。しかし、それから数ヶ月… まだまだ先だと思っていたら、あっという間に10月下旬。。。
急遽プレイリストの選曲をお願いしたにも関わらず、当初は50曲、そこからさらに絞って20曲までセレクトし、コメントまで迅速に書いてくれた内田氏には大感謝である。↓のプレイリスト、ぜひ聴きながら本記事を読んでいただきたい。
実はプレイリスト企画と並行して、「もし取材できたら…」というメールも、招聘を行った今西氏に送っていたのだが、書き方が遠回しでわかりづらかったのだろう、↓のポストに至った訳だ。
これは全く愚痴でもなんでもないし、むしろ自分の仕事は減ってありがたいのだけど、POSもTexturesも取材依頼ゼロです。
— Hayato Imanishi (@hayatoimanishi) November 24, 2024
せっかくの初来日の話聞く機会なのになぁ、と思わなくもない。
そして、ようやく火がついた(?)我々。
急いで今西氏に再度連絡を取り、TesseracT来日時の取材でもお世話になったTMMusicのMARINA氏にスケジュールを調整いただけることになり(なんと取材前日の夜!)当日を迎えた。
🔔続報🥳
— 【Prog Project】 (@prog_project) November 25, 2024
Textures🇳🇱に続き!
Pain of Salvation🇸🇪にも、取材、いけそうです…‼️
ので、こちらも皆さんから、あの、ダニエル・ギルデンロウ✨に聞いてみたいこと、募集します❣️
時間が限られているので、全部は聞けないかもですが。。。 https://t.co/fvhnmLWz1L
その経緯は多少、Xでもポストしていたので、フォロワーの皆さんから、ダニエルに聞いてみたい質問も受け付けることができ、当日ギリギリまで、内田氏と質問内容の検討を続けていた。
ファンとのMeet & Greetが終わり次第、取材開始ということで、ミーグリが押すこと約1時間… 寒空の下、待っている間に緊張もほぐれ、ようやく取材の時間がやってきた!
そして取材スタート
まずはPoSメンバー全員に我々の自己紹介と共に書籍『PROG MUSIC Disc Guide』をプレゼント。
日本のファンへのメッセージをお願いし、「何を言えば良いの?!」と、だいぶ躊躇?困惑?されてしまったが、そんな姿も微笑ましい(?)
内田氏は、PoSに影響を受けて作った曲が収録されているアルバムをダニエルにプレゼント。
昨日のインタビュー時に、六合 @rikugo65 の"未来産声、過去亡骸"という曲のイントロが"Handful of Nothing"から影響を受けたものだということをDanielに伝えられて感無量でした🥹https://t.co/cn0AKfNYCp https://t.co/luEGGy8m0S pic.twitter.com/fCyQCTb0s9
— 内田伸吾 / Drummer (@sin_chronicity) November 27, 2024
スウェーデン語をちょっとだけ勉強したことがあるTateは、ダニエルにスウェーデン語で挨拶。今回は(英語で)通訳を担当。
そしてインタビューが始まった。
インタビュー動画
以下、テキストバージョンでは、動画では意訳してしまった部分、カットしてしまった部分も、そのままお伝えします。
日本の印象について
内田:多くのファンが待ち望んだ初来日公演が実現しました。改めて日本の印象を教えてください。
ダニエル:戻って来れて嬉しいよ。前回のプロモーション来日は、確か1997年だったと思う。戻ってくるのに25年以上もかかってしまったけどね。だから本当に嬉しいよ。
Tate:日本についての印象はいかがですか?
ダニエル:前回の来日時もそうだったけど、今回もすごく楽しんでるよ。みんな親切にしてくれるし。日本がとても好きだ。
※ミーグリの様子をバンドのSNSでもシェアしていた彼ら。ファンとの交流を楽しんだ様子。
Spent a lovely two hours meeting the fans from Japan and beyond! Tonight we rock the EX Theater in Roppongi 🔥 Don’t...
Posted by Pain of Salvation on Monday, November 25, 2024
音楽活動の原動力について
内田:1984年の前身バンド、Reality結成から数えると、今年で40周年になります。これまで長い間、ずっと活動を続けてこられた原動力は何でしょうか?
ダニエル:選択の余地があまり無かったんだと思う。子供の頃に音楽に恋して、夢中になって、「音楽を作らなければ!身を捧げなければ!」という気持ちになり、それが僕のすべてだったんだよ。
バンドで演奏したり、ステージで歌ったりしていなかったとしても、自分のために家で音楽を録音していただろうね。
ただ、そうやって過ごしてきただけなんだ。
家族と過ごす時間を増やしたいなどの理由で辞めていったバンド・メンバーもいるけど、僕にはそういう選択肢は無かったと思う。
もしバンドを辞めたとしても、やはり同じように時間を費やしていただろう。だから僕にとって時間はあまり関係ないんだ。ただ、やりたいことを続けてきただけ。
なぜなら僕は音楽を愛しているから。ステージに立つのが好きだし、演奏するのも好きだ。
音楽との絆に投資している感じかな。
時が経つのは、あっという間だね。
PoSの特徴的なサウンドについて
内田:PoSのサウンドについてお聞きします。あなた達の音楽はとても特徴的で、シンコペーションやポリリズム、3や5の奇数連符などが多く使われていますが、それは何がルーツで、どういったものからインスピレーションを得ているのでしょうか?
ダニエル:曲によって違うんだよね。君はさっき"Handful of Nothing"について触れていたけど、この曲について鮮明に覚えているのは、ちょうど陶芸の授業で鉢を作っていたとき、カウントダウンのバスドラムやその他のアイディアが浮かんだんだ。どうやって演奏するか考えながら陶芸を続けようとしたんだけど、僕は外に出てカフェテリアに行き、ただ座ってプレイし始めた。(膝を叩きながら)こうやって叩いてみたり、色々ね。
するとスネアのバックビートがそのまま続いているのが見えたんだ。それで陶芸どころでは無くなってしまい、座ったまま曲全体をプレイしていた。
そういう曲の始まり方もあるんだよ。
「In The Passing Light Of Day」アルバムの多くの曲は、実際にドラムに座りながら作曲したよ。その方が楽なんだ。
だから本当に、状況によるかな。
ただ、僕は多層的なものが好きなんだ。
いくつかのリズムが交差して、それがどう相互作用するのかを見る。それはまるで、さまざまな人が話し合っているようなものだ。リズムや音楽の異なる層が、お互いに語りかける。僕はその結果が好きなんだ。それはちょっとした挑戦でもあるし、楽しいよ。
内田:リズムアプローチで、特に影響を受けたアーティストはいますか?
ダニエル:うーん、どうだろうね。僕はThe BeatlesやKISSを聴いて育ったんだけど、The Beatlesには、ポップスとしては、ちょっと変わったリズムが隠れていたりするよね。
ABBAもそうだけど、彼らは一見シンプルなヒット曲の中に、よく聴いてみると、細かい部分に素晴らしい工夫が施されているんだ。
僕は「ジーザス・クライスト・スーパースター」やジェフ・ウェインの「宇宙戦争」も好きだけど、こうした音楽には、すべて異なるレイヤーの「複雑さ」があるよね。必ずしもリズムというわけではないかもしれないけど。常に「複雑さ」は意識していた気がするね。
僕はそうした「複雑さ」が好きだけど、あまりそれを前面に出し過ぎないようにしている。
Pain of Salvationは、一見、普通の車のように見える「スリーパーカー」にしたいと言ってるんだ。
※スリーパーカー(sleeper car):
エクステリア(外観)は標準的であり、ノーマル仕様車のように見えるが、実は内部が改造されており、高性能・高速走行可能な車のこと
巨大なエンジンを内部に積んでいるけど、普通に見える。でも、他の車に勝てる。Pain of Salvationには、それを求めてるんだ。
音楽に「複雑さ」を無理やり押し付けるべきではない。「複雑さ」はより深いレベルであるべきで、曲を助けるものでなければならない。「複雑さ」のためだけに複雑になってはいけない。そういうことだと思うよ。
内田:ドラムもプレイするんですか?
ダニエル:ドラムは僕にとって、最も直感的な楽器なんだ。なんとなく演奏しやすいというか。
でも僕はヴォーカリストであり、ギタープレイヤーなので、ドラムはあくまで趣味みたいなものだね。
仕事にはならないよ、絶対に。そういうのが良いんだと思う。
次の新作について
内田:「Panther」に続くニューアルバムの制作には、もう着手されていますか?
ダニエル:そうだね。実は、3年ほど前から、ほぼ完成しているアルバムがあるんだ。ただ僕のコンピューターの中に眠っているだけでね。僕らがしっかりして、実際に完成させるのを待っているだけで、本当に素晴らしい曲ばかりだよ。
でも問題は… また長い話になってしまうな、ごめんよ(…と、通訳のTateに謝ってくれるダニエル。)
自分が歳を重ねるにつれて、ただ音楽を作るだけで、とても心地よく感じていることに気づいたんだ。そして以前のように、それをリリースしたいという意欲が無くなってしまった。
これは少し問題で、自分でもその理由が何なのか、わかっているつもりだよ。
ある曲に取り組んでいる間は、僕とその曲には繋がりがある。僕が何かを変え、君がそれを受け入れて、また何かを変える、というような関係性だ。
曲には無限の可能性がある。曲には限界がない。
でも、曲を完成させて、アルバムに収録してしまったら、その曲との関係性は終わる。ある意味ではね。
つまり、曲を演奏することはできても、その曲は、永遠に決まった形に固められてしまう。
Tate:ここで一回止めても良いですか?
ダニエル:もちろんだよ!
※Tateが通訳するのを聞きながら、「でも、もうすぐ完成するよ!」と、ダニエル。
内田:では、まだもう少し(新作の完成まで)かかりそうですね?
ダニエル:3年近く前から、ほとんどできていたんだけどね。
問題は、3年前よりも今の方が完成しているとは言えないことなんだ。
だから他のメンバーにも僕のところに来てもらって、座って一緒に考えてもらう必要があるね。
最後の3ピース、みたいなものなんだよ。最後の部分はいつも難しい。最初の部分のようにはいかないんだ。
絵を描くようなものでね。最初の部分では、大きなストロークを描くことができる。つまり、本当に何でも出来るし、どんどん進む。そして終わりに近づくにつれて、つまらない修正作業のような退屈な作業ばかりが増えていく。最初の段階のようにクリエイティブな作業ではなく、特に、アルバムを3,4年も手がけていると、どの曲も新鮮味がなくなってくる。
すべての素材がそうであるように、何度も何度も聴いていると、もういいや、終わってほしいと思うようになる。新しいことをしたい。今すぐにでも新しい曲のレコードを作りたい!ってね。
内田:よくわかります(笑)
ダニエル:(笑)年齢を重ねるごとに悪化していくよ、それが問題なんだ。
内田:でも、日本のファンだけでなく、世界のファンがあなた達の新作を待っていますよ!
ダニエル:わかってるよ!
たまに思うんだ、もうこれで終わりにしよう!と。
ある1曲を確認して、とにかく終わらせてしまおう!と。
もうほとんどできているし、とにかく終わらせよう!と。
そして、座って曲を確認する。最初の1時間は、速く作業が進むんだ。そのうち、どんどん細部にこだわっていく。そして丸一日が経った後には、始めたときと同じところに戻っている。ほんの少しの違いで、それ以上は進んでいない。ただ、その曲と、より長く時間を過ごしただけでね。
内田:とてもよくわかります(笑)
ちなみに、以前「The Perfect Element」と「Remedy Lane」のリミックス・アルバムをリリースされていましたが、1stや2ndアルバムのリミックスをする計画はありますか?
ダニエル:最初の2枚のアルバムには問題が1つあって、それはテープで録音されたということなんだ。デジタル録音ではないので、マルチトラック版などのオリジナル音源を入手するのはかなり難しいんだ。
一度トライしてみたこともある。
これは技術的な話なんだけど、最初の2枚のアルバムは、同じスタジオで、同じスタッフと一緒に録音したんだ。その後、彼らとは決別してしまってね。
「Remedy Lane」と「The Perfect Element」のデジタル版は僕らが持っていたんだけど、最初の2枚のアルバムのテープは持っていないんだ。
当時のスタッフの一人は、僕らが決別したことをあまり快く思っていなくてね。そのテープを手に入れるのは簡単ではないと思う。
まあ彼らがどう反応するか次第だね。様子見といったところだ。
他のプロジェクトへの参加について
内田:Flower Kingsなどのように、今後、他のプロジェクトに参加する可能性はありますか?
ダニエル:そのときになってみないと何とも言えないな。何かオファーが来て、それは面白そうだと感じたら、僕はいつも試しているよ。
僕にはそんな時間が無いんだから、もっと上手に断る必要がある、と、他の人達から言われていることは知っている。
でも、他のプロジェクトに関わるのは、実際、どんなプロセスでも役に立つと思うんだ。
もし僕が自分の時間を100%、Pain of Salvationの新作だけに費やしたとしても、早く終わるとは思わない。なぜなら、他のことに気を取られて、二の足を踏んでしまうから。
他のプロジェクトに取り組んでいると、すべての歯車が回り出し、物事がうまく収まったりするんだよ。そして人生において、他のことと、どう向き合うべきかが理解できるようになる。だから僕は色んなことに取り組むのが自分に合っていると思うよ。さまざまなことをする必要があるのが好きなんだ。
今後、何が起きるか様子見だね。たぶん僕は「イエス」と言うんじゃないかな。
日本の音楽、最近お気に入りの音楽、映画などについて
内田:日本の音楽を聴くことはありますか?
ダニエル:いいえ(苦笑)
実は、日本に行けば、日本の音楽が聴けるだろうと期待してたんだよ。でも、どの店もダメだったね。レストランもパブも、どこに行っても、アメリカのジャズか、ハウスミュージックのようなものばかりだ。
僕はまだ待っているんだよ!
伝統を感じるような場所に行っても、人工的なラウンジジャズのような感じでさ。
そう、なので、何かお勧めはあるかな?チェックすべきものを教えて欲しいよ。
内田:なるほど。では、プレイリストを作って、お送りします!
ダニエル:いいね!完璧だ!
内田:日本のものに限らず、最近よく聴いている音楽、お気に入りの映画や本などはありますか?
ダニエル:おお、何でも良いのか。映画なら「ビッグ・リボウスキ」は常に僕のランキング上位にいるな。どんなジャンルなのか判断できない映画が大好きで、音楽も同じような感じだね。
最近、聴いて気に入ったのはKnowerというバンドだ。日本でも聴かれているのかどうかわからないけど、とてもクールだよ。
あとは僕が筋金入りの「スター・ウォーズ」ファンであることは誰もが知っているね。スター・ウォーズ・ユニバースの、ちょっとオタクっぽい感じと言ったら良いかな。その一員になることが気に入っている感じだね。
※ここでTateがKnowerの英語のスペルを確認したところ、
ダニエル:そう、それ。一番最近のアルバムは本当に、本当に素晴らしいよ、すごくクールだ。
※Tateが内田氏に伝えたところ、知らないということで、
ダニエル:ぜひチェックしてみて。君も気に入ると思うよ。ちょっと複雑な感じとか。メタル的な要素は無いけどね。彼らのアプローチはクールだと思う。
内田:わかりました。
ダニエル:ぜひ聴いてみて。
Arigatou gozaimasu Tokyo for a truly wonderful experience. We already cannot wait to return ❤️🇯🇵
Posted by Pain of Salvation on Tuesday, November 26, 2024
Pain of Salvation 公式サイト&SNS
内田 伸吾(Shingo Uchida) プロフィール
六合 (Rikugo)、BELLFASTのドラマーとして関西を中心に活動中。 2022年よりLimelightドラムスクールを主宰。インターネットでのレッスンコンテンツの発信にも力を入れており、YouTubeやInstagramなどSNSの総フォロワー数は10万人を超える。
最後に…
いかがでしたか?
実は、実際にダニエルにお会いするまでは、ちょっと気難しい人なのではないかと(勝手な)印象を抱いていたのですが、予想以上に気さくな方で、話していて、とても楽しい時間でした。その後、ステージでのカリスマ的なパフォーマンスを観ていると、先ほどインタビューしたのと同一人物とは思えないほどのオーラが輝いていて、改めて凄いな…!と感激してしまった次第です。
今回の取材に際して、直前のリクエストを快諾してくださった今西氏、迅速に対応してくださったMARINA氏、そして急遽決まった取材のためにスケジュールを調整してくれた内田氏、いつも撮影・編集を頑張ってくれているIzumi氏に感謝します。
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