視覚障害エッセイ 怖さと不安の先にあった幸せ― 出会いとつながりがくれた、かけがえのないお出かけ時間
お出かけの予定が近づいてくるたびに、ずっと迷っていました。
行きたい気持ちは、ちゃんとある。
でもそれ以上に、「大丈夫かな」「しんどくならないかな」っていう不安が大きくて。
電車に乗るのも、正直こわい。
まだ乗り降りに慣れていなくて、ホームと電車の間に落ちたらどうしようっていう不安がどうしても消えません。
実際に落ちた経験があるからこそ、「気をつければ大丈夫」と頭ではわかっているのに、体がすごく慎重になってしまって。
どうしても動きが遅くなってしまうんです。
先日も、地下鉄に乗るときに時間がかかりすぎて、乗っている途中でドアが閉まりかけてしまって。
「閉めないで…!」って思いながら、挟まれそうになった瞬間もありました。
そういう経験をすると、
また次に乗るときに、さらに怖くなってしまって。
「また同じことが起きたらどうしよう」って思って、
余計に慎重になって、余計に時間がかかってしまう。
そんなふうに、怖さが少しずつ積み重なっていく感じがありました。
乗り換えも、ちゃんとできるのか不安で。
ただでさえ緊張しているのに、そのたびに神経をすり減らしてしまう。
「今回はやめておこうか」
そんな話も、何度もしていました。
ずいぶん前から決まっていた予定だったのに、
直前になってこんなに迷うなんて、ちょっと前の自分からは想像もできなかったなと思います。
本当は、行きたい。
でも、こわい。
その間で、ずっと揺れていました。

いつも私とハッピーお嬢のnoteを読んでくださりありがとうございます。
ナツコ@視覚障害の相談支援専門員です。
最近は、ちょっとnoteの投稿をサボり気味でした。
疲れもあって、なかなか書けない日が続いていたのですが、
今日はどうしても皆さんに聞いてほしいエピソードがあって、こうして書いています。
前回もうれしいご報告の記事だったのですが、
今回も「書きたい」と思えるような、うれしかった出来事がありました。
私はどちらかというと、じっとしているよりも外に出るほうが好きなタイプです。
いろんな場所に行って、いろんな人に出会う。
そんな時間が、昔からとても好きでした。
もちろん、家でごろごろするのも嫌いではないのですが、
ずっと家にいるよりは、やっぱり外に出ていたい。
でも、見えなくなったばかりの頃は、
自由に出かけられなくなってしまったことが、本当にしんどくて、つらい時期を過ごしていました。
そして今、また少し、
あの頃に似たような苦しさを感じる時期を過ごしています。
今は、またひとりで外に出るのが難しくなって、
自由に出かけられないことに、もどかしさを感じています。
でも、前とは少し違っていて。
今は、ヘルパーさんや相方くん、いろんな人の力を借りれば、
出かけることができるということも分かっています。
だからこそ、みんなに助けてもらいながら、
少しずつでもお出かけを楽しんでいけたらいいなと思っています。
ということで、今日はそんな「お出かけ」のお話です。



🌸 それでも行ってみた京都のお出かけ
先々週の日曜日、ずいぶん前から決まっていた京都のお出かけがありました。
和太鼓の先生のライブがあって、その前に観光とランチも予定していたのですが、正直、直前まで「やめようか」と何度も迷っていました。
特に、貴船神社。
階段も多いし、今の見え方で行くのはしんどいかもしれないなと思っていて。
相方くんも「無理しなくていいよ、ランチからにしようか」と言ってくれていたのですが、せっかくガイドさんもお願いしていて、相方くんもずっと行きたかった場所だったので、私は無理に一緒に行くのではなく、別の形で参加することにしました。
友達と待ち合わせをしていた駅の近くのカフェで、私はひと足先に降ろしてもらって、のんびり待つことにしたんです。
今の私にできる形で、その時間を過ごす。
それが一番いい気がしました。
カフェでひとり、ほっと一息ついていると、少し早めに友達が来てくれて、そこからたくさんおしゃべりをしました。
あの時間、すごくよかったなぁと思っていて。
もしかしたら、無理して一緒に観光に行くよりも、あのカフェでの時間のほうが、私にとってはすごく大切で、幸せな時間だったのかもしれません。
そのあと合流して、お昼ごはんへ。
京都らしいものが食べたいとリクエストしていたら、お漬物のお寿司のお店に連れて行ってくれました。
いろんな野菜のお漬物が一つひとつ握り寿司になっていて、見た目もきれいで、味もとてもおいしくて。
相方くんの大好きな生麩もあって、お互いに大満足のランチでした。
そのあと、お店で気に入ったお漬物をいくつか買って、京都といえばの出町双葉で豆餅やお赤飯も購入。
事前に予約していたので、あの長い行列に並ばずにすぐ買えたのもありがたかったです。
そして、知恩院へ移動して、いよいよライブ。
正直、今回はどうなんだろうって少し不安もありました。
今は光や照明の演出があまりわからないので、今までのようにライブを楽しめるのかなって。
でも実際に始まってみると、そんな不安はすぐに消えていきました。
音の迫力や振動、空気感。
それだけで十分、ライブの世界に入り込むことができて。
「やっぱり来てよかった」って、心から思いました。
そして何より嬉しかったのは、約1年ぶりに友達と直接会えたことでした。
電話やLINEではやり取りしていたけれど、やっぱり顔を合わせて話す時間は全然違って。
同じ病気を経験してきた友達だからこそ、言葉にしなくても伝わる部分もあって、今の不安やしんどさも自然に話すことができました。
「ひとりじゃない」って、改めて思わせてもらえた時間でした。
行きの電車では、正直もう疲れきっていて、「やっぱり来るんじゃなかったかな」って思う瞬間もあったのですが、
カフェでしっかり休憩して、少しずつ回復して、そのあとの時間はちゃんと楽しむことができました。
無理しすぎないこと。
自分に合った過ごし方を選ぶこと。
それができたからこそ、このお出かけは「行ってよかった」と思える時間になったんだと思います。


🌿 やめようと思ったはずなのに、それでももう一度踏み出した日
京都からの帰り道、正直かなり疲れていました。
でも、不思議と心の中は、
「ちゃんと楽しめたな」という達成感で満たされていて。
体はしんどいのに、気持ちは満たされている。
そんな、ちょっと不思議な感覚でした。
行きの電車の中では、
「やっぱり来るんじゃなかったかな」って思う瞬間もあったし、
その流れで、次の週に予定していたお出かけも「やめたほうがいいんじゃないか」と、ずっと話していました。
電車に乗るのもしんどいし、乗り換えも怖い。
これ以上無理したら、また体調を崩してしまうかもしれない。
だから、次の予定はキャンセルしようか。
そんな空気が、ほぼ固まりかけていました。
でも、帰り道で感じていたのは、
「やっぱり行ってよかった」という気持ちでした。
あんなに不安だった1日を、なんだかんだ最後まで過ごすことができて、
ちゃんと「楽しかった」と思えている自分がいました。
途中でしっかり休憩を入れれば大丈夫だったこと。
全部を完璧にやろうとしなくてもいいって思えたこと。
「こういう形なら、行けるかもしれない」
そんなふうに思えるようになってきて。
それに、チケットももう取ってあったし、
ずっと楽しみにしていたお出かけだったこともあって。
「やっぱり、もう一回行ってみよう」
そう思い直すことができました。
怖さがなくなったわけではないし、
不安が消えたわけでもありません。
でもそれでも、「行きたい」という気持ちのほうを、少しだけ大事にしてみることにしました。
あの帰り道での気持ちの変化が、
次の一歩につながっていたんだと思います。

🌸 ずっと叶えたかった場所へ ― お嬢とジブリパーク
そして先週の日曜日、もうひとつのお出かけに行ってきました。
行き先は、ずっと前から行きたいと思っていたジブリパーク。
本当は、1年前から約束していたお出かけでした。
大学院の卒業祝いに連れて行ってあげるよって言ってもらっていて、ずっと楽しみにしていた場所。
だからこそ、今回の目の状態で「行けなくなるかもしれない」と思ったときは、正直すごくショックで。
なんでこのタイミングなんだろうって、何度も思いました。
でも、なんとか目も持ちこたえてくれて、無事に行くことができました。
本音を言えば、もう少し見えている状態で行きたかったなっていう気持ちは、やっぱり少しあります。
でも、それを言っても仕方がないから、今の自分で楽しもうって思って、出かけました。
そして今回のお出かけには、もうひとつ大きなありがたいことがありました。
相方くんの大学時代のお友達が、一緒に行ってくださることになって、
しかも名古屋駅から車で連れて行ってくれることになったんです。
もしこれが、新幹線を降りてからまた乗り換えて…という流れだったら、正直「無理」と言っていたかもしれません。
そう思うと、この環境も本当にありがたかったなと思います。
初めてお会いする方だったのですが、とてもやさしくて、自然に関わってくださって。
気づけば、はじめましてとは思えないくらい、すんなり馴染んでいました。
安心して過ごせる空気の中で、1日を過ごせたことも、すごく大きかったです。
そして、今回どうしても叶えたかったこと。
それが、お嬢をネコバスに乗せることでした。
お嬢は、外の景色が見えて、風を感じながら乗れる乗り物が大好きで。
船のデッキも好きだし、以前ハウステンボスでカートタクシーに乗ったときも、ずっと嬉しそうに外を眺めていました。
その姿が忘れられなくて、
「ジブリパークのネコバス、絶対乗せてあげたいな」って、ずっと思っていたんです。
そしてついに、その夢が叶いました。
ふわふわのネコバスに乗って、
気持ちよさそうに風を感じながら、外の空気を楽しんでいるお嬢。
その姿を見ているだけで、
言葉にできないくらい、うれしくて。
「ああ、このために来たんだな」って、心から思いました。
見え方の不安も、移動のしんどさも、たしかにありました。
でも、それ以上に、この時間が本当に大切で、かけがえのないものに感じられました。
「やっぱり、来てよかった」
そう思えた時間でした。

🌸 はじめて会ったのに、はじめてじゃなかった時間 ― makiさんとの出会い
そして今回のお出かけには、もうひとつ、とても嬉しい出来事がありました。
noteで仲良くしてくださっているmakiさんが、
お子さんたちと一緒に、私とお嬢に会いに来てくださったんです。
体調のこともあって、直前までどうなるかわからない状況だったのに、
それでも会いに来てくださったことが、本当に嬉しくて。
実際にお会いするのは、今回がはじめて。
でも、不思議なことに、
「はじめまして」という感じがまったくなくて。
まるで、いつも会っている人と過ごしているみたいに、
自然に時間が流れていきました。
それがすごく不思議で、でもとてもあたたかくて。
ああ、こうやってつながっていくんだなって、
なんだかじんわり嬉しくなりました。
そして何より印象に残っているのが、
お嬢と子どもたちが一緒に過ごしていた時間でした。
ハーネスを外して、
子どもたちと一緒に遊ばせてもらったのですが、
おやつを食べさせてくれたり、
一緒にお散歩してくれたり、
走り回ったり。
みんなが本当に楽しそうで。
お嬢も、しっぽブンブンで、
全身でうれしさを表現していて。
その姿を見ているだけで、
「ああ、こういう時間が一番幸せだなぁ」って思いました。
お嬢がうれしそうに、楽しそうにしている姿を見られたら、
もうそれだけで、その日は大満足で。
「来てよかったなぁ」って、心から思いました。
みんなで一緒にバスに乗ったり、
ごはんを食べたり。
ひとつひとつの時間が、本当に楽しくて、あたたかくて。
子どもたちが、お嬢のことを本当に可愛がってくれて、
「大好きだよ」っていう気持ちが、すごく伝わってきて。
それもまた、とてもうれしかったです。
ネットの世界で出会った人と、こうして実際に会って、
同じ時間を過ごせるなんて、正直これまであまり経験がなくて。
でも今回、それがこんなにも自然で、
こんなにも心地いいものなんだって感じることができました。
「会いに来てよかった」
「来てくれて、本当によかった」
そう思える、大切な出会いの時間でした。
SNSという画面越しでしか会っていなかったはずなのに、
ちゃんと心はつながっていて。
気づけば、私にとって大切な人になっていたんだなぁということを、改めて感じさせてもらいました。
そして、こうしてリアルで出会えたことで、
そのつながりは、また一段と深いものになったんじゃないかなと思います。
私の世界や、私のつながりを広げてくれたnoteにも、
本当に感謝しないといけないなぁと思いました。


🌿 やっぱりお出かけは、やめられない
今回のお出かけを通して、改めて思ったことがあります。
やっぱり、お出かけって大変です。
怖さもあるし、不安もあるし、
正直「やめておけばよかったかな」って思う瞬間もあります。
体力も使うし、疲れるし、
何もかもがスムーズにいくわけではありません。
でも、それでも。
その一歩を踏み出した先には、
あたたかくて、楽しくて、幸せな時間がちゃんと待っていました。
大切な人に会えたり、
お嬢がうれしそうに過ごしている姿を見られたり。
そのひとつひとつが、
「行ってよかった」と思わせてくれる時間でした。
お嬢が楽しそうにしている姿を見られること。
それだけで、もう十分すぎるくらい幸せで。
やっぱり私は、
こうやって人とつながりながら、いろんな場所に出かけていく時間が好きなんだなぁと、改めて感じました。
まだ、ひとりでどこへでも行けるわけではありません。
相方くんやヘルパーさん、いろんな人に助けてもらいながらの外出です。
それでも、だからこそ出会える景色や時間があって。
今の私なりの形で、これからもお出かけを楽しんでいきたいなと思いました。
これからゴールデンウィークもありますし、
実家に帰省したり、またどこかに出かけたり。
お嬢もきっと、田んぼ道をルンルンで歩いたり、ゴロンゴロンしたりするんだろうなぁと思うと、それもまた楽しみです。
怖さや不安があると、どうしても閉じこもりがちになってしまうけれど、
その一歩を越えた先には、
ちゃんとあたたかい世界が広がっている。
私のお出かけを支えてくれるお嬢や相方くん、ヘルパーさん、そして関わってくれるみんなに感謝しながら、
これからも今の私なりのお出かけを楽しんでいけたらいいなと思いました。
今回も、私のお出かけを支えてくれて、幸せな時間にしてくれたみんなに、感謝の気持ちでいっぱいです。
だから私は、これからも。
怖さも不安も抱えたまま、
それでも一歩ずつ、踏み出していきたいなと思います。

🌟 今日のおすすめ記事
今回は、noteで仲良くしてくださっている
まきさん(まき@こどもと日々成長中)の記事をご紹介します。
記事のタイトルは、
「会いに行った日」。
今回、まきさんが実際に私とお嬢に会いに来てくださった、その日のことを丁寧に書いてくださっている記事です。
「会いたいから会いに行く」
そのシンプルな気持ちから始まった行動。
でもその中には、私の体調や見え方の変化への気遣いや、
無理のないペースで大丈夫だよという、あたたかい想いがたくさん込められていました。
当日、場所も時間もきっちり決めるのではなく、
「会えたらうれしいね」というやわらかい約束の中で、実際に会いに来てくださったこと。
そして、子どもたちと一緒にお嬢と関わってくれた時間や、
その中で感じてくださったことが、とても丁寧に綴られていて。
お嬢のこと、そして私のことも、
すごく大切に受け取ってくださっているのが伝わってきて、読んでいて胸があたたかくなりました。
特に印象的だったのは、
盲導犬はただ道を案内する存在ではなく、
安心して一歩を踏み出すためのパートナーなんだということを、実感として書いてくださっていたところです。
実際に一緒に過ごしたからこそ見えたこと、感じてくださったことが、
とてもやさしい言葉で表現されていて、
「ああ、この時間はちゃんと伝わっていたんだなぁ」と、私自身も改めて感じることができました。
今回のお出かけの出来事を、
まきさんの視点からもぜひ読んでみていただけたらうれしいです。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
本当は、もっとタイムリーに、
お出かけのあとすぐにこの記事を書きたかったのですが、
やっぱりお出かけは楽しいけれど、しっかり疲れてしまって、
次の日は1日中、電池オフの状態でした。
昨日こそ書こうと思って、朝から途中まで書いて、
夕方に投稿するつもりだったのですが、
夕方からは体調不良でダウン。
まだまだ無理はできないなぁと、改めて感じました。
でも、それでも。
やっぱりお出かけは、私にとって大切な時間で、
心の栄養なんだと思います。
もちろん、目や体調と相談しながらですが、
心が壊れてしまわないようにすることも、
大切な自分へのケアのひとつだと思うので、
これからも、ゆっくりのんびりペースで、
私らしいお出かけを楽しんでいけたらいいなと思っています。
今回のお出かけは、
たくさんの人との出会いやつながりを感じられる時間で、
そして何より、
やっぱりお嬢が楽しんでくれている姿を見ることが、
一番の幸せなんだなぁと、改めて感じさせてもらえる時間でした。
まだまだ、お嬢と一緒に行きたい場所、やりたいことはたくさんあります。
これからもお嬢と一緒に、
いろんなところにお出かけしていきたいなと思っています。
そして今年の最大の目標は、北海道旅行。
まだどこに行くのかは決めていませんが、
お嬢との最後の旅行になると思うので、
お嬢が喜んでくれそうな場所に、
一緒に出かけることができたらいいなと思っています。
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