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スニーカー史の「もう一つの巨人」。タイヤの科学で姿勢をハックする、BFグッドリッチの「PFフライヤーズ」#PR


1. 語源、産業、そして「科学」へと続くスニーカー史

前回、前々回と、我々は「スニーカー史」の深淵を歩んできた。アメリカのUSラバー社が生んだ「Keds(スニーカーの語源)」、そして日本のブリヂストンの母体となった「アサヒシューズ(地下足袋からの逆転劇)」。

だが、20世紀初頭のアメリカで、Kedsと覇権を争った「もう一つの巨人」を語らずして、スニーカー史を完結させることはできない。 世界中の四駆乗りが信頼を寄せるタイヤの雄、「BFGoodrich(BFグッドリッチ)」。彼らもまた、タイヤで培ったゴムの科学を、人間の足元に注ぎ込んでいたのだ。

2. タイヤのエンジニアが挑んだ「姿勢のハッキング」

Kedsがその名の通り、足音を消す「Sneak(忍び寄る)」という情緒的な価値を打ち出したのに対し、タイヤメーカーとしてのプライドを持つBFグッドリッチは、徹底して理数系のアプローチをとった。

それが、1933年に彼らが特許を取得したインソール技術「Posture Foundation(姿勢の基盤)」である。

oldposter.sneakerlab.net

ブランド名の「PF」とは、この特許の頭文字だ。彼らはタイヤの偏摩耗を防ぐのと同じロジックで、人間の足の「歪み」を防ごうとした。インソール内側に絶妙な傾斜(ウェッジ)を設けることで、土踏まずのアーチを物理的にサポートする。PFフライヤーズは、「タイヤメーカーのエンジニアが、人間を正しく直立させるために設計した姿勢矯正ギア」としてスニーカー史にその名を刻んだ。

3. サスペンションとしてのインソール

現代のハイテクスニーカーが、柔らかいクッションで衝撃を「誤魔化す」のに対し、PFフライヤーズの思想はもっとストイックだ。

vintage1958.com/2020/06/20/jack-purcell

彼らが提供するのは、沈み込むようなフカフカ感ではない。着地した瞬間に、足の骨格を正しい位置へと誘導し、体重移動をスムーズにする「コントロール性」だ。

これは、愛車のサスペンションをセッティングする感覚に近い。柔らかすぎる足回りは一見快適だが、路面からの情報を遮断し、挙動を不安定にする。BFグッドリッチの科学者たちが目指したのは、適度な剛性を持ち、歩行のエネルギーをロスなく地面に伝える「高剛性なシャシー」だった。

4. 40代の男が、今こそ「タイヤの科学」を履く理由

「どこの誰が作ったかわからないゴム」を履いて、なんとなく歩くのはもう卒業しよう。

もしあなたが、タイヤのサイドウォールの剛性や、ブロックパターンの機能美にロマンを感じる種類の人間なら、PFフライヤーズを履かない理由はない。キャンバスの中身に隠された「姿勢をハックする」というエンジニアの執念。それは、あなたが愛車に求めている「信頼性」そのものだ。

疲れない靴とは、柔らかい靴ではない。正しく立てる靴のことだ。タイヤメーカーが導き出したその答えは、80年以上経った今も、私たちの歩行を支える最強のロジックとして生き続けている。

5. 三部作の終わりに:産業の血脈で靴を選ぶ

USラバーが生んだ「Keds」。 ブリヂストンを生んだ「アサヒシューズ」。 そして、BFグッドリッチが生んだ「PFフライヤーズ」。

この「スニーカー史・ゴム産業三部作」を通じて見えてきたのは、ローテク・キャンバススニーカーが決して「古い靴」ではないということだ。それは、世界を動かした巨大なゴム産業が、その技術力を誇示するために作った「最小単位の重機」なのだ。

お洒落で靴を選ぶ時代は終わった。これからは、その一足に宿る「産業の血脈」で選ぶ。背筋を伸ばし、タイヤの科学を履いて街へ出る。40代の男にふさわしい、最高に知的な足元の完成である。

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