心配だからこそ、「待つ」という優しさ

地震のニュースを見るたびに思う。
「知り合いは大丈夫だろうか。」
熊本に友人や親戚がいる人は、
すぐに電話をかけたくなる。
その気持ちは、とてもよく分かる。
でも、被災した側の立場になると、
少し景色が変わる。
まず、停電。
スマホは命綱になる。
充電があと20%しかない。
次に充電できるのが、
何時間後なのか、
何日後なのか分からない。
だから一回一回の画面点灯すら惜しい。
さらに避難所を探したり、
家族と連絡を取ったり、
自治体の情報を確認したり。
スマホは娯楽ではなく、
生きるための道具になる。
しかも災害時は基地局が混雑しやすい。
ローミングなどで通信できる場合もあるが、
回線は普段より不安定だ。
そんな中、日本中から
「大丈夫?」
「無事?」
「心配だから電話した。」
と、一斉に電話が鳴ったらどうなるだろう。
回線はさらに混雑し、
スマホの電池もどんどん減っていく。
もちろん、心配してくれる気持ちは本当にありがたい。
でも、その優しさが、
結果として被災地の負担になることもある。
だから私は、安否確認は電話よりもメッセージを勧めたい。
LINEでも、SNSでも、InstagramのDMでもいい。
「無理に返信しなくていいから。
既読だけ付けば安心します。」
たったそれだけで十分だ。
返事を書く余裕はなくても、
メッセージを開くことはできるかもしれない。
既読が付けば、
「ああ、生きてる。」
それだけで安心できる。
もし電話をするなら、一度だけ。
つながらなかったら、何度も掛け直さない。
相手からの折り返しを待つ。
それも立派な思いやりだと思う。
災害のとき、本当に必要なのは「今すぐ安心したい」という自分の気持ちよりも、被災した人の負担を少しでも減らすこと。
心配だから動く。
ではなく、
心配だから待つ。
それも、大切な支援の一つなのだと思う。
被災地にいる人が一番欲しいのは、
「何度も鳴る電話」
ではなく、
「落ち着いたら返事をください。」
という、静かな気遣いなのかもしれない。
