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クリスマスイブに金歯を入れる

 4ヶ月に一度の歯科クリーニングにて、左下6番の被せ物が緩んでいて虫歯が進行していることがわかった。歯科医に行くことを事前にがん専門医に聞いたら「抜歯はしないで欲しいが、虫歯治療はOK。免疫が弱っているので治療をしたら抗生物質を処方してもらう様にしてください」ということだったので、クリーニング前にステージ4胃がんであることを歯科医に話した。クリーニングの過程で虫歯の進行が見つかり、虫歯を治療して新たに被せ物をすることになった。
 そこで問題になったのは被せ物を何にするかということ。この歯科医は金歯が歯にいちばん馴染むというお医者さんで、彼の勧めで過去に3本の金歯をすでに入れている状態。でも、医者なら私の病状説明で老い先が短いことを理解していて、最初に保険治療にするかどうかを聞いてきた。
 さあ、どうする? これ、結構、究極の選択。費用と余命を考えれば、少なくとも10年は持つ保険治療で十分だが、保険治療にすることは自らが長生きしないことを肯定している様に感じたので、金歯を入れることを即決した。費用対効果を重んじてきた経済学者とすれば金歯は選ぶべきじゃない。
 金歯は10万円ちょっと掛かるが、老後資金に貯めたお金があるので、自分の未来への投資、といっても未来はそんなに先ではない。10年ないだろうな、などと思いながら、ボーナスも入ったことだし、まあ、いいか、とキリギリスが顔を出した。
 最近、浪費が過ぎる気がするが、妻が「あなたのお金は、残さないで使って良い」というので、良しとしよう。クリスマスイブに金歯が入れば、年末年始でモリモリ食べられる。味覚障害があるけど……  
 そうそう、味覚障害が亜鉛不足からきているなら、食べ物から亜鉛を摂れば治るかもしれない。牡蠣とレバーだな。このふたつを摂れる料理は中華か、今日のお昼は牡蠣のオイスターソース炒めとレバニラにしよう。
 がんが寛解したら、金歯をすべてジルコニアにしても良いかもしれない……

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