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日本酒とは、味じゃなく“条件”

「日本酒」は、うまい/まずいの前に、
名乗れる範囲が決まっている呼び名です。

今日のテーマ。

カウンターで、ラベルの裏をじっと見る人がいます。

「品目に清酒って書いてある・・・。
すみません。これって日本酒ですよね?」

大体の人は、日本酒を“味のジャンル”だと思っています。
日本で造られていれば全部日本酒。
そう理解していても、日常では困りません。

僕も、そうでした。

海外で造られたSAKEは日本酒?

八海山、獺祭など海外でも人気のSAKEプチブーム。
そんな海外で造られたSAKEの話題になったとき、
「それも日本酒ですよね?」と聞かれ、

ドキッ!
僕はうまく説明できませんでした。

相手の表情が少しだけ曇る。
僕の言葉だけが浮く。

そのとき初めて気づきました。
自分は“味”の話ばかりしていて、
“名前”の話をしていなかった、と。

清酒と日本酒は、同じではない

まず整理からいきます。

清酒は、酒税法上の分類名です。
米・米麹・水を原料に発酵・濾過したアルコール分22度未満の酒。
原料米が海外産でも、海外で造られていても、条件を満たせば清酒です。

一方で、日本酒は地理的表示(GI)による呼び名。

条件は二つ。
・原料に日本産米のみを使う
・日本国内で醸造する

この両方を満たした清酒だけが、「日本酒」と名乗れます。

海外産米を使ったもの。
海外で造られたもの。
それらは清酒ではあっても、日本酒とは表示できません。

つまり、

日本酒は、清酒の中の一部。

ここを一言で切れると、会話は整います。

この話、2015年に強まりました

2015年、日本は国レベルのGI「日本酒」を指定しました。

背景には輸出拡大があります。
海外市場で“SAKE”が広がる中、
どこまでが日本の文化的財産なのかを明確にする必要が出てきました。

これは、シャンパーニュと同じ構造です。

フランスのシャンパーニュ地方で造られたものだけが「Champagne」。
それ以外はスパークリングワイン。

産地と名称は、ブランドの境界線です。

日本酒も同じ。
味ではなく、条件で守られています。

しかし、海外SAKEは敵ではない

ここは誤解しやすい部分です。

海外のSAKEが悪い、という話ではありません。
役割が違うだけです。

広げる動きも、守る動きも、
どちらも必要です。

ただ、名前は守られている。
それだけの話です。

今、店で聞かれたら

僕は店で、こう言います。

「日本酒は、清酒の中の一部なんですよ。」

それ以上は説明しません。
判断はお客さんに返します。

説明しすぎると、
場の温度が上がるからです。

大事なのは、安心の置き場を示すこと。

「日本酒」は、味の言葉ではなく、
あなたの選択を守る“名前の設計図”。

再定義

次にボトルを手に取ったら、
裏ラベルを一度だけ見てみる。

原料米の産地。
製造地。

それだけで十分です。

味の前に、条件。
条件が整うと、選択は静かになります。


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