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道は、誰かが作ってくれるものじゃない


「この世の中には道はない。歩く人が多くなれば道になるのだ。」


魯迅の『故郷』に出てくる、有名な言葉である。


初めて読んだときは、


「なるほど。」


……くらいだった。


でも、年齢を重ねると、
この言葉の重さが少しずつ分かってくる。


子どもの頃は、道なんて最初からあると思っていた。


学校へ行く道。

会社へ行く道。

人生のレール。


「この通り進めば大丈夫。」


そんな道が、どこかにあるものだと思っていた。


ところが大人になると気付く。


ない。


本当にない。


転職もそう。


離婚もそう。


新しい土地での生活もそう。


Googleマップなら目的地まで案内してくれる。


でも人生は、


「500メートル先を右です。」


とは教えてくれない。


できれば人生にもナビが欲しい。


「3か月後、転職成功です。」


「この選択で合ってます。」


「ここで彼女に告白してください。」


そんな音声案内があれば、どれだけ楽だろう。


……たぶん私は、


「再検索します。」


を毎日聞くことになる。


それでも、立ち止まっていても道はできない。


一歩踏み出す。


失敗する。


また歩く。


その足跡が少しずつ増えていく。


すると、振り返ったときに初めて、


「ああ、ここが自分の歩いてきた道だったんだ。」


と気付く。


私は設計の仕事をしてきた。


設計図には必ず線を引く。


その一本の線が、製品の形になる。


人生も少し似ている。


最初から線は引かれていない。


自分で一本ずつ描いていくしかない。


だから私は、この言葉が好きだ。


「この世の中には道はない。歩く人が多くなれば道になるのだ。」


誰かの後ろを歩く人生も悪くない。


でも、誰も歩いていない場所へ一歩踏み出した人がいるから、今の私たちはその道を歩けている。


もし今、目の前に道がないと感じている人がいるなら。


それは迷子なのではない。


あなたが、最初の一人なのかもしれない。



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