あざといちご味 #シロクマ文芸部
かき氷を買ってる間にもうナンパされている
夏祭り
縁日結った髪
浴衣に襟足
おくれ毛揺らす
「へぃ、ブルーハワイ、お待ちっ!」っと
わざと大きな声でかき氷を差し出す。
なんだ彼氏いるじゃねーか、と男が2人立ち去った。
「颯太んとこ行こうと思ったら声かけられちゃった」
、、って、てへぺろ、かよ。
フリでいいから少し困ってみせたらどうだ。
「ブルーハワイ、お待ち!」もう一度言って差し出す。
ひやっと氷が俺の手をかすめ零れ落ちる。
「ええ、、っとわたし、そっちのいちごにしようかな。変えていい?」
そういうとこ。
美憂は迷ってみせて土壇場で比べては
乗り換える。
そう、そういうとこだよ。
ブルーハワイのシロップまで腹に入れた俺は
「ほらっ」と舌を出して見せた。
「やだっ、そーた、ゾンビみたい。」
真っ青な俺の舌を見て美憂は笑う。
美憂の口元についた氷が赤い。
手を伸ばして取ろうとしたら
氷はするっと雫になって伝った。
それだけのことなのに美憂の肌に帯びた熱を思わせる。
砂糖と混じりあったいちごの匂いがとろんと俺の鼻先で踊った。
「花火見る場所探さなきゃ」
美憂が逃げるように席を立つ。
打ち上げにはまだ少し時間がある。
ゆっくり歩いてもいいけれど。
「こっちならまだ人が少なそう」
と振り返った美憂の首筋に
俺は青い唇を押し当てた。
「俺もいちご味が食べたい。」
頭上で響く爆音を聞き流す。
花火の彩りなんて俺の目には映ってなかった。
#シロクマ文芸部
お題「かき氷」

薄曇りで過ごしやすい朝です
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