大阪・高麗橋「本家柴藤」で伝統の「大阪まむし」を味わう。
創業300年の老舗であり「大阪まむし」発祥の「本家柴藤」を訪問。
「本家柴藤」が位置する大阪・高麗橋は、東海道五十三次(お江戸日本橋から京都三条大橋)が大阪まで延伸した「東海道五十七次」の終着点とも言われている。
かつての大坂の中心地は、堂島から高麗橋、船場に渡る一帯。
中之島は諸藩の蔵屋敷が立ち並び、淀屋橋は豪商・淀屋辰五郎が架橋したことに由来。
本町・船場はかつての大坂商人の中心地である。
“大坂本町 糸屋の娘
姉は十六 妹は十四
諸国大名は 弓矢で殺す
糸屋の娘は 目で殺す”
という「起承転結」を端的に表した唄にも、大坂本町は表現されている。
(場所は「京都三条」など様々なアレンジあり)
創業約300年。八代将軍吉宗にゆかりがあると言われる高麗橋の老舗うなぎ店は、ビルに建て替えられていた。
ファザードを入ると、女将と店員がお出迎え。
不思議なことに、上着をビニール袋に入れるように促される。なんでも、上着に着いた粉塵が、部屋に飛ばないような対策とのこと。
エレベータに乗り、向かったのはテーブル席。
メニューを見ていたら色々目移りしたので、季節限定のひなまつり膳を注文。
「本家柴藤」の定番メニューがほぼ網羅しているとのこと。
まずは「八幡巻」
牛蒡を蒲焼きで巻いたもの。一品めとして、食欲がそそられるキリッとした味わい。うなぎと牛蒡の相性がたまらない。
次に「うまき」と「うざく」
「うまき」は関東風のしっかり巻いた卵焼きでなく、トロトロのだし巻き風。初めて体験の味だが、これはこれで旨いなあ。
「うざく」は関西風の酢の利かせ方。乙な味だなあ。
そして、メインディッシュの「大阪まむし」
重箱の蓋を開くと、うなぎの量が意外に少ない。
うなぎを一口頂くと、蒸さずに焼く大阪風の地焼の割に、意外とふんわりした焼き具合。
タレはあっさりしていて、酒や味醂を効かせた大阪風の少し甘めな味わい。
ここで山椒を投入。山椒は風味豊かで良質のもの。やはりうなぎには山椒だ。
食べ進めると、ご飯の下にうなぎが。
「まむし」とは、ご飯の間にうなぎを入れて蒸す「間蒸し」が語源とも言われている。なるほど。ご飯の蒸気で程よく蒸されたうなぎは格別。
「大阪まむし」は、関東風とも、名古屋のひつまぶしとも異なる独特さ。歴史の重みを味わうという意味でも、一食の価値ありと思います。
食後に供された楊枝入れは、歌舞伎の隈取りのデザイン。
楊枝は入れ物に「歯科医推奨」との但書が。
細部にこだわりが見られるのが、老舗の矜持ではないだろうか。
食事を済ませ、会計のため一階に降りると、女将と一言二言世間話を。
僕のような一見のお客にも話しかけてくださる女将の存在もまた、老舗のホスピタリティを具現化したもの。
老舗とは、味もさることながら、無形のサービスも伝統と言えるのである。
「とても美味しかったです。ありがとうございました。また伺います」
女将に店外までお見送りいただき、非常に気持ちの良い余韻を感じながら、お店を後にした。
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