見出し画像

【NEWS】元・メイベルズ〈吉田カズマロ〉さん初ソロ作/曽我部恵一さん主宰《ROSE RECORDS》から発売

◎文:高木龍太 / TAKAGI, ryuta

 久々の音楽ニュースの更新です。

 2026年4月17日曽我部恵一さん主宰のレーベル《ROSE RECORDS》から、一枚のアルバムが発売になります。

 1990年代初頭の伝説のバンド、〈メイベルズ〉のメイン・コンポーザー、ヴォーカリストであった〈吉田カズマロ〉さんの、キャリア初となるフル・アルバム『アンカウンタブル・ブルース』が、その一枚です。

吉田カズマロ『アンカウンタブル・ブルース』

 1987年5月に結成され、1991年9月に解散するまで、東京のライヴ・ハウス・シーンにおいて活動し、今日「伝説のフォーク・ロック・バンド」とも呼ばれる、メイベルズ(THE MAYBELS)

 メイベルズは、東京モッズ・シーンを背景に結成されながら、60年代グリニッジ・ヴィレッジ由来の「フォーク・ロック・サウンド」を志向。そのポストパンクな若き感性と、ビート文学に影響された言葉感覚で、日本語で独自に解釈。

 現代的で、クールなアコースティック音楽として新しく提示した、稀有な存在でした。

 彼らが生み出した音楽の、そのみずみずしさを、日本での<ネオ・アコースティック>の源流と重なる薫りを持つもの、と捉える人もいます。

 あるいは、フォーク・ロック的な音の日本語での新たな解釈、という点から、サニーデイ・サービスを筆頭とした、90年代半ば以降の<フォーキー・ムーヴメント>の先駆、と見る向きもあったりします。

 実際には、メイベルズ自身の音楽志向やスタンスは、そうしたジャンルとは微妙に異にする部分もあったようなのですが(特に、はっぴいえんど等の過去の日本語フォーク/ロックからの影響がメイベルズには全くない点)…

 いずれにせよ細かなシーンの枠を飛び越えファンを得る、そんな強い魅力が、メイベルズの音楽にはありました。

 メイベルズが活動時に残した音源は、91年のEPICソニー発売『イノセンス&ペパーミンツ』を含む、3枚のオムニバス作品へ提供した5曲のみ。

 解散直後の吉田カズマロさんのユニット、〈The Kissin ' Mostly〉名義でのソロ曲(1991/1992年)を含めても8曲と、10曲にも満たない楽曲しか当時は発表していません。

 にも関わらず、その音楽に惹かれる音楽ファンは、当時から今日に至るまで、決して少なくありませんでした。

 音楽ファンだけでなく、当時、同時代を過ごしたミュージシャンの中にも、メイベルズの残した音楽を、心に留める人は少なくなかったようです。

 吉田カズマロさんは、メイベルズ解散から5年ほど、散発的なソロ・ライヴを行ったのち、90年代半ばからは長い、長い活動休止期間に入り、それから15年以上、沈黙を守ることになります。

 しかし、メイベルズ、吉田カズマロさんが生み出していた、音楽の波動。

 それは、そうして心に留めていた人たちの中で、現代へ続く水脈として、その間も、そっと、ひそやかに受け継がれ続けていたのかもしれません。


 その〈吉田カズマロ〉さんが、近年、活動を再開。新曲を紡ぎ、そして遂に...!この4月に、キャリア初の単独アルバムを発表します。

 制作には、メイベルズからの影響を公言する、曽我部恵一さんもタッチ。前述の通り、曽我部さんご自身が主宰のレーベル《ROSE》から、フィジカルではアナログLP、またデジタル配信も同時で、4/17に発売になります。

 メイベルズの解散から流れた月日は、なんと、35年。

 その新たな音楽が紡がれる日を、心待ちにしていたリスナーにとっては、まさに、冬の長い眠りからの、春の訪れのような感さえあるリリースです。

 全編、アコースティック・ギター一本での弾き語りからなるこのアルバムに収められた楽曲たちは、もちろん、メイベルズから35年を経ての、現在のカズマロさんの音楽たち。

 でも、そこには、これまで、そしてこれからもずっと続いて行くであろう、ある種の"波動"が、脈々と感じられるようにも思えています。


 そんな吉田カズマロさんの初アルバム。

 アナログLPの発売を記念して、下記のようなイヴェントが、発売日にちょっぴり先駆ける4月11日に、国分寺にある老舗コーヒー・ハウスプー横丁の店にて行われることにもなりました。

 (なんと、すでにSOLD OUT!)

《プー横丁の店》イヴェント詳細ページはこちら

 じつは、この日のイヴェントには、どういうわけか筆者もお声がけをいただき、トーク・セッションという形で、参加させて頂くことになりました。

 自分が、吉田カズマロさんと初めてお話させて頂いたのは、15歳だった、1991年の9月。メイベルズの解散ライヴを、いまはないライヴハウス《新宿JAM》に見に行った時でした。

 正直、この記念のトーク・セッションには、もっと適任の方がいるのではないか?と、感じたりもしています(もっと著名でもあり、長きに渡ってカズマロさんの音楽を熱心に後援されていた方々が、いらっしゃるはずなのです)。

 でももし、できることがあるとすれば、自分が、メイベルズの解散ライヴから、吉田カズマロさんが活動を休止されるまでの何本かのソロ・ライヴに、足を運んでいたこと…。

 そんなあたりの記憶なら、お伝えできるのかもしれないと、思ったりしています。


 『POPTRAKS!magazine』では、今回の吉田カズマロさんのソロ・アルバムのリリースを記念して、メイベルズ、カズマロさんに関するいくつかの資料的なテキストを、今後、公開して行こうかと思案中です。

 吉田カズマロさんは、ここ数年、多数の新曲を生み出されているのですが、今回のLPには未収録の楽曲(しかも素晴らしい出来の)というのも、じつは、まだまだ、あります。

 そうした未発表の楽曲の、今後のリリースを心待ちにしつつ、ひとまずはメイベルズや、その前身で、日本でのクリエイション・レーベル的インディ・ポップの嚆矢と言えた、ティーンエイジ・モッズ・バンドThe WinkS(なんと、活動時メンバーは高校生…!)も含め、吉田カズマロさんの足跡を再確認するようなテキストを記せたなら、と感じています。


 最後に。そういえば思い出しましたが、昨年、町田市民文学館で開催された曽我部恵一さんの展覧会<サニーデイ・サービス 曽我部恵一展 -Lovers of words->を見に行った際に、会場内で再現されていた、曽我部さんの自室の本棚。

 リチャード・ブローディガンの短篇集や、ビリー・ホリデイ自伝などの書籍といっしょに、メイベルズの収録されているCD『イノセンス&ペパーミンツ』も、そっと、さりげなく置かれていましたっけ。

 それでは、また、次回の更新で。

©POPTRAKS! magazine / 高木龍太

『POPTRAKS! magazine』内のすべての内容(記事・画像等)について、無断転載を禁じます。Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited.


いいなと思ったら応援しよう!