Vol.02:AIで作ったものに、クライアントはどう反応するか?〜AIを道具で終わらせないために〜
AIで作った企画やイラストを提案しても、クライアントからは特に何も言われない。
そういう場面が増えてきました。
今回は、生成AIを取り入れた提案に対して、クライアントや市場がどう反応しているか。現場での体感をもとに書いてみます。
「驚かれるけど、話が終わる」
AIを使って何かを作ると、「えっ、これAIなんですか?」と驚かれることはあります。
ただ、その反応が仕事につながるかというと、そうでもない。
“すごいですね”で終わってしまうことがほとんどです。
つまり、驚きはあるけれど、依頼にはつながらない。
これは、実際にやっていて感じる正直なところです。
採用されるかどうかは「内容次第」
とはいえ、AIを使ったからといって通らないわけでもありません。
SNS広告用のバナーやキャンペーンの絵コンテ、企画のたたき台など、生成AIを活用した提案がそのまま採用されるケースも増えています。
ただし、そのとき「AIだから通った」わけでも、「AIだから落ちた」わけでもない。
あくまで、提案としてその案件に合っているかどうか。
判断基準はそこにあります。
市場の変化:若年層ターゲットでは広がっている
体感として、20〜30代向けのSNS広告や動画の現場では、生成AIによるビジュアルや映像が明らかに増えています。
見た目にインパクトがあって、テンポが早くて、複数パターンを短時間で出せる。
こうしたAIの強みが、現在の広告表現とマッチしやすいのだと思います。
一方で、ブランドの背景や文脈が重視される場面では、まだ人の手が入ったもの、作家性のある表現のほうが好まれる傾向も残っています。
出力そのものより、「使い方」が問われている
最近は、「AIを使って出力されたものの完成度」よりも、それをいつ・どこで・どう活かすかという判断のほうが重要になってきていると感じます。
誰でもそれっぽいものは出せるようになったいま、そこからどう引き出して、どう構成して、どう“自分の表現”に変えるか。
AIで出しただけでなく、その使い方にこそクリエイターの力が見える。
そんな時代になってきています。
「AIを使った」と言うべきかどうか
ここで少し立ち止まって考えたいのが、「AIを使ったことを、伝えるべきかどうか」という話です。
個人的には、ある程度AIの活用が一般化してきた今、「AIで作りました」といちいち説明しなくても成立する場面は増えてきたと感じています。
ただ、それはこちらがAIを使っていることを明示し、それを理解した上で発注してくれるクライアントとの関係性があってこそ。
僕自身も、そのスタンスで仕事を受けています。
一方で、そういった前提がないクライアントとのやりとりや、「こっそりAIを使う」ようなケースでは、やはりきちんと伝えるべきだと思っています。
AIの使用そのものよりも、それをどう説明し、どう共有するか。
そこに制作者としての誠実さが問われている気がします。
おわりに
今は、AIをどう使うかというより、「どこまで任せるか」「どこから自分で決めるか」がより重要になってきていると思います。
そしてもうひとつ、「AIを使っていることを、どう伝えるか」も同じくらい重要な要素になりつつあります。
使うことは悪ではない。
でも、伝え方を誤ると、信頼の綻びになりかねない。
このシリーズでは、そういった“あいだのこと”を、引き続き丁寧に拾っていければと思います。
次は、「これからのクリエイターにとって、“使い方”のうまさがどう価値に変わるのか」をテーマに書いてみる予定です。
