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アルメディアのおはなし #8 ルアナが星を選んだ夜 — ここにいるよ、と星が言った —

水色の空に、
すーっと伸びた一本の雲の道。

それはとても長く大きな反物を
コロコロコロって広げたみたいに、
斜めにまっすぐ伸びている。

その先のまだ見えない
「どこか」に繋がってる気配を
漂わせながら。

ルアナはそれを見つけた瞬間、
迷わず走り出したの。

雲は永遠にそこにあるわけではない。
風が吹けば形を変え、
やがて空に溶けて消えてしまうとわかっていたから。

だから、
「今しかない。」

萌葱色のリボンをなびかせながら、
ルアナは夢中で雲の道を駆けていったの。

消えてしまう前に。
追いつけなくなる前に。

雲は、
ルアナの気持ちを悟っているかのように
静かに、優しくそこにあり続けたの。

まるで
「大丈夫、あなたが通り抜けるまで
消えたりしないから。」
と安心の空気を放ちながら。

そしてルアナは、
雲の道を通り抜けたの。


その瞬間――

世界の音が消えた…

風の音も、
足音も、
呼吸さえも。

そこに広がっていたのは、
静謐な宇宙。

深い静けさの中で、
信じられないほど強く輝いている
数多の星たち。

ルアナは思わず立ち止まり、
その光を見上げたの。

あまりにも静かで、
あまりに眩しく、
あまりにも美しい。

しばらくのあいだ、
ただただ目を奪われていたの。

けれど、
やがてルアナはその中に
ひとつの星を見つけたの。

オーキッド色に強く輝く光。

その奥に、
桜貝のように繊細な光をまとった星が
静かに浮かんでいたの。

理由なんて、わからない。

ただ、
心がはっきりと動いたから。

「あなたがいい。」
「あなたの近くに行きたい。」

ルアナは
無数の星の中から
唯一の光を選び、
そして静かな宇宙の中を、
その星へ向かって静かに歩き出したの。

そしてそれは、
自分の使命を選んだ夜でもあるのよ。

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ルアナが駆け抜けると雲の道は、
ほろほろとほどけるように消えていったの。

風に揺られ
最初から何もなかったかのように
あとかたもなく。

でも、それでいい。
だって、これはルアナだけの
世界のできごとだから。

漆黒の宇宙に残るのは、
オーキッド色に強く輝く星の光と、
桜貝のようにやさしい光を放つ星だけ。

ルアナはその光を見つめ
静かにうなずく。

「ここに行こう。」
「ここで生きよう。」


ここにいるよ――

その瞬間、世界は完全に、
ルアナだけの宇宙になったの。

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