令和にプレイする「ダークソウル2」のススメ
ダークソウル2。それはフロム・ソフトウェアが生み出した実験作である。
はっきりいってバランスが取れているとはいいがたい。バカみたいに押し寄せてくるエネミー。もっさりした自キャラ挙動。トラップ満載の鬼畜マップ。そういうゲームがダクソ2だ。

それでも、未プレイのフロムユーザーであればプレイするだけの価値があるゲームと言える。ダークソウルとダークソウル3のあいだに生まれたこの作品は、確かに後世のフロムゲーに繋がる遺伝子を持っているのだ。
この記事では、あまり触れられないダークソウル2の魅力を紹介しつつ、この作品の「おバカなところ」も紹介していこう。のちの作品には受け継がれなかった、ダクソ2ならではの要素。それを楽しめるのはもちろんダクソ2だけなのだから。
なお、本記事には中盤エリアの画像も含む。完全に知識ナシで挑みたい方は要注意。
ダークソウル2、その独特な魅力
美麗なロケーション
ダークソウル2の魅力を語る際にまず触れておきたいのが、その独特で美麗なロケーションだ。いわゆる祭祀場ポジションにあたる拠点「マデューラ」の雰囲気は、ダクソ2を嫌っているプレイヤーでもけなすことは稀である。

ダクソ2のフィールドは他では味わえないような不気味さと寂しさ、そして美しさが同居している。さびれた雰囲気の「ハイデ大火塔」、異界じみた「黒渓谷」、画面越しに熱が伝わってきそうな「溶鉄城」など、この作品ならではのロケーションが待っている。
もちろん、そうした場所にはもれなく強大な敵が潜んでいる。プレイヤーはそれらを時になぎ倒し、時には躱して突き進む必要がある。そして行き止まりにある遺体(ダクソにおいて宝箱とは誰かの死体である)からアイテムをゲットするのだ。その愉しみ、ダクソがダクソである所以は、しっかり受け継がれている。

旅を彩る、魅力的なNPCたち
ダクソ2のNPCは妙に人間臭いことで有名だ。善人ぶった怪しいヤツであったり、剣に魅せられた危ないヤツだったり。ボッタクリもいる。詐欺師もいる。騙し騙されの因縁を経て殺し合いを始める連中もいる。さらにはNPCの殺害を依頼してくるヤツまで……。
こうした多彩なNPCから漂ってくる終末感は本作でも特に魅力的なところである。ダークソウルとは終わりつつある世界の旅。その雰囲気を醸成してくれるのが彼らだ。

こうした個性バチバチのNPCたちとの出会い。そこから見えてくる救えなさはシリーズでも随一。基本的に彼らを救う事はおよそ不可能だ。もはや個人の頑張りでは救えないほど、どうしようもなく終わっている。それがダークソウル2の世界観なのである。

例えば本作には、鍛冶屋レニガッツと石売りのクロアーナというNPCがいる。彼らは親子の関係と推察されている。しかしレニガッツは不死の呪いで亡者(ゾンビみたいな状態)になっており、およそ真っ当な見た目からはかけ離れてしまっている。それは実の娘から見ても、判別できないほど……。
あるいは不死の呪いは、記憶すらも歪めてしまうとも言われている。石売りのクロアーナはレニガッツの事を「見ていると親父を思い出す」と認めつつも、肝心の記憶があやふやだ。
クロアーナはもはや自分が何者なのかも思い出せないのである。これが不死の呪い。彼らを救う事は、ゲーム中ではできない。プレイヤーはただ彼らのすれ違いを見つめつつ、思いをはせる事しかできない。

ちなみにダークソウル2では誰も「火を継げ」とは言ってこない。それでもダークソウル無印のプレイヤーならきっとこう思うはずだ。「私が火を継がなきゃいけないんだ」と。そう思わせるだけの絶望がそこにはある。
エルデンリングに繋がる二刀流
3000万本売れたアクションゲーム「エルデンリング」はたまに、ダクソ2の直系の子孫とも言われる。それは今作で登場した要素が、数多く改善されて受け継がれているからだ。
代表的なのが「二刀流」。無印ダークソウルでは両手に武器を持っていても何の意味もなかったが、ダクソ2では両手の武器で連続攻撃を繰り出すことができる。スタミナ消費は大きいが、火力と強靭削りは優秀だ。

またダクソ2ならではの要素として、左右の武器が異なる「異種二刀流」がある。例えば右手に直剣、左手に曲剣で二刀流ができるのだ。モーションは変わらない事が多いのだが、これによって様々な遊びが可能だ。
さらに一部の武器には二刀流L2モーションが特殊になるものがあり、魅力を引き立ててくれる。クロスボウ二刀流での同時発射もダクソ2では可能だ。まあ、これが対人戦ではだいぶ悪さをしたらしいのだが……。
触媒武器、触媒盾、複合触媒
ダークソウル2で有名な武器のひとつに「ブルーフレイム」がある。これは直剣でありながら魔術の触媒でもあり、R2ボタンで魔法を飛ばすことができる。さらにブルーフレイムに魔術エンチャントを施すと魔法の威力も上がるという、ロマンと格好良さを極めたスペルブレードだ。

こうした触媒機能を持った武器や盾が、ダークソウル2には多数存在する。さすがは実験作品といったところか、正直微妙な性能をしているものも多いのだが、ともあれ多様性という面では画期的なものだった。
また「魔女の黒枝」のように魔術・奇跡・闇術の複数カテゴリを自由に扱える触媒が存在したのもダクソ2の特徴だ。これは威力を犠牲に利便性を高めるものであり、多様な魔法を瞬時に切り替えて使う事ができる。

こうした武器で後の作品に受け継がれた物はごく少ないが、プレイヤーからの評判は非常に良い。「ブルフレかえして」とつぶやくフロムユーザーに出会ったら、それはダクソ2に脳を焼かれた存在と言えるだろう。
匂わせ程度にとどまるダクソ神話
本作はダークソウルの世界からずっとずっと後の時代を舞台としている、と言われている。ただし確証はない。直接的にそれを明言する者は誰もいない。ただ「匂わせ」だけが、いたるところに存在している。
例えばマデューラのNPC「愛しいシャラゴア」はこんなことを嘯く。プレイヤーは「ずっとずっと古い、4つのもの」に逢いに行くのだと。ダクソプレイヤーならばピンとくるはずだ。4つときたらあれしかない。すなわち偉大な4つのソウルの持ち主たち。ニト、シース、混沌の苗床、四人の公王だ。まあ、実際に手に入るのはちょっと違うソウルなのだが。

実際これはかなり賛否分かれるところなのだが、個人的にはこういうフレーバーは「アリ」寄りだ。あえて明示しないことで時代の遠さを演出しているのだと思うのだが、とてもフロム脳(考察したがり妄想症)が刺激される。
ダークソウル3では一転して無印とのつながりを明言しているのもまた良い。神の時代に最も近かった無印、はるか遠く神が忘れ去られたダクソ2、何もかもが終わっていって神の痕跡に縋るしかなくなったダクソ3。全部が違って全部いい。
ここがやべえぞ!ダクソ2
初見では絶望必至
さて、ここまではダークソウル2の魅力を滔々と語ってきた。ここまで読んで「ちょっとダクソ2やってみようかな」と思っていただけたら、筆者は最高にうれしい。
だからこそ、ダークソウル2の「闇」にも触れなければならない。すなわちダクソ2のアカンところである。正直このゲームのバランスはちょっとおかしいので、これを知った上でプレイしなければ正気でいられない。攻略情報も若干含むので、闇の道を歩む求道者は先を読まない方がよいかも。
多すぎる複数戦。3対1すらも当たり前
ダークソウル2は探索が楽しいゲームだ。ではダークソウル2でいちばんクソな部分は? これも探索なのである。というのも、ダクソ2はフィールドで敵に囲まれてボコボコにされることがとても多いゲームなのだ。

しかもこれは終盤のダンジョンとかの話ではなく、本当に序盤も序盤からそういったシチュエーションが待ち受けている。この傾向はゲーム全体を通しても(悪い意味で)一貫しており、かなりの頻度で大量の敵を捌くことを求められる。
この戦闘は大変に好みが分かれるところだ。高火力の武器でばっさばっさと倒していける上級者ならスリリングで楽しい面も確かにあるが、システムに慣れていない初心者では相当に辛い。

そして多くの場合、初見のプレイヤーは「まず弓で釣る」ことと「退いてチクチクする」ことを覚える。そうでもしなきゃやってられないのだ。これが楽しいかと言われると、答えに窮してしまう。
ちなみにダクソ2の敵は妙に連携が取れていて、弓で釣ろうとすると2人組で行動し始めるパターンも多い。回避できない、強制的な多対一。これもまたダクソ2の不評な部分だ。
独特すぎるステータス。「適応力」の重要性
ソウルシリーズは実のところ、けっこう基礎ステータスがころころ変わる。ダクソ無印の「耐久力」、ダクソ3の「運」などだ。そしてそういうパラメータは、どちらかといえば中途半端な要素になりがちである。ではダクソ2の「適応力」は? これがまあ、半端なく重要なステータスなのだ。

しかも実際に戦闘で影響するのは適応力そのものではなく「敏捷」のステータス。これが「記憶力」と「適応力」の両方で決まる。魔法使いキャラだからと記憶力を優先すると、敏捷ステはなかなか上げることができない。
この「敏捷」が「ローリング回避の無敵時間の長さ」と「アイテム使用のモーションスピード」にかかわる。つまり戦闘の根幹も根幹の部分だ。そんなところを強化するのにレベルアップが必要なのはダクソ2だけである。
敏捷が初期値のキャラは、ローリングしても攻撃に当たってしまう。生命力で受けたとしても回復アイテムの使用速度が2割ほども遅い。こんな重要ステータスが何の説明も無しで存在しているのだからたまらない。
やたらに強い雑魚敵。パリィもバクスタも効かないモブ
無印ダークソウルで強敵として印象に残るモブ(フィールドの雑魚敵)といえば「黒騎士」だろう。彼らは滅茶苦茶に強いが、一方でパリィとバックスタブに弱いという明確なウィークポイントがあった。初見で殺されまくって絶望したプレイヤーも、そこに気付けば簡単に倒すことができた。
一方ダークソウル2の強モブにそうした弱点はまるでない。パリィは無効、バクスタも無効。ついでに強靭も無限でいっさい怯むことは無い。そんな敵が序盤から出てくるのがダークソウル2なのである。

これは明確にバランス調整のおかしいところだ。後の作品ではそんなモブは存在しないか、あるいは遭遇を回避できるのが普通である。ダクソ2の教訓を経てそうなった、とも言える。
重すぎる「死」のペナルティ。なんと最大HPが減る
無印ダークソウルでは、死んだ場合は生身から亡者へと変貌してしまう。ただこれは白サインが拾えなくなるのと見た目が無様になるだけで、攻略上でこれといったデメリットは存在しなかった。
ダークソウル2では、死ぬたびに少しずつ最大HPが減少するペナルティが課される。何が問題って、死にまくることが前提の死にゲーでペナルティがあるというのがヤバいのだ。

このため、ペナルティを軽減する指輪はほぼ必須装備となる。幸いにして「繋ぎとめる指輪」は序盤で入手可能だが、探索が甘いと地獄を見ることになる。亡者状態を回復するアイテムも中々の貴重品だ。
とてもシビアな装備耐久値。手数武器はつらいよ
実はダークソウルシリーズの武器や防具には「耐久値」が存在する。これが無くなると武器の攻撃力が激減したり、防具の防御力が消し飛んだりするわけだ。
そしてダークソウル2は、シリーズで最もシビアな耐久値管理を求められるゲームなのである。耐久値の減少はとても厳しい。死体を殴ると減る、壁を殴ると減る、酸の沼で減る……といった具合にマッハで損耗していく。

これが武器の「使い勝手」に相当な影響を与えるのは想像の通りだ。刀カテゴリのように普段使いを半ば諦めざるを得ないような武器も存在する。不評だったためか、ダークソウル3では耐久値減少の緩和が行われた。
極悪ギミックが当然のフィールド。初見は罠に殺される
ダークソウル2の探索は楽しい。楽しいが、しかし同時にとてもストレスが溜まるのも事実だ。というのもこのゲーム、初見殺しどころの話では済まないような極悪ギミックが平然と存在していることが多いのである。

それは例えば「毒の弾丸が発射される像」であったり、「霧で視界が悪い中で透明の敵が襲ってくる」だったりする。「装備耐久値が激減する酸が詰まった壺」「近づくだけで亡者状態になる壺」のように、シャレにならない罠もある。
まあダークソウルシリーズというのはそういうギミックも含めて楽しむものではあるのだが、どこもかしこも死ねるギミック!となれば食傷してしまう人も多い。無印でいうところの病み村クラスのフィールドがいくつも存在するのがダークソウル2のヤバいところなのである。
貴重な鍵アイテムを使って開けた扉の先に、何もない
ダークソウル2には「ファロスの石」というアイテムがある。いわゆる鍵アイテムであり、エルデンリングで言うところの石剣の鍵に相当するギミックだ。入手機会はとても絞られており、貴重なアイテムでもある。
そのファロスの石を使って開ける扉に、ハズレが多いのがダークソウル2の問題点のひとつだ。「温泉が湧き出てちょっと回復できる」ならまだマシ。最悪の場合は何にもない壁が出てきて終わりになってしまう。

かといって、ファロスの石自体の価値がないわけではもちろん無い。むしろ「楔石の原盤」や「緑花の指輪」といった超有用アイテムが入手できる事もある。それがまったくノーヒントで、大量のハズレの山に埋もれているのがまずいのだ。
ノーヒントの隠し扉。メッセージがなかったら気付かないって!
ソウルシリーズにお馴染みのギミックに「霧の壁」というものがある。いわゆる隠し扉のギミックで、叩いたり調べたりすると新たな道が拓けるわけだ。そして伝統的に、この手の隠し扉はよく見るとわかるヒントがあることが多い。
ところがダクソ2では、この隠し扉にいっさいのヒントが無いのが普通だ。一見してただの壁、ただの通路にしか見えないようなところにしれっと扉が隠されている。オンラインプレイでメッセージがあれば見つけられるが、ノーヒントではまず見つからない。

そしてダクソ2の隠し扉の先には、単にアイテムがあるというだけでは済まない。時にはショートカットだったり、あるいは篝火がかくされていることすらある。メッセージのありがたみを感じるポイントではあるのだが、10年も前のゲームなのでサーバーが不安定な事も多い。
過疎っているほうがありがたいかも。侵入システムもヤバかった
無印ダークソウルにおいて、侵入者たる闇霊が入ってくるにはホストが生身である必要があった。ダークソウル3も似たシステムで、薪状態でない限りは侵入者など入ってこない。ところがダークソウル2にはそういうシステムがない。侵入者はいつでもウェルカムなのである。

現在のダークソウル2はほとんどオンラインに人がおらず、侵入者が来ることはあまり無い。ラスボスまでプレイしても侵入されないかもしれない。なので現状ではほぼ無害だが、初心者狩りは別。むしろ初心者狩りにしか出会わない可能性が高い。亡者状態でも侵入されるのがまた極悪だ。
ちなみにマッチングも独特で、「ソウル取得量マッチング」となっている。これはフロムの試行錯誤であるが、結果として問題が多い仕様だった。シンプルに、後戻りも足踏みもできないのである。プレイするほどマッチングしづらくなるこの仕様は、後の作品には受け継がれなかった。
それでもダクソ2は神ゲーかもしれない
……と、ダークソウル2の紹介はこんなところ。分量的には闇の方が多いのには苦笑を禁じ得ない。しかしそれでもダクソ2は楽しいのである。実際、steamのストアページを見ると直近の評価は「非常に好評」だ(2026年1月)。
またボリューム的にも大満足できることは間違いない。DLCエリアは非常にやりごたえがあり、まさしくダクソ2の集大成のようなフィールドとなっている。困難に次ぐ困難を経てDLCボスを打倒した時。その達成感は筆舌に尽くしがたいものがある。
10年前のゲームなのでフルプライスで買うのは躊躇われるかもしれないが、興味があればセールの時に手に取ってみてほしい。そして善きダクソライフを送ってくれると投稿者は幸せである。では今回はこの辺で。ばいばい。

