組織を前に進める必須ツール「SOUNDカード」をポテンシャライトが詳しく説明します
「SOUNDカードを使って、その題材について話そうか」
そんな発言をするようになったのは、半年くらい前のことです。後ほどSOUNDカードについての説明はいたしますが、組織を前に進めるために、いや言い換えると事業成長するために、さらに言い換えるとミッションやビジョンを達成するために、SOUNDカードにおける対話のステップは必須だと最近考えるようになっています。
なぜ必須だと考えているのか?どのような効能があるのか?
これらをきちんと文言化をしておきたく、こちらのブログを書いています。SOUNDカードを開発したオーセンティックワークスさんの意図や想いなどとは少し異なる解釈もあると思うのですが、自分なりに言語化をしてみようと思います。
※SOUNDカードのサイトは下記 👇
0. SOUNDカードとは
SOUNDカードとは、S, O, U, N, Dのステップを経て、ある抽象度が高い題材の対話ができ、チーミングを促進できるツールです。
S, O, U, N, Dとは下記になります。
S:Status
O:Outcome
U:Understand
N:Negative Check
D:Drive
これらの5つの英字がそれぞれカードに分かれています。



1つずつその概要と効能をお伝えして参ります。
0-1. S:Status
現状の見える化と安全な場づくり、と定義されています。端的に申し上げると「そのワーク自体の安全性を上げる」ことが第一の目的です。
少し話が逸れますが、僕は「心理的安全性」という言葉を少々敬遠しておりました。なぜならば、「心理的安全性=ぬるい組織」という解釈があり、実態としても、僕が「心理的安全性を重要視しよう」という発言をすると、メンバーも誤解をするような気がしておりました。
ただ、このSOUNDのステップを踏むにあたり、このワークの中で、ワークの序盤であるSのステップにおいて、その場の安全性を上げておかなければ、その後の4つのステップの効果が半減以下になってしまうことが、ワークを通じて理解できることが多かったのです。
どういうことかというと、Sの後に続くOやUのステップが非常に、非常に大事なのですが、ここで自分自身の意見を言うことに対して「心の障壁」が発生してしまうと、SOUNDワークの意味はほぼなくなるといっても過言ではないと個人的には解釈しています。後述するのですが、「文脈共創」というキーワードは、SOUNDカードを語る上で、僕は外せないと思っているのですが、その「共創」がほぼ不可能になってしまうと感じています。
そのため、SOUNDカードを実施するアジェンダに対して、メンバーが感じていること、思っていることをこのStatusのカードに創発されることをまずは話していく。そのステップを入れることによって、その後のワークのレバレッジが非常に効くと感じています。別の効能の話も後ほど記載しますので、一旦 本項目はこのあたりにしておきます。
少し話がズレますが、安全性について思うところを下記ブログにも記載しておりますので、ご興味をお持ちの方はご覧ください。
0-2. O:Outcome
ビジョン・アウトカムの共創です。
話が少々前後しますが、SOUNDワークには「アジェンダ」が存在しています。アジェンダは本当に何でも良いのです。ただ、僕がSOUNDカードに可能性を感じているのは「抽象度が高い題材」に驚異的なパワーを発揮するということです。例えば、
〇〇株式会社にとって最高の状態とは?
〇〇株式会社にとって、組織のあるべき姿とは?
〇〇株式会社にとってメンバー間のベストな関係性とは?
なぜ衝突が絶えないのか?
なぜ、ミドルメンバーの退職が続くのか?
など、一筋縄では解決できないような題材においてワークを実施することが多いです。
皆様、イメージをしてみていただければと思うのですが、「上記の5つの題材をグループワークで話してみてください」という時間があった場合、どのように話を進めますか?ディスカッション文化がきちんとある企業様においては、普通にその題材について意見交換や討論をすると思うのですが、話がどのように収束するかはイメージが湧きませんよね。また、もし話が収束したとしても、おそらく声が大きい(討論が上手な人)の意見が反映された結論が出て、仮に5名のメンバーでディスカッションしていた場合、声が小さい(討論が苦手な人)の意見はほぼ反映されない状態のグループとしての答えが生まれてくる、そんなことは日常茶飯事であると思います。
厄介なのは、討論(ディスカッション)が苦手と自認している人は「それで良い」と潜在的に諦めてしまっているということ。これ自体は討論が得意な人からすると全く問題にならないのですが、問題が発生するのは「数ヶ月・数年先」だったりします。これがものすごく厄介なポイントです。詳細には後述します。
話を戻しましょう。本項目のアウトカムのステップにおいては、「そのアジェンダに対して自分たちが理想としているアウトカムの共創」をします。ちなみにSOUNDカードのアウトカムのステップとしては、「制約条件を取っ払って、実現可能性を度外視した上で、何でも可能であるとした場合、どのような未来を創造したいのか?」という前提のもと対話がなされていきます。そのため、いわゆる問題処理の考えではなく、創造観点で話が進む形になります。
そのため、ネガティブな話がここで起きる場合もあるのですが、理想的な状態を定義していくため、対話がポジティブになることが多かったりします。
0-3. U:Understand
構造とねらい目の見極め、というステップです。
たどり着きたい未来(アウトカム)を実現していくにあたり、その実現の妨げとなる構造や展開シナリオにはどんなものがあるのかについてみんなで考え、実践テーマのポイントを見極めます。ワークを実施するときに、僕はこのようにメンバーに問いかけています。
「そのアウトカムを実現するために、考慮したり、視野に入れておくべき事は何なのか?その前提でカードを選んでください」
ポイントとしては「考慮」「視野に入れる」という言葉をあえてチョイスしていることです。
少し話を戻すと、Sのステップでそのグループでのワークにおける心理的安全性を上げ、Oのステップで実現度外視をした理想的なアウトカムの「共創」をした状態だと思うのですが、
「(とは、言いつつも…)これが実現できたら最高ですよね…(できるのかな)」
のような雰囲気になることがあります。もちろんアウトカムはワクワクするものとして設定していくので、皆さんモチベーションが上がることが多いのですが、現実はそんなに甘くなかったりします。また、アウトカムの共創をした後に、そのアウトカムを、
「明確に斜めに見る人」
「表情には出さないけれども、懸念をしている人」
「懸念を思いついていない人」
「何も考えない人」
に分類されます。この4つの分類について少し詳細に記載します。
「明確に斜めに見る人」
「いやいや、理想的なアウトカムは文言化できたけれども、これ実現するの無理でしょ。だってさぁ、〇〇だから」「表情には出さないけれども、懸念をしている人」
「みんなで理想的なアウトカムを文言化できたことはすごく良い体験だったなぁ。ただ、現実的には、いろいろなことが起きて、これを達成するのは困難を極めるんだろうなぁ。だって、〇〇だから」「懸念を思いついていない人」
「素晴らしいアウトカムが文言化できた。これに向けて、これから頑張っていくんだ!」「何も考えない人」
「共有ありがとうございます。…。…。」
いかがでしたでしょうか?
もし仮にあなたがSOUNDワークを実施したときに、完成されたアウトカムにあなたの意見がどの程度反映されているのか?によって感じ方は異なるかと思いますが、例えば会社の経営クラスや事業部長やマネージャーが日々立案する方針や戦略戦術について、あなたは上記の4つの分類において、どれに該当することが多いでしょうか?
1つ補足をしておくと「何も考えない人」に該当する方は多いのではないでしょうか?なぜならば、もし仮にあなたが事業部長以上ではなかった場合、会社のミッションやビジョン、方針や戦略戦術に「自分が口を出す」「自分が参画する」ということ自体の発想を持っている方は少ないのではないでしょうか?その背景としては「自分が意見を言っても仕方ない」「会社が決めたことだから、それに従うしかない」「言っても意味がないだろう」「それに反論しても仕方ないでしょ」という無意識的な意識があるかもしれません。
SOUNDワークの話に戻ります。
僕がSOUNDのステップにおいて、ものすごく効能を感じているのは、このUのステップです。「Understand」とは、「あなたの心の内をそのグループメンバーが理解する」とも言い換えられるでしょうし、「共創したアウトカムを実現していくために、心のつっかえは何なのか?」とも言語化できると思います。
令和の変化が激しい時代において、組織が一枚岩となって邁進をしていく必要性は、多くの方が感じていらっしゃるかと思いますが、組織の方針や戦略に対して、「けどさ…」「だってさぁ…」という思いを持ったまま仕事を続けるというのは好ましいものでしょうか?
「いやいや、山根さん、それはもちろんその答えはNOでしょ」
という回答がほとんどだと思うのですが、ただそれらの心の痞えや懸念点をグループのメンバーが「言える場」はありますでしょうか?そして「言える状態」であったりしますでしょうか?
「いやいや、当社は1on1ミーティングがあるから、その場で言ってもらうようにしていますよ」
これもすごく良いと思うのですが、これがおもしろいポイントなのです。
皆さん、1on1って安全性が保たれていたら、相手に言いたい事はある程度言えると思うのですよね。ただ、日ごろから一緒に働く周りのメンバーに対して、その素直な意見を伝える機会はそこまで多くないと思うのです。また、相手(上司)にその意見を伝えたとして、その上司がその意見(課題)を解決するために動いてくれるかもしれないのですが、あなたが共に働くメンバーたちが、あなたの「心の痞え」を正確に知る機会はほとんどなかったりします。
もし、仮にそういった機会があったとしても、心の痞えは、意図せずに「愚痴」と捉えられてしまう場合もあります。そんな中、SOUNDのステップを踏んで、そのワークの場で心の痞えをメンバーが言い合うことによって、それは愚痴ではなく、課題に変換することが可能です。
もう一つ補足をします。前述した「懸念を思いついていない人」は、「懸念を思いついていないだけで、懸念が "創発" されることはある」ということ。ここでSOUNDカードの威力が発揮されます。少し話を遠回りしますが、皆様はなぜ「懸念を感じる」と思われますか?その答えは皆様の「原体験」が深く紐付いています。
もし仮に、「富士山を、人類史上最速(スピード)で登ろう!」というアウトカムがあった場合、皆様が過去に富士山を登ったことがあり、かつ高山病になって途中でリタイアしていた場合、「いやいや、それは難しいなぁ」と思うのは当然だと思います。それと同じく、僕ら社会人はこれまで様々な経験を積んできており、いわゆる「痛い目」に遭っています。言い換えると「失敗」ですね。過去の失敗は、潜在的に・無意識的に、自分の頭に残っており、SOUNDのステップを踏んでアウトカムの共創を仮にできたとしても、「原体験」が潜在的に・無意識的に、あなたの心のつっかえを発生させているのです。
話を戻すと、SOUNDカードは数百枚のカードが存在しており、このUnderstandのカードには、「あなたは思いついていないけれども、過去の原体験から無意識的に心のつっかえとなっていることを創発させる」という内容の「問い」が多数準備されています。それらのカードをたくさん見ていただき、「アウトカムの実現のために考慮、視野に入れておいた方が良いこと」という前提のもとカードを選んでいくので、結果的にあなたの心のつっかえはカードによって創発され、表現されると良いかと思います。
長くなってしまっていますが、もう一つ補足を。
先ほど「原体験」というキーワードを出しました。ただ、新卒1年目の方と経営クラスの方を比較したときに、社会人における「原体験」に差分があることは容易に想像できるかと思います。そのため、経営者クラスの方の方が原体験から紐付く「心の痞え」は数も多いですし、種類も多いと思います。例えば、新卒メンバーからすると、経営クラスの方が思い浮かべる「心のつっかえ」は、「とてもじゃないけれども、思いつかない」という場合も多くあります。
また少し話が逸れますが、皆様こんなことはありませんか?
「たくさん経営陣や部長に提案をしてるけれども、何か理由をつけて否定をされてしまうんだよなぁ」
この内容について、僕は思うことがあります。
それは、提案をした先、つまり経営陣や部長は様々な社会人としての「原体験」があり、たくさんの成功や失敗を繰り返しています。目を覆いたくなるような、絶対に思い出したくないような「失敗体験」が多数ある中で、もし仮にあなたが「提案」してきた内容が、その相手(経営陣や部長)が同じようなチャレンジをして大きな失敗をしていた場合、それが尾を引いているという可能性は大いにあります。そのため、「あなたの提案をただ否定したい」のではなく、経営陣や部長には「原体験から創発されるうまくいかない未来がどうしてもイメージできてしまう」とでも言い換えるとイメージしやすいかもしれません。
話を戻しましょう。このSOUNDのUのステップのもう一つ大きな効能として「視座共進化」というキーワードがあります。SOUNDワークは役職や立場が混在したメンバーで実施したほうが大きな成果を発揮することが多いと僕は思っています。例えば僕は会社の代表ですが、新卒1年目のメンバーや、20代のメンバーともSOUNDワークを実施することがあります。このUのステップにおいて僕が「考慮や視野に入れておくべきこと」というテーマをもとにカードを選び、その答えを他のメンバーに共有する。
僕のほうが経験があるという前提がある場合、他のメンバーからすると「山根さんが言ったことは、とてもじゃないけれども、その考慮や視野に入れておくべきことは思いつかなかったなぁ」という気づきを与えることができます。ここで「いやいや、山根さんのほうが経験があるから、それは思いつくけれども、自分はそんな事は経験がないから思いつかないよ」という心持ちになることは少ないです。なぜならば、Sのステップにおいて心理的安全性を上げているため、相手の意見を聞きやすい状態にしていること。また、Oのステップにおいてアウトカムの共創をしているため、自分が決めた「理想的な状態」において「障壁」になることは何なのか?という観点において、自分よりも経験がある人が話をしてくれている、という感覚(この太字の文章が非常に重要です)になります。そのため、いつも年長者からアドバイスを受けているという感覚とは全く異なる感覚でこの話を聞くことができたりします。
「とてもじゃないけれども、思いつかなかった」と表現しましたが、これはいつも仕事をしている「業務スキル」の類の話ではなく、「視座」の類の話になります。視座とは何か?という話をすると長くなるので割愛しますが、「学習で得ることが難しい質の能力」とでも言いましょうか。業務スキルは学習でなし得るものだと思うのですが、視座は役職や立場、そしてこれまでの失敗体験がそれを大きくしていったりします。そのため、SOUNDのこのUのステップにおいて、異なる役職や立場の方が混在し、「視座共進化」ができることは、ものすごく、ものすごく大きな効能だと僕は感じています。
「できるだけ優秀な人の近くで働いた方が良い」という話を皆様、もう一度は耳にされたことがあるかと思います。このSOUNDのステップを踏んだ上で役職や立場が高い人の心のつっかえを聞くという体験自体が、メンバー自身の視座を上げるには、ものすごく良い体験になることを肌で感じることもあります。
もう一つだけ補足を(補足が多くて申し訳ありません)。「視座」と表現しましたが、僕が新卒1年目のメンバーから視座共進化をされることもたくさんあります。なぜならば、「群盲象を評す」とでも言いましょうか。代表である僕は組織を全体的に見ているという認識を持っていますが、新卒1年目のメンバーの視点から見える会社や組織は別の姿に見えていると思います。「あ、なるほど。僕が見えていない景色は、そんな感じなのか。むしろそれは気づかなかったなぁ」ということも多数あり、僕はこのSOUNDのUのステップで、みんなの話を聞くのがものすごく好きだったりします。
0-4. N:Negative Check
抵抗/摩擦の洗い出し
アウトカムの実現をするために、反対意見や発生しそうな懸念、摩擦などをここで話をしてもらいます。ただ、僕は正直このネガティブチェックについては、Understandに内包して進めることが多かったりします。
Understandのステップで「考慮や視野に入れておきたいこと」と表現していますが、この表現でメンバーに問いかけたとしても、割とネガティブな意見は出てきます。ただ、愚痴に近いネガティブな意見というよりも、それを課題に変換して解決をしていくというスタンスで意見が出てくることが多いため、Understandのステップは非常に貴重なものなのですが、それ自体がこのネガティブチェックのステップも内包して進めることが僕自身多い、そんな感じです。
そのため、このネガティブチェックの項目についての説明はここで終えたいと思います。
0-5. D:Drive
具体的な行動を決める、というステップです。
いわゆるネクストアクションの設定。SOUNDのステップを踏んで安全性を作り、アウトカムの共創をし、考慮、視野に入れておきたいことを共有し、心のつっかえも見える化した。では、今後何に取り組んでいくのか?を決めようというステップです。
このステップは、皆様が日々仕事の中で踏んでいるステップだと思うので、割愛しよう、そう思ったのですが、少し補足で説明します。
皆様、「ミーティングをしたけれども、ネクストアクションが決まらなかった」という経験はありませんか?ただ会話をして、討論をして、なんとなくその場が平行線になってしまって、何も決まらなかった。このような体験は「時間が無駄になったなぁ」という感覚を潜在的に覚えることもあるでしょう。
正直、SOUNDのステップを踏んだ際に、このDriveの時間がなくなり、明確なネクストアクションが少々曖昧になり終えてしまった、そんなこともあったりします。もちろん追加でワークを実施して、明確にネクストアクションを決めたりもするのですが、ただすごく誤解があるような表現をすると、「僕はそれでも良いんじゃないか」と思っていたりします。
何故かというと、このSOUNDのステップにおいて、SとOとU(N)をそのグループメンバーで対話ができた、その事実だけで、そのアジェンダに対しての解像度がとても高くなっているはずです。そして、アウトカムの共創もできていますし、心のつっかえも共有し合えているという状態が作れているため、仮に明瞭なネクストアクションが決まっていなくても、かなりレバレッジが効いた状態になっています。
SOUNDのステップを踏まずに、例えば役職や立場が高い方が目標(≒アウトカム)を決めて、KPIを決めてアクションプラン(ネクストアクション)をメンバーに共有する、という共有をメンバーにした場合と、SOUNDのステップを踏んだ場合でいうと、メンバーの心持ちというか、解像度やモチベーション、そして当事者意識が段違いに上がっている状態を作ることができます。
この当事者意識を作ることができれば、非常に勝利に近づいているとも言い換えることができると思っています。そのため、Driveのステップにおいてネクストアクションを決めるのは非常に大事ではあると思うのですが、SOUNDのステップを踏むこと自体で、そのグループ(チーム)が前に進むためのレバレッジは、その時点でも効いていると僕自身は考えています。
1. SOUNDワークの効能
前項目においてSOUNDのステップの説明をして参りましたが、そのステップの説明と同時にSOUNDの「効能」についても同時に記載をしておりました。ただ、もう少し明確な説明ができますので、本項目で説明して参ります。
1-1. 文脈共創
アウトカムの項目において説明をして参りましたが、「文脈」を「共創」するというステップ・体験が非常に価値が高いと個人的には思っています。こちらについては語り始めると5,000字以上になってしまうため、下記のブログに取りまとめております。ぜひご覧いただければと思います。
簡単に内容の要約をすると、「共有」と「共創」にはものすごく大きな違いがあるということ。次項目でも説明しますが、文脈の共有レベルだと当事者意識が生まれないと僕は感じています。人が作ったものに対して100%当事者意識を持つことは僕はほぼ不可能だと思っており、ただ一方で、自分が作ったものについては当事者意識を持てるのではないかと思っています。
わかりやすい事例としては「料理」だと思います。人が作ってくれた料理はもちろんおいしいですが、自分が作った料理を「きちんとした味なのかな」「おいしいかな」と気にする方も多いと思います。ましてや人に自分が作った料理を提供するときはなおさらです。
1-2. 当事者意識
前項目で説明いたしましたが、アウトカムを共創することによって、文脈も共有でき、自分たちが理想としている未来へのコミット感が格段に上がります。そのため、「自分たちが文脈から決めた」という体験が、当事者意識を発生させることができます。
一般的な企業は概ねピラミッド構造になっているかと思います。仮にフラットな組織であったとしても、必ず社長は存在すると思います。その場合、ピラミッド構造でもフラット構造でも、「誰かが作った戦略」「誰かが作った方針」に従って仕事をしていくことになることが圧倒的に多いと思います。仮にマネージャーの方であったとしても、部長が決めた方針に従うでしょうし、仮に事業部長であったとしても、会社の経営が決めた方針に従うでしょうし、仮に経営者だったとしても、もしかしたら株主が決めた方針に従っているのかもしれません。この場合、100%当事者意識を持つことは僕は難しいと思ってしまっています。
ここで言及すべきなのは「当事者意識」と「責任感」の違いです。
詳しくはこちらのブログをご覧いただければと思うのですが、僕はこれまで仕事をしている中で「当事者意識を持っている」と勘違いしていました。ただ、僕が持っていたのは責任感であって、当事者意識ではなかったんだろうなぁと。特に前職で取締役になったとき、「当事者意識を持っていた」と思っていたら、今となるとそれは責任感であったなぁと。また、僕は会社の代表ですが、会社に対して当事者意識を持っていたと思ったら、少し会社を外から見ているという場合もあったなぁと反省したことを今でも覚えています。
SOUNDのステップを踏むことによって、当事者意識を持つことは十分に可能で、このステップを踏まずに当事者意識を持つハードルの高さを今は実感しています。
1-3. 視座共進化
こちらも前述しましたので、詳細には割愛いたしますが、さらに詳細を知りたい方は下記ブログをご覧いただければと思います。
何か補足で記載しようと思ったのですが、本ブログの「Understand」の説明に長文を記載してしまったので、ここでは割愛します。
1-4. 心理的安全性
僕は「心理的安全性が目的ではなく、心理的安全性が手段である」という話をメンバーにすることがありますが、SOUNDワークでは、その話をイメージしやすく説明することができます。
僕がSOUNDカードに可能性を感じているのは、前述した文脈共創、当事者意識、視座共進化の3つなのですが、その効果を最大化させるために「心理的安全性」を担保することは非常に重要だと思っています。仮に、SOUNDの最初のステップであるSにおいて心理的安全性を担保できなければ、アウトカムの文脈共創をする際に、本音の意見が出にくい状況になるでしょうし、ましてやUnderstandのステップにおいて「考慮や視野に入れておきたいこと」についてのアウトプットが共創的な内容にならないこともあります。
ちなみに、過去におそらく僕は30回以上のSOUNDワークを実施してきて、SOUNDの最初のステップであるSを割愛してスタートした場合に、あまり効果が発揮できなかったという体験もありました。(この場合、そのワークのグループのメンバー間における信頼関係が構築できていなかったこともありますが)
また、少し別の角度で話をすると、安全性を作ることが目的ではないのですが、このSOUNDのアウトカム以降のステップにおいて、その話をしている内容や、その場の雰囲気が、そのメンバーの安全性を創発させていることも多くあります。なぜかというと、自分自身がそのアウトカムを作っている1人になっていること。そして、Understandにおいて、心のつっかえをアウトプットできているという体験自体が素晴らしいステップになっており、安全性の創発ができているとも言えるかと思います。
2. SOUNDワークの「所要時間」と効果の「レバレッジ」について
SOUNDワークは2時間程度の時間を要します。昨今、少子高齢化の多忙な社会人の皆さんの時間において、複数名の時間を2時間使うということ自体に、難色を示す方は多数いらっしゃいます。僕もその1人でした。
蛇足ですが、当社ポテンシャルライトは、かなり筋肉質な体制にしており、「コミュニケーションにおいては1秒も無駄にするな」というカルチャーが過去にありました。誤解がないように言うと「過去」と記載したのですが、今でもそのカルチャーは残っており、むしろそうあるべきだと個人的にも思っています。特に、僕らのお客様であるベンチャー企業様の1分、1秒は非常に大事なものであり、それを失わないようなスムーズで効率の良いコミュニケーションを強く意識していることは事実です。
そんな中で、複数名のメンバーを集めて、2時間の時間を使うというのは、ものすごく大胆な時間の使い方であり、当たり前のように「これをやる意味はあるのか?」「本当にレバレッジが効くのか?」という意見が生まれるのは当然のことだと思います。
そこで、僕が感覚的に体感しているレバレッジを説明してみたいと思っています。
2-1. SOUNDワークを定期的に行う場合
SOUNDワークを定期的に行う場合とそうではない場合のチーム内のメンバーにおける相乗効果・ポジティブな影響度合いは、2〜n倍と表現するのが適切だと思います。なぜ「n」と表現したかというと、チームやグループがうまく機能せずに終えてしまうということも少なくないからです。マネージャー経験がある方はご理解いただけるかと思いますが、自分が担当するチームやグループや部署自体が「1」の状態、つまりスタートラインにも立てず、その集団が解体されてしまったなどの経験もあると思います。また、長い期間その集団を率いているけれども、一向に「1」にならないという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
話を戻すと、2〜n倍だと感じるのは、チーム組成時の「数ヶ月後」になります。なぜならば、アウトカムの共創(文脈共創)によって生まれる当事者意識、アンダースタンドによる心のつっかえのアウトプット、そして視座共進化の効能自体がクイックに表現されることが難しい類だからです。ただ、「メンバーがどうしても当事者意識を持たない」という悩みを抱えているチームリーダー以上の方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、「当事者意識を持ってくれ!」と伝えたところで、当事者意識を持てることはほぼないと思います。
チームリーダーはチームに当事者意識を持つでしょうし、グループマネージャーはグループに当事者意識を持つでしょうし、事業部長は事業部に当事者意識を持ちやすい傾向にあると思います。なぜならば、自分がその戦略や方針を決めている立場だからです。仮に自分が戦略や方針を作った(共創した)場合は当事者意識を持てると思いますが、メンバーはあなた(リーダーやマネージャーや事業部長や経営陣)が立てた戦略や方針に「従う」立場であるため、当事者意識を持てないのが普通です。
話を戻すと、チーム組成時にSOUNDワークを実行することによって、文脈共創からの当事者意識が発生し、視座共進化がなされている場合のレバレッジは非常に大きなものになると感じています。例えば、下記のような時間が削減されると思います。
チームメンバーたちが心のつっかえを抱えてモヤモヤして、仕事の効率が落ちる時間
「少し思うところがあるので、1on1ミーティングをさせてください」とメンバーからメッセージが来て、それが気になって仕方がない上司の時間
1on1ミーティングにおいて、その心のつっかえや不満を解消する時間、そしてそれを定期的にウォッチし、解消に持っていく時間
「なぜ当社のメンバーが当事者意識を持ってくれないのか?」と悶々と考えるチームリーダー以上の時間
「なぜ当社のメンバーは、もう少し飛躍した思考ができないのか?(視座)」と悶々とする上司の時間
「ちょっとチームについて思うところがあるのですが」とメンバー同士で飲みに行って、それが結果的に陰口になってしまう時間
その陰口が、さらに別の解釈を運んで、解釈が事実となり、その話が社内に蔓延してしまうことを解決する時間
これらが考えられます。それを強引に数値で例えるのであれば、2〜n倍と表現するのが適切なのではないかと思っています。
上記箇条書きにした内容について、本ブログをご覧いただいているチームリーダー以上の方は全て体験したことがあるのではないでしょうか?これらを解決することができ、またマイナスを0にするだけではなく、0をプラスにすることができる効能もあると感じておりますので、SOUNDカードの効能は上記の限りではないです。
2-2. 視座が上がり当事者意識を持つことにおける効能
この効果が非常に高いと個人的には思っています。SOUNDのステップにおけるアンダースタンドは、僕としては非常に重要な時間だと捉えています。なぜならば、自分が考えていること(考慮や視野に入れていること)をアウトプットすることによって、メンバーにとって斜め上の意見や気づきを提供することができるからです。
少し話が逸れますが、この斜め上からの意見をただアドバイスとして聞き入れるのではなく、メンバーも共創をした体験があるからこそ、その話を自分事化して聞いてくれます。そのため、業務における平常時の垂直的な視座の育成とは訳が違うと感じています。これを続けることによって、チームのメンバーたちが自分と同じような視座で仕事を少しずつしてくれるようになり、「あ、このメンバーはこんなことにも気づけるようになったのか」という体感を得ることができたりします。
また、当事者意識の効果がやはり大きいです。指示をしなくても動いてくれることが圧倒的に増えますし、もしそれがうまく進んでいなかった場合、それに対して本質的に振り返るメンバーが増えたと感じています。
なんだかんだ社内においては僕が施策の発信者であることが多いのですが、それを主体的に動いてくれるという効能におけるレバレッジは非常に大きいのかなと思っています。
3. (補足) SOUNDワークでパラダイムの超越をした話
※ここはまだ執筆途中
本ブログはすでに13,000字を超えているため、皆様too muchかと思いつつ、補足として一つ記載をしたいと思います。
「パラダイムの超越」とは
既存の思考枠組みや行動様式(パラダイム)を超えて、新たな可能性や未来の可能性にアクセスすることを指します。これは、個人や組織、社会が抱える制約や従来の価値観を手放し、より深い学習と変容のプロセスを通じて新しい現実を創造することを意味する
パラダイムの超越の第一歩は、これまで慣れ親しんできた考え方や前提を意識的に手放すことです。これには、過去の成功パターンや固定観念、既成概念から解放されることが含まれると思っています。U理論においては、プレゼンシング(Presencing)というフェーズがあり、プレゼンシングとは、「過去の手放し」と「未来の呼びかけ」を融合させるプロセスです。これにより、現在の自分が未来から受け取るインスピレーションにアクセスします。パラダイムの超越は、このプレゼンシングの段階で最も深く進行します。
と少し難しい説明をしてしまったのですが、SOUNDワーク中にパラダイムの超越をした、と感じたことが数回あります。ただ、補足をするとパラダイムの超越を体験ができたチームは、何度もSOUNDワークを重ねていたチームでした。そして、その場にホーム(安全性)とエッジ(挑戦意欲)が共存しており、グルーヴ(慣習/カルチャー)が存在しており、お互いに対して慈悲も発生していました。
そんな中、
あるメンバーがかなり厳しい一言を別のメンバーに言いました。
その一言を「言った」メンバーは、普段はそのような厳しいことを言うはずもないメンバー。
そしてその一言を「受けた」メンバーは、普段そのような厳しいことを受けることが少ないメンバー。
そのような雰囲気・状況の中で、一瞬にしてその場(ワークの場)の雰囲気がいつもと全く異なる空気になりました。
そして、「受けた」メンバーが涙を流し、「言った」メンバーも涙を流す
そんなことが発生しました。
涙を流したからパラダイムの超越をしたわけではなく、厳しいことを言ったからパダライムの超越をしたわけではなく、
既存の思考枠組みや行動様式(パラダイム)を超えて、新たな可能性や未来の可能性にアクセスした
という感覚を、そのワークに参加したメンバー全員がした、という体験ができたことが、僕がSOUNDワークをした最大のハイライトでした。
※本件は詳しく記載をすると長くなり過ぎてしまうので、このへんで。
最近に
僕は、このSOUNDカードは令和の会社における必須のツールになると強く感じています。むしろこれをなしに、これまで経営やチーミングがよくできてきたなぁと少々びっくりもしています。
もしご興味をお持ちの方は、詳しく説明することもできますし、このSOUNDカードのファシリテーションを僕もすることができますので、お気軽にお声掛けいただければと思っています。
