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世界の中心で“愛”を叫んでいた『あの頃。』の僕たちへ。

2月19日公開の映画『あの頃。』試写会に行ってきた。

さて、何から書けばいいのやら。観終わって、とにかく僕は泣いていた。号泣、というものではなく、じんわりと涙が零れていた。スクリーンから終始溢れる「ハロプロへの愛」そして、ハロプロを切っ掛けに繋がった恥ずかしくなるほど真っ直ぐな「絆と友情」のキラキラした眩しさが、たまらなく愛おしかった。

もしかしたら『あの頃。』というタイトルから、00年代のハロプロを懐古するだけの話と思ってしまう人も多いかもしれない。「その時代は分からないから、共感できないかも」と不安に思うかもしれない。

だが上映前にライブ配信された完成報告イベントで、主演の松坂桃李さんが「いま、心の栄養になる映画」と話していた。もうひとりの主人公と言ってもいいコズミン役の中野太賀さんも「この映画は“あの頃”を懐かしむ、ただのノスタルジーに浸る映画じゃなく、それを経て“いま”という時間の大切さを感じてほしい」と話していた。

そもそも「ハロプロ知らないから理解できないんじゃないか」という人も多いだろう。いや、世間一般的にそういうものだ。

しかし、もしあなたが何かしらの沼にハマっているのなら話は早い。

全てのジャンルに共通する「推し」に対する無償の愛と「推し」に出会ったことで繋がった仲間とのバカ騒ぎに垣根なんてない。アイドルだろうとアニメだろうと俳優だろうと宝塚にテーマパーク、なんだろうと「オタク」に変わりなんてない。僕らは「オタク」という共通言語で生きている。

推しが好きすぎて叫びたくなる夜がある。

握手会の後に吉野家へ行ったら、隣のヲタが突然「俺、さゆ(道重さゆみ)のこと好きすぎてどうしたらいいかわかんねえ」と言って牛丼に涙溢しだして店内がザワついていた。

ハロヲタに伝わる有名な逸話だ。

登場人物のナカウチ(芹澤興人)さんは楽曲派の人だけど、道重さゆみには「歌で良かったのは道重です」と言わせてしまうスター性が当時からあったのだ。

「あの頃は楽しかったなぁ」
「バカ、いまが一番楽しいよ」

そんな風に思って生きていこうと感じさせてくれる男たちの、ボンクラだけど一生懸命な姿がある。どんな時代だって、推しがいれば無敵なのだ。

以前、僕の『あの頃。』をnoteに書いた。原作者であり、物語の主人公・劒樹人さんたち「恋愛研究会。」とも同時代に僕も東京でハロヲタをしていた。当然、劒さんのように松浦亜弥ヲタもいたし、ロビさん(山中 崇)のような狂信的な石川梨華ヲタもいた。

そうだ。この映画は、是非かつて石川梨華ヲタクだった彼らにこそ観て欲しい。ひとつターニングポイントでもある石川梨華卒業コンサートに向けての各ヲタクの心境や、卒業に対する想いなんかは「梨華ちゃん!梨華ちゃん!」と狂ったように叫んでいた彼らにこそ観て欲しい。

オドリストだった人たちよ。血走った眼で一心不乱に『ザ☆ピース!』を踊り狂う西野(若葉竜也)を観て欲しい。あの頃、ステージを見つめながら「〇〇と俺はシンクロしてる!」と踊ってた僕らの姿がスクリーンにいるぞ。

そして僕もイトウ(コカドケンタロウ)と同じように「6期最強伝説」を今も胸に抱いて生きている。田中れいなの歌があったから、モーニング娘。を更に好きになっていったのだ。

中でも藤本美貴原理主義者のようなコズミン(仲野太賀)の生き様こそが、この映画の核であり、一番伝えたいメッセージだったと思う。クセのある恋愛研究会。にあって、一番の大クセ人物であるコズミン。『恋ING』を歌う時も『ロマンティック浮かれモード』を歌う時も、絶対に原曲キーで歌いきる「ハロプロ愛」が最高に愛おしい。

ちなみに松坂桃李さんは、原曲キーで歌うの結構しんどそうだった。でも、そこがまた松坂桃李ファンには堪らなく愛おしく映るだろう。

今がコロナなんて世の中じゃなかったら、絶対に爆音応援上映会を開催する映画館があったはずだ。そして僕は確実に参加していたと思う。

ハロヲタや松坂桃李ファンで溢れた映画館で、『ザ☆ピース!』や『♡桃色片想い♡』『ロマンティック浮かれモード』をヲタ芸したり踊ったり、恋愛研究会。と一緒になって『恋ING』を肩組みながら大合唱したかった。

そして、劇中で松浦亜弥と握手する劒さん、いや松坂桃李さんに向かって「がんばれ!大丈夫!絶対に言える!」と全力で応援したかった。

いつかコロナが収束したら、どこかの映画館で上映会をやってほしい。僕はそれを本気で願っているんだよ。

そうそう、劇中で握手する松浦亜弥を現ハロプロに所属するBEYOOOOONDSの山﨑夢羽ちゃんが演じている。出番はその握手会だけなのだが、まごうこと無き松浦亜弥がそこに存在していた。

推しゴトに恋に、恋愛研究会。は大騒ぎをしながらハロプロと一緒にあの時代を走っていた。そして原作にもあるラストシーン。あのラストカットから曲と共にエンドロールへ行く演出に誰もが泣かずにはいられないだろう。

映画『鬼滅の刃』では、僕も劇場で「煉獄さん…」と泣きながらLiSAの『炎』を聴いていたが、『あの頃。』でも同じように、いや思い入れ的にはそれ以上の気持ちが溢れてしまい、マスクをグズグズにしてしまった。

あれはズルい。あんなの泣く。モーニング娘。って素敵だなぁ。ハロプロって素敵だなぁ。いや、もう、全てのオタク、素敵だなぁと思って涙が止まらない。そして全ての推しに「ありがとう」と感謝したい気分だ。

映画『あの頃。』は、大いなるオタク讃歌の物語だった。


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