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がんに効果が期待される一般薬

 YouTubeを観ていたら、「がんに効果のある一般薬 3選」という動画があった。佐藤のりひろ医師の番組で、最近、よく観ている番組の一つだ。番組の内容をすべて信じている訳ではないが、気になった情報は後追いで調べている。今日はがん患者なら気になる情報について調べた内容を書いていく。
 今回は、がんに効果のある一般薬として、メトホルミン、スタチン、アスピリンが紹介されていた。この3つすべてを服用している。メトホルミンは2型糖尿病治療薬、アスピリンは解熱鎮痛剤として有名だが、私は血小板の働きを抑えて血を固まりにくくする抗血小板薬、血液をサラサラにする薬としてバイアスピリンを服用している。スタチンは肝臓でのコレステロールの合成を抑えて血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らす薬で、私はロスバスタチンを服用している。
 これらの薬について、後追いで調べた結果、胃がんの予防については、アスピリンは予防効果がある可能性は比較的高く、スタチンは予防効果を示す研究はあるが、結果は一貫していない、メトホルミンは予防効果は明確ではない、とのことだ。私の胃がんはこれらの薬では予防できなかった。まぁ、致し方ない。
 次に、がんの治療について調べてみた。まずは、現在考えられている作用として大きく5つあるメトホルミンからみてみよう。
 メトホルミンは①細胞の「エネルギー不足センサー」で「エネルギーが足りない」と細胞に認識させるAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)に作用する。細胞は、細胞分裂、タンパク質合成、脂肪合成を停止する。がん細胞は大量のエネルギーを必要とするため、この作用は増殖抑制につながる可能性がある。②メトホルミンはAMPKを介してmTORを抑える。結果として、細胞分裂、DNA合成、タンパク質合成が低下する。簡単に言えば、メトホルミンが細胞に「今はエネルギーが不足している」と判断させ、細胞の成長や増殖にブレーキをかけるということだ。これは現在の分子標的薬にも共通する経路である。③メトホルミンはインスリンを下げるため、間接的に増殖刺激を減らす。糖尿病ではインスリンが高くなりやすいが、インスリンはがん細胞の増殖を促す。④ メトホルミンは一部の研究では、がん幹細胞を減らす可能性が示されている。がん幹細胞は、再発、転移、薬剤耐性の原因と考えられている。⑤ メトホルミンは免疫へ作用する可能性があり、免疫チェックポイント阻害薬との併用も研究されている。
 ただし、メトホルミンの胃がんでのエビデンスは、現時点では「予防効果は限定的」「予後改善の可能性」程度のエビデンスである、とのことだ。
 アスピリンのがんへの作用は4つあるとされている。① 胃がんでは炎症、細胞増殖、血管新生を促進するCOX-2(Cyclooxygenase-2)が高発現していることが多く、アスピリンはこれを抑える。② がんの転移には血小板が重要な役割を担っている。血小板は循環中のがん細胞を覆って免疫から守る。アスピリンは血小板を抑えることで転移成立を妨げる可能性がある。③ PGE2(プロスタグランジンE2)は免疫抑制を起こす。アスピリンはPGE2を減らし免疫細胞が働きやすい環境を作る。④ 慢性炎症はDNA損傷を起こすが、アスピリンによって炎症を抑えることで発がんリスクを下げる可能性がある、とのことだ。これらは、胃がんでのエビデンスとして、観察研究では20〜30%程度発症リスク低下が報告されている。
 私の場合、以前、脳梗塞を発症していてクロピドグレルを服用していたのだが、がん宣告のときに、主治医から検査の都合上、クロピドグレルをバイアスピリンに変更する指示があった。そのときは検査の都合で薬が変わることがあるんだと思っていたが、主治医の頭の中にはがん治療に効果があるとの思いもあったのかもしれない。
 スタチンのがんへの作用は5つあり、① メバロン酸経路阻害の作用がある。この経路では、コレステロール、細胞膜、シグナル伝達物質が作られ、がん細胞はこれを大量に利用する。② RASは非常に重要ながん遺伝子であり、細胞膜に結合しないと働けないが、スタチンはRASの膜への固定を妨げて、増殖シグナルが低下する。③ RHO・RAC阻害は、細胞移動、浸潤、転移に関与しているが、スタチンはこれらも抑える。④ 腫瘍は新しい血管を作る。スタチンはこれを抑える可能性がある。⑤ がん細胞が自ら死ぬ仕組み、アポトーシス誘導を誘導するという研究も多い。これらは、胃がんでのエビデンスでは、発症率低下、死亡率低下を示す研究はあるが、無効という研究もあり、まだ結論は出ていない、とのことだ。
 いずれにしても、標準治療には含まれていないので、がん患者としては「そういう作用があるかもしれない」程度に考えて、「もし、効いたらラッキーだな」と思うのが良いかもしれない。
 ネット上にあるがんの情報は玉石混合で嘘の情報も多い。標準治療に含まれない治療を私は信じないが、その周辺にある情報はいちおう調べてみる。今回は日頃、YouTubeで正しい情報を流していると思われる医師からの話だったので、それを調べてみたら、現時点の医学的知見と概ね一致していたので、今回の記事を書くことにした。
 ちなみに、外科医の佐藤のりひろ氏は、日本外科学会専門医・指導医やがん治療認定医の資格を持つ、医学博士・がん専門医で、30年以上の臨床経験と1000例以上のがん手術実績があり、医療者向けの専門メディア m3.comや経済誌のダイヤモンド・オンラインにも執筆・寄稿している立派な人物だ。失礼ではあるが、実際にお会いしたことはないので、動画の内容のエビデンスを調べてみた。


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