読書は 細胞を揺らす

「最近、いつ泣いただろう?」
「うーん、1番近くで 心がザワザワしたのは…何だったかしら?」
自分だけじゃない、誰かの心が見つけた 動いた 光を放った 瞬間の話を 私はいつも知りたがる。
友人や 知り合い 誰と話していても
「この人の どこが好きなんだろ?」
「ココが やっぱり この人の魅力
なんだろうなぁ」
いつもそんな事を 考えている。
読書もそうかもしれない。
「 " 読み書きは 訓練だ " だから
日頃のエクササイズを やめてはいけない」と 何かで 読んだ。
感動に出会う時のための準備、大切な体力作りのようなものか。

島根 坂田眞月堂 「千鳥羹」
☆ 三浦しをん 「好きになってしまいました」

「舟を編む」その国語力の高さと
みずみずしい知性で 魅了した人気作家。最近 何をしていても 所構わず 眠くなって 困るという。飛行機が苦手なので、国内の1人旅を 愛してやまないフリーランスの 独身者。でも それを 聞きつけた母が その旅行に便乗したがり 時々一緒に行くのだが、この前は父(国文学者)まで来て 道中 " どっちが 旅行代を払うのか " 父娘で モメたという。あはは
大浴場の温泉に入る前、風呂椅子に腰掛けて 髪を洗っていると また猛烈な睡魔に襲われ ウトウト。通りすがりに 母が 裸の背中をバンと叩く
「死ぬで!」
広い風呂の中で 目を瞑ったまま湯に浸かる母は、まるで 温泉好きな
日本猿に 見えた。
☆ 橋本 治 「巡礼」

能は ドデカい爪を隠してた
読み始め「ん、どこが巡礼?」近隣住民に迷惑がられている ゴミ屋敷の孤独な男の話だ。紆余曲折の人生だが あまりに抵抗する力が足りない。ただ流れに身を任せ 気づくと、気力は失せ もう何も見えない。澱んだ水中の藻に絡まって全てが止まったか に見えた 絶望の涯に、弟が現れる。読みながら " まさかの 天女 降臨? " 身を乗り出した。人って 悪くもなるが、ほんの一筋の灯にもなる。
" 生きてる "って この世に この地球に 何にも残らないけど、代え難いエネルギーだ。最後の最後に タイトル「巡礼」の意味が 体の隅から隅まで ズシリと浸透した。久しぶりに
嬉しい骨太な大作だった。

☆ 益田ミリ 「沢村さん家の わくわく お買い物」

心の奥をツンと突く
「ねぇねぇ、平安?鎌倉?いつの時代に戻ってみたい?」
いつを生きたとしても 私たちは
" 自分が古い人間になって行く "
ことを、もう 知ってる。
新しい服を買う時というのは、誰も意識はしていないが 薄ら自らの未来を見ている。その買った服というのは どこか " 希望 " に似てる。
・ ・ ・ ・ ・
何もない生活の中の 最低限の言葉と線でさらりと描いた エッセイ漫画。心にそっと手を伸ばし、必ず掴んで 読み手の 目を開かせる 透明な強さがある。必ず 読者のポケットに土産をくれる作家 好きだ。

☆ 青木さやか 「お金まわりを見直したら 人生が変わった」

彼女のブレーキの壊れ具合が 嫌われる。真っ正直で とても賢いが、全部をひっくり返す 熱いマグマも潜む。
教育者で 世間体が第一だった母が大嫌い、数冊本まで書いての大暴れ。一発のキレ芸で大金を手にしたものの、全部使い果たす 貯蓄ゼロ。
娘を授かった後 2年で離婚、自身は肺癌に(早期発見で寛解)。不安定な仕事のシングルマザーで 守るべき「お母さん 大好き」な娘には、
まだまだお金がかかるのに。
全くない経済知識を ダメな生活を 曝け出し "将来のために 貯金する" 専門家に叩き直してもらう企画本。
他界した両親 共に手堅い公務員だったが 離婚。好きだった父は貯金額¥4000で亡くなり 元妻の母が看取った。そして数年後、あんなに嫌悪していた母は 多額の貯金と優良株を 弟と自分に残して亡くなった。
「土下座したい」
と同時に 貯金出来ない自分は 父のDNAだと確信して 恐ろしくなる。
サラ金にも手を染め、売れない貧乏芸人のドン底にいた時、道で拾ったレディースコミックの裏表紙に
「東北に住み込みに来ませんか。
3食支給。名前変えられます」
かなりグラッと来たらしい(笑)
☆ 養老孟司 「自分を知りたい君たちへ【読書の壁】」

どんだけ あるんだか(笑)
大らかで いつもわかりやすい、仲良くなれそうな 素敵な おじさまだ。
彼の知識を 難解な本の アンチョコにした。ありがとう 助かった。
・ ・ ・ ・ ・
自然相手の職業(農業・漁業など)についてる ストーカーは 不思議といない。
・ ・ ・ ・ ・
中国の若者。昔から海賊盤アニメが問題にはなっているが、当初 アメリカより中国の方が安価で、中国政府も「アニメ?」目くじらをたてなかったら、地方の貧しい子供達にまでも 瞬く間に日本のアニメは 広がり、政府の規制下にあっても 幼少期にアニメで得た 自由や民主主義は 若者に 浸透してしまっている。
・ ・ ・ ・ ・
フランクル「夜と霧」
ユダヤ人強制収容所から 私は生還。「神からの奇跡」と歓喜する。
『でも もっとも優れた人は
帰って 来なかった』
この最後の一行が 深く 私の胸に突き刺さる。今も尚だ。
☆ 石川拓治 「奇跡のリンゴ」

歯がない
小学校の同級生と結婚して婿養子になり、無農薬のリンゴを作るという 当時は不可能と言われていたものへの 果てしない挑戦。実家や 村の誰もが 自分に近寄らなくなり 何も言わずに見守ってくれる 大切な 嫁の家族のお金まで 全て使い果たしてしまう。3人の娘のPTA会費も滞らせ 姉妹で1つの消しゴムを3つに切り分けて 使う日々。ありとあらゆる手を尽くしても 光明は見つからず、朝から晩まで 土と虫と 枯れゆくリンゴの木を ただただ見つめ 茫然 となる。「どうしたらいいのか」追い込まれ続け 自殺まで考える。
枯れた木の中に出来た 1つの小さな見てくれの悪いリンゴは 芯まで甘くて食べられた。「美味い」でも 誰も買わない。長い年月 リンゴの木を観察して来たので、リンゴの木を喰う虫の親である蛾の飛ぶ高さの枝に
リンゴ液の入ったバケツを吊るしたり、伸び放題の雑草を秋に1度だけ刈って リンゴの木の土に 寒さを教えるとリンゴが赤く色づいた。
「おい、お前のリンゴの木、花 咲いてるぞ」
近所の人に声をかけられる。
「嘘だろ?」
オンボロバイクの後ろに妻を乗せて急ぐが 途中でバイクを放り出し、自分達の足で坂道を上る。妻と2人で土を踏みながら 夢中で駆け上がって行く姿、私の目に熱い涙が溢れた。いつまでもリンゴの木の 土の温かさが 甘い余韻が 心に宿った。久々のホームラン、ノックアウトだ。

☆ 渡貫淳子 「南極の食卓」
南極の本、他も多数
南極観測隊が 年に1度募集があり、最も環境が破壊されていない場所で、地球の状態を調査する。閉塞さられた船内で 人はいかに過ごすか。
オーロラも もう" 特別 "の状態でなければ、誰も見に出て来ないと言う 何という贅沢。チームワークと 全員を癒す楽しみは 食事になる。
船上では 限界を越えた工夫で ゴミは出さない。否が応でも 環境問題を 未来を 熟考するようになる。

妻を亡くしてしまう著者
オーストラリア大陸から 南極までの海上に 凄まじい強風が吹く地点がある。船の中で隊員も転がりまくる
恐怖の洗礼を 全員が受ける。
「 吠える 40度
狂う 50度
絶叫する 60度 」
怖すぎる。船酔い とてもムリ。
これら以外にも 沢山の南極の本や、雪山登山の写真集などを 読み漁っていた時期が ありました。遥か遠く 地球の果て 透き通った空気に
潜在的な憧憬があるのか。口から白い息が出そう?癒されます。

最近は 何でも多重に いつでもピントが合わない恐ろしい視力ですが、まだ大量の本や雑誌を読むのを辞めていない。記憶に難が有りすぎ なのに、まぁ口が悪い辛口読書。緩い
書評には 本気で噛み付きますし。
全てを忘れる 自分への攻防、ページをスマホ撮影して 予定帳に手早く
メモは欠かせない。でも その文字の
小ささ 見事な汚なさに
「ん〜これは 記号?漢字?」
ギブアップ。これほど長く したり顔で 生きてる女で 恐ろしいほど 字が汚いって、何だろ 笑えない。
ヒーッ やだやだ。
「共喰い」で鮮烈デビューした 田中慎弥は 相当な変わり種だが
「本には膨大な言葉があり、
知らない論理、知らない景色があり
体に潜らせる習慣が大切。
言葉は枯渇するから」
あ ホントだ。お 信じられる。
いつも「どうかしてない?」と思いながら読む あの田中慎弥と
やだ 私ったら 気が合ったわ。
さてさて 出来るかどうかは わからないけど 私の読書道 、
楽しみを見つけながら 鼻歌まじりに 歩いてみようかな。
