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Vol.05:「なんとなく選ぶ」を抜け出すために〜AIを道具で終わらせないために〜

AIと仕事をしていると、ときどき“選ばされている”ような感覚になることがあります。
3つの案のうち、どれが良いか。
それっぽく見えるものはどれか。
でも、それを選んだ理由が「なんとなく」になってしまうと、あとから自分でも納得がいかなくなることもあります。

今回は、「どうやって判断軸を持つか」について。
前回話した“知識やセンスがあってこそ、出力を見極められる”という視点にも、少しつながってきます。
軸があることで、AIとのやりとりにも手応えが出てくる。そんな話です。



選ぶことはできても、決められない

AIは複数案を出してくれます。
画像でもコピーでも、いろんな方向性の“たたき台”が出てくる。

その中から一番良さそうなものを選ぶ。
でも、ときどき「どれも違う気がするけど、選ぶしかない」という場面もあると思います。
それが続くと、AIの提案に自分の感覚が押し流されているような気持ちになる。

「選べている」と「決められている」は、違うんですよね。
自分の意思で選んだつもりでも、実は出てきた中から“マシなもの”を選ばされているだけのこともある。
そうなると、あとから「これ、本当に自分が決めたのかな」と感じてしまうことがあります。


判断軸がないと、整えることもできない

たとえば、「このコピー、なんとなく強すぎる気がする」と思ったとします。
じゃあ、どう直せばいいのか?と考えたとき、「なんとなく」のままだと手が止まってしまう。

判断軸があれば、「そのターゲットにとっては言い過ぎかもしれない」「トーンが硬すぎてブランドの雰囲気に合っていない」など、“直す方向”が見えてくる。

つまり、判断軸は選ぶためのものというより、整えるためのものなんだと思います。


判断って、実はセンスとつながっている

前回、センスは知識の積み重ねから始まるという話をしました。
それは判断にもまったく同じことが言えます。

「知っているから、違いがわかる」
「比べられるから、選べる」
センスと同じで、判断軸も“積み重ねの結果”としてできてくるものです。

見た瞬間に「ちょっと違うな」と思える感覚も、たぶん知識や経験があってこそ働くもの。
つまり、判断するという行為も“ツールを使いこなす前提”としてのインプットに支えられているわけです。


判断軸は、組み合わせでできている

判断軸と聞くと、「すごく経験のある人が持っているもの」みたいに感じるかもしれません。
でも、実際にはもっと細かい要素の組み合わせでできている気がします。

・誰のための表現か
・どんなトーンで届けたいか
・どこまで寄せるか、どこで外すか
・ブランドや媒体に求められる前提条件は?

こうした小さな条件の積み重ねが、「じゃあこれは違うかも」「こっちは近いかも」という判断につながっていく。

自分の中でこの引き出しが増えてくると、出力された案に対しても「うまく整理できる」ようになっていきます。


「好き/嫌い」だけでは届かない場面もある

これは仕事として向き合っているとよく感じるのですが、自分の「いいな」と思ったものが、そのまま通るとは限らない。

だからこそ、「誰のために」「何を伝えるか」という視点が必要になります。
たとえば、若い人向けのビジュアルなら少し勢いを持たせるとか、行政機関向けなら情報を最優先で整理するとか。

そういう“整え方の目線”があるだけで、AIの出力も活かしやすくなる。
選ぶ基準がブレなくなることで、提案のときに「それっぽいから」ではなく、「こうだからこれにした」が言えるようになる。


判断軸があると、AIとの関係も変わる

AIは、判断してくれません。
あくまで候補を出すだけ。
その中から「選ぶ」という行為に意味を持たせるのは、やっぱり人の役割だと思います。

判断軸を持っていると、出てきたものの中に自分で「意味づけ」ができるようになる。
それがあるだけで、AIを使っている感覚がずいぶん変わってくるんですよね。


おわりに

判断軸は、いきなり持てるものではありません。
たぶん最初は、「これは違う気がする」と思ったところから始まる。
その「違う気がする」を、少しずつ言葉にしていくうちに、自分の中で判断のルールが育っていくのだと思います。

次回は、もう少し具体的に「整える力」について。
どうやって出力に自分の視点を加えていくか、という話をしてみたいと思います。

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