にとさん食堂/久米宗孝さん
2026年5月15日&22日放送
今回のお客様は、高知市弘化台の中央卸売市場内にオープンしたばかりの飲食店「にとさん食堂」から、オーナーの久米宗孝さんです!
■ 久米宗孝(くめ・むねたか)さん
高知市出身。鮮魚店を営む家系に生まれ、幼い頃から弘化台の中央卸売市場に行ってはその活気を身近に感じます。19歳で料理の道に入り、関西の飲食店や阪急百貨店の鮮魚売場で30年以上にわたって勤務。さらに2年間香港でも勤務します。2024年に高知へUターンし、弘化台の活気を取り戻す一助になろうと、2026年5月4日に「にとさん食堂」をオープンしました。

▶ 弘化台に通った少年時代
祖父の代から高知市内で鮮魚店を営む家系に生まれ、小学生の頃は長期の休みになると叔父さんに連れられて弘化台の中央卸売市場へ通っていた久米さん。子どもながらに氷水に浸されたカツオやマグロを取り出す役目を担い「弘化台=手が冷たい」という記憶が残っているそうです😆
子どもの頃、文集に書いた将来の夢は「魚屋」か「釣具屋」。釣りも大好きで、久万川でナマズやライギョ、ブラックバスを釣り上げるのが楽しくて仕方がなかったそうです。まさに魚に囲まれた少年時代だったんですね。

▶ 19歳で料理の道へ!
19歳で天婦羅店に就職し、日本料理の基礎を学んだ久米さん。その後、阪急百貨店・うめだ本店の鮮魚売場に入って鮮魚を捌いたり、対面で販売するようになります。天下の阪急百貨店、しかもうめだ本店となると、ピーク時には大忙し!年末年始には魚を切っても切っても追い付かず、先輩たちからは「兎に角、早くしろ!売り場が空っぽや」と怒鳴られる始末…。相当鍛えられました。
また新人の頃は「おい久米!おまえ高知出身やな。カツオ切ってみろ!」と言われて鰹のタタキを切ったところ、「なんや、この分厚さは!」と怒られてしまったんだとか。「じゃあ先輩、切ってみてくださいよ」というと、先輩が切ったタタキはもうペラッペラ…。こんなところにも、高知県民のカツオに対する情の厚さ(=切り身の分厚さ)を思い知らされました✨

▶ 香港で2年間勤務
2003年からは2年間香港で働きました。シンガポールにある沖縄料理店で働く友人から「香港のお店で人が足らんのや。宗孝、やってみんか?」と誘われ、二つ返事で「是非やりたい!」と返答。誘われた3日後には香港のお店で面接を受け、2週間後には香港へ引っ越したというからこの行動力は凄いですよね。
香港のお店では、香港の人以外に、ネパール人、フィリピン人、韓国人、日本人が働いていて、考え方や仕事の仕方がそれぞれ違っていたのが面白かったそうです。例えば、香港人は仕事を合理化する能力が高く、一つ一つのプロセスを大事にする日本人とは違って、何か一つの形を素早く創り上げるのが得意!こんな経験も、自分とは違う他者を認めることに繋がっているんでしょうね。
また沖縄料理店だったので【ソーキそば】のメニューもあり、その美味しさと、毎日食べても飽きの来ない味から、いずれ自分が高知でお店を出したときには、高知の食材をふんだんに使った【コーチそば】を開発したいと考えるようになります。いろんな経験があって今に繋がっているんですねー!

▶ 弘化台の活性化に一役買いたい!
2024年に高知へUターンした久米さん。当初はどこかの会社で正社員として勤めて、定年退職後に貯金を使って自分のお店を出したいなあと漠然と考えていたそうですが、そんな折、親戚から「高知市中央卸売市場」が新たに取り組む【チャレンジショップ制度】の話を聞いて心が動きます。
「高知市中央卸売市場」は1930年に開場し、今年で開場96周年!国内では「京都市中央市場」に次いで2番目に長い歴史を持っています。しかし近年は人口の減少、流通環境やライフスタイルの変化などに伴い、市場の取扱高は減少傾向で、最盛期には全て埋まっていた店舗棟も空き店舗が多くなっていました。

そんな中、新規出店を促すため【チャレンジショップ制度】がスタート!新規オープン後6カ月間は店舗使用料を無料とするこの制度を利用して、高知県民の台所である「高知市中央卸売市場」の活性化に一役買いたいという想いから、長年温めてきた「にとさん食堂」の構想を実現すべく、一気に動き始めた久米さんなのでした。

▶ にとさん食堂をオープン!
2026年5月4日、高知市弘化台・中央卸売市場内に「にとさん食堂」がオープンしました♪

『 にとさん食堂 』
【住 所】 高知市弘化台12-12
【営業時間】市場開場日 6:00~15:00
市場休場日 9:00~15:00(日・水)
【駐車場】 一般のお客様のお車での入場は8時からです。

メインメニューは【市場海鮮丼】と【コーチそば】です!
■【 市場海鮮丼 】
その日仕入れた新鮮なお魚を4種ほど盛り付けた海鮮丼です。「魚は切り方ひとつで食感や味わいが違う」との考えのもと、自らの技術を駆使して至極の一杯に仕上げました。また海苔が付いているので手巻き寿司風にして食べるのもオススメ!海鮮丼のタレと、柚の酢を入れるとさらに味わいが変わりますよ!

■【 コーチそば 】
メジカでとったあっさり出汁に、じっくり煮込んだ四万十ポーク、室戸市「山本かまぼこ店」さんのすり身、高知のニラとネギ、針ショウガ、さらにすまきを乗せ、麺は高知市神田「佐竹製麺所」さんのこだわりの平打ち麺を使っています。柚の酢を入れての“味チェン”もお楽しみください!

「にとさん食堂」は、高知市弘化台「高知市中央卸売市場」店舗棟のいちばん奥にあります。「にとさん」という店名は数字の「2と3」から名付けたそうで、高知へUターンする頃から何かと「2」と「3」に縁があったことから「にとさん食堂」という名前にしました。
その日、市場で仕入れた新鮮な魚介を乗せた【市場海鮮丼】と、高知の食材をふんだんに使った【コーチそば】を是非お召し上がりください!!


▶ 元喫茶店を改装!
高知市弘化台「高知市中央卸売市場」内の店舗棟いちばん奥にオープンした「にとさん食堂」。以前は「COFFEE SHOP グリーン」という喫茶店があった場所を改装しました。(実は長い間閉まっていた場所で、シャッターを開けたときには「オーッ!」という歓声が上がったそうです)
店内には、カウンターが5席に、テーブルが4卓、その他お子さん連れにも安心な小上がり席もあります。席数は全部で「23席」ということで、偶然ですが "にとさん" です✨

オープン直後のゴールデンウィーク期間中は手伝いの方に来てもらっていましたが、今後は少人数での営業となるので、ご注文はスマホから、そしてお水もセルフでお願いいたします。ぜひご協力くださいませ。

▶ 海鮮丼は切り方にこだわってます!
看板メニューの一つである【市場海鮮丼】は、その日の朝、市場に並んだお魚の中から久米さんが選んだもの(いちばん美味しそうだと思ったもの)を、切り方にこだわって調理しています。
海鮮丼に使われる切り身は、一般的に《平造り》と呼ばれる切り方が多いのですが、そればかりでは単調になってしまうので、久米さんは包丁を寝かせて切る《薄造り》や、大きさを調節しながら切る《そぎ造り》など、いろんな切り方を駆使して食感の違いを楽しんでもらうようにしています。

自信の一品【市場海鮮丼】。魚をおろして30年という久米さんならではのこだわりを是非味わってみてください!
これから夏にかけて美味しくなる魚についても教えていただきました!
これから脂が乗って美味しくなってくる夏の魚といえば、スズキやイサキ。また宿毛湾に揚がるキビナゴは4月~6月が産卵期で卵を持つので更に美味しくなります。キビナゴの刺身をニンニクのぬたと合わせたら最高です。また川の魚ではやはりアユが代表格!夏もお魚を美味しくいただきましょう♪

もう一つの看板メニューは【コーチそば】!
久米さん曰く「沖縄のソーキそばのパクリ」だそうですが、本家のソーキそばが沖縄のいろんなお店で食べられるように【コーチそば】も高知のいろんなお店で提供してほしいと願っています。
例えば「ウチは鶏ガラで出汁をとっています!」とか「当店は土佐あかうしを使ってます!」など、高知のよさこい祭りのようにいろんなアレンジで広がってくれたら面白いですね。いずれは『コーチそばMAP』なんかが出来て、たくさんの観光客がMAPを片手にいろんなお店を巡る姿が見られる ─、そんな野望を持っているそうですよ✨

▶ 美味しい魚の目利きは?
この道30年以上という "お魚のプロ" である久米さん。
長きにわたって培った「美味しい魚の目利き」について、ポイントを教えていただきました。
一般の方は魚を丸一本で買うことはなかなか無いと思いますが、久米さんが注目しているのは…
① 目が透き通っているか?
目が透き通って黒目がくっきりしているのは魚が新鮮な証拠。目が濁っていたり、充血している場合は鮮度が落ちている可能性があります。
② 首から肩にかけて盛り上がっているか?
この部分が盛り上がっている魚は脂が乗っている可能性が高いです。よりハッキリ分かるのが切り身!切り口をよく見て、身と皮の間に注目してください。ここに白い脂の層があれば、脂の乗った美味しい魚と言えます。

魚の鮮度にこだわり、切り方にこだわっている久米さん。他にも、盛り付けや提供スピード、もちろんお値段にもこだわっています。
高知市中央卸売市場にある「にとさん食堂」にぜひ足をお運びください。
▶ 市場って面白い!
高知市内で鮮魚店を営む家系に生まれ、幼い頃から高知市弘化台の「高知市中央卸売市場」によく行っていたという久米さん。市場に対する想いは人一倍お持ちです。そんな興味もあってでしょうか、東南アジアを旅した時に現地の市場をじっくり観察したそうです。
20代の頃にバックパッカーというスタイルの旅が流行し、トレンドに乗って東南アジアの各地をじっくり旅したそうで、時間はたっぷりあったので路地裏をブラブラ歩いたり各地の市場も熱心に見に行ったそうです。
例えばカンボジアには、東南アジアでは最大の湖であるトンレサップ湖があり、そこには水上で生活する人たちの村があります。ここの市場では、小舟に満載された小魚や、メコンオオナマズ、パーカーホと呼ばれる淡水魚などが売られ、この地に住む人たちの貴重なたんぱく源となっています。


またシンガポールの市場では、マッドクラブと呼ばれるガザミの一種が有名です。このマッドクラブ、「なんか見たことあるな」と思ったら、高知のエガニによく似ていました。調べてみると、どちらもノコギリガザミの仲間で、実は高知県はノコギリガザミの北限生息域に近いことが分かりました。
ノコギリガザミは、東南アジアや中国、台湾、香港などでも人気のカニ。高知のエガニも日本の美味しいカニとして売り出せるかもしれません。松葉ガニにも負けない人気になるといいですね。

そのほかベトナムやフィリピンなど各地の市場を巡った久米さんですが、いちばん楽しかったのは、香港各地にたくさんある生鮮食品を小売りする【街市(がいし)】だったそうです。
かつては店が路上に散在していましたが、現在は衛生管理の面からビルに統括され、ビル内で野菜、果物、魚、肉など主に食材が販売されています。【街市】の特徴は、客層は商用だけでなく、一般客がその大半を占めていること。新鮮な魚介のほか、お肉もその場で捌いて吊るしていっているそうで非常に活気があり「これぞ!市場」といった雰囲気だそうです。

▶ 高知県産食材の魅力は?
関西の飲食店や百貨店の鮮魚売場で30年以上にわたって勤務し、香港でも2年間働いた久米さんから見た、高知県産食材の魅力について伺いました。
高知へUターンしてまず感じたのはカツオの美味しさ。水揚げされてからテーブルに並ぶまでの時間が短いので新鮮そのもの!高知県民はそんな新鮮なカツオを『グビグビ』と形容しますが、久米さんが長く暮らした関西ではそんな『グビグビ』のカツオにはまずお目にかからないそうです。
高知市中心部のひろめ市場でそんな『グビグビ』のカツオを手頃な値段で味わえるのが高知県の凄さだと言っていただきました。

また、もう一つ言いたいのが高知県産野菜の美味しさ!トマト、ナス、ミョウガ、ニラなど、どれをとっても凄く美味しくて、ハズレが少ないと感じています。道路脇にある良心市で買った野菜でも、水っぽかったり、首を傾げるようなものはまず無かったそうです。
これには、高知の農家さんの研究熱心さや、弛まぬ努力が反映されているのではないかとお話しいただきました。そんな高知県産食材をたっぷり使ったのが「にとさん食堂」のメニューなのです。

▶ 今後の夢は?
最後に、久米さんの今後の夢や目標を伺いました。
■ 高知産食品の新鮮さ・美味しさを県内外へ発信していきたい!
■ 高知市中央卸売市場で地域経済の活性化に貢献したい!
2024年に高知へUターンして感じるのは「自分は本当に高知のことが好きなんだなあ」ということ。「にとさん食堂」のメニューをとおして、これまで弘化台を支えてきた人たちと一緒に市場の活気を創出していきたい!久米さんの夢は果てしなく広がっていきます。
そんな夢の一つとして、久米さんが個人的に考えていることがあります。それは一般のお客様にも気軽に足を運んでもらえる【市場フェス】です!
久米さんが2年間暮らした香港には、《香港の裏庭》とも呼ばれる西貢(さいくん)という街がありますが、そこでは漁師さんたちが自由に小舟で魚を持ち寄り、集まったお客さんが上から舟を指差して買うというシステムがあるそうです。昔、織田信長が行った《楽市》のような、そんな自由な売り買いを一日だけでもやってみたい!そんな古き良き市場を夢見ています。
弘化台の活性化に熱い想いを持つ久米さん。まずは「にとさん食堂」を通じてお客様を呼び込み、市場の盛り上げに繋げていってくれると思います。
お魚のように活きのいい久米さんの活動を応援しています!!

